【子育ての落とし穴】“なんでも一人でできる子”は要注意! 小児脳科学者が断言する「子どもの真の自立」とは

AI要約

ネットやSNSが発達している現代社会は、子育てするにあたって様々な情報を簡単に得られるという点ではとてもありがたい時代になったと思います。

しかし、調べているうちに、子育てにおいて、何が正解なのかが分からなくなってしまっていませんか?

自分の子どものためだと思って、色々と実践してみたけれど、いまいち結果に結びつかない…。

特に高学歴の親御さんに顕著ですが、自立とは生活を自分自身の力で賄えること─つまり経済的な自立を指すと考え、そのためには学歴があったほうが安心であると、早期教育にも躍起になりがちです。

ここまで順番にお読みいただいた方は、そうした行為は「おりこうさんの脳」を先行して育てようとすることであり、それよりもまず「からだの脳」を育てることが第一だということは、おわかりいただけているかと思います。

ここで、私たちが、いわゆる発達障害などの生きづらさを感じる方たちを対象に行った臨床研究を紹介させてください。私たちは、実験群である生きづらさを感じる方たちに脳波を測りながら認知課題を行っていただきました。

すると、レジリエンス得点の総合得点が前後で上昇し、さらに認知課題の正答率も向上したことから、助けを得ることが脳機能の向上に繋がることが示唆されました。

【子育ての落とし穴】“なんでも一人でできる子”は要注意! 小児脳科学者が断言する「子どもの真の自立」とは

ネットやSNSが発達している現代社会は、子育てするにあたって様々な情報を簡単に得られるという点ではとてもありがたい時代になったと思います。

しかし、調べているうちに、子育てにおいて、何が正解なのかが分からなくなってしまっていませんか?

自分の子どものためだと思って、色々と実践してみたけれど、いまいち結果に結びつかない…。

もしかして、良かれと思ってやっていたことが、子どもの脳を育てるためには逆効果だったなんて事があるかもしれません。

そんな“子育てにおける誤解”を小児脳科学者である成田奈緒子先生が詳しく解説した著書『誤解だらけの子育て』をご紹介します。

今回は「自立のため、何でも一人でできるようにする」という項目をピックアップ。子どもにとって“真の自立”とはどういうことなのでしょうか?

前回、「いい子」に育てようとするあまり、5歳までの間に泣いたり騒いだりという原始的な感情の発露を抑えつけるのは誤りだとお伝えしました。もう一つ気をつけたいこととして、ここでは「自立」についての誤解を取り上げたいと思います。

特に高学歴の親御さんに顕著ですが、自立とは生活を自分自身の力で賄えること─つまり経済的な自立を指すと考え、そのためには学歴があったほうが安心であると、早期教育にも躍起になりがちです。

ここまで順番にお読みいただいた方は、そうした行為は「おりこうさんの脳」を先行して育てようとすることであり、それよりもまず「からだの脳」を育てることが第一だということは、おわかりいただけているかと思います。

一方で、子どもの自立を目指すこと自体は間違っていないのではないか?と思われるかもしれません。しかし、この「自立」そのものの意味をはき違えている親御さんが少なくないのです。

多くの人が「自立とは、自分ひとりの力で生きていけることである」と考えています。しかし、世界中誰一人として「自分一人で生きる」ことはできません。必要なのは「自分は自分一人では生きていけないので、だれか助けて!」と言える力です。この生き抜く力は、昨今では「レジリエンス(困難を乗り越える力)」とも表現され、社会の変化が激しい現代においては、ますます重要だと言われています。レジリエンスは「ソーシャルサポート(周囲の人たちからの支援や協力などに対する本人の感じ方)」「自己効力感(問題解決をどの程度できるかなどに対する本人の感じ方)」「社会性(他者との付き合い方における親和性や協調性などについての本人の感じ方)」の三要素からなります。

ここで、私たちが、いわゆる発達障害などの生きづらさを感じる方たちを対象に行った臨床研究を紹介させてください。私たちは、実験群である生きづらさを感じる方たちに脳波を測りながら認知課題(いわゆる脳トレのような問題)を行っていただきました。1~2週間に1回ずつ測定してそのたびに、「今日は、前回よりストレス脳波が下がったね」「じゃあ、次はもっとリラックスして取り組んでみよう」「最近困ってることある?」などと教育的な介入支援を行いました。全部で6回~12回通っていただいて、初回と最終回のレジリエンス得点がどのように変わるかを調べたのです。

すると、レジリエンス得点の総合得点が前後で上昇しました。中でも「ソーシャルサポート」と「社会性」は有意に上がりました。一方で、教育的介入支援を行わないで測定のみを行った同じ年齢群の対照群では、レジリエンス得点には前後で変化はありませんでした。

それだけではなく、認知課題の正答率も、初回は実験群の方が対照群より有意に低かったのが、最終回にはその差がなくなっていました。つまり、実験群の皆さんは、「助けてもらえている」実感を持つことで、脳機能もアップしたと言えるのです。