『新宿野戦病院』が“優三&直言ロス”を救う?! 役者の凄さを堪能する「パラレルワールド的楽しみ方」のススメ

AI要約

『新宿野戦病院』は新宿・歌舞伎町を舞台にした救急医療エンターテインメントで、様々なバックボーンを持つ登場人物たちが交錯する社会の構図を描いている。

『新宿野戦病院』では、クドカン作品らしいユーモアと医療ドラマの要素が組み合わさっており、的を射た台詞が多く登場する。

登場人物たちのキャラクター設定や演技にはクドカン作品ならではの温かさと奔放さがあり、視聴者を魅了している。

『新宿野戦病院』が“優三&直言ロス”を救う?! 役者の凄さを堪能する「パラレルワールド的楽しみ方」のススメ

新宿・歌舞伎町を舞台にした救急医療エンターテインメント『新宿野戦病院』(フジテレビ系)。ホストやキャバ嬢、ホームレス、トー横キッズ、外国人難民などさまざまなバックボーンを持つ“ワケアリ”な登場人物たちが交錯する社会の構図をテーマに、“クドカン”こと宮藤官九郎さんがユーモアを織り交ぜながら、物語を紡いでいます。今のところはおふざけシーンが多いですが、これからどんどん医療ドラマっぽさが出てくるようで。どのような展開になっていくのかが楽しみ!

 1月期放送の『不適切にもほどがある!』(TBS系)もそうでしたが、クドカン作品ってふざけているように見えるけど、的を射ている台詞が多いんですよね。それも、説教臭く言うのではなく、おちゃらけて言うからこそ、逆にスーッと胸に入ってくる。

たとえば、『新宿野戦病院』の舞台となる聖まごころ病院には、性別不詳の看護師長・堀井しのぶ(塚地武雄)がいて、同僚の男性陣が「あの人って男だと思う?」「女だったりして」なんて小バカにしたようなトークを繰り広げます。

これって、今の時代に炎上してしまうのでは……? と少し不安がよぎりましたが、最終的に「堀井さんの気持ち次第だと思う。男か女か、それは堀井さんが決めることで、俺たちが決めるなんて傲慢なんじゃないかな」と医師の横山(岡部たかし)が言ったことで、みんな「たしかにな~」と納得。この流れを見たとき、“クドカン節”が出ているなぁと思いました。

クドカン作品に登場する男性陣って、わりと自由奔放でふざけたタイプの人が多い気がするのですが、他人の心を傷つけるようなことはしない温かさを持っている。令和で求められる“いい人”ではないのかもしれないけれど、こういう優しさの形もあるよな……と考えさせられます。

そして、“とらつば”ファンとして、どうしても注目してしまうのが、このドラマのキャスト陣! とくに、仲野太賀さんと岡部たかしさんは、『虎に翼』(NHK総合)の方では退場してしまったので、また会えた~! とうれしくなりました。仲野さんも岡部さんも、ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)の良き理解者で真面目な印象(岡部さんは少しふざけていたかもですが……)があったけれど、『新宿野戦病院』の方でははっちゃけまくっています。

 仲野さんが演じる美容皮膚科医の亨は、チャラくていけすかない典型的な気取り屋タイプで、趣味は港区女子とのギャラ飲み。お金を使ってにぎやかな世界で派手に生きているという『虎に翼』の優三さんとは正反対に位置するキャラクター。ですが、こっちの役もしっかりとハマっているのがすごい! 正直、寅子がこんなに追い詰められているときに、港区女子とギャラ飲みを満喫している場合か~! という気持ちはありますが(笑)。とにもかくにも、“優三さんロス”になっている方にはぜひ『新宿野戦病院』を観ていただきたいです。

岡部さんは、変わらずおちゃらけキャラという感じですが、『虎に翼』では家族を大事にする良き父だったのに対し、『新宿野戦病院』では妻子持ちにもかかわらず、パパ活を夢見ている内科・小児科医に。序盤から、仲野さんと岡部さんがギャラ飲みとパパ活のちがいについて語っている場面があって、じわじわきてしまいました。

そのほかにも、『虎に翼』で寅子の学友・梅子を演じている平岩紙さんが、外科医を志したものの、5浪して医大受験を諦めて、現在はソーシャルワーカーとして働いているはずきを。寅子の職場の上司・雲野を演じている塚地武雄さんが、謎の看護師長・しのぶとして登場しています。聖まごころ病院で働くスタッフは合計10人いるのですが、そのなかに『虎に翼』キャストが4人もいるってすごいですよね。みなさん、まったく違ったコミカルな演技を見せています。

さらに、第3話には寅子の学友“ヒョンちゃん”こと崔香淑(ハ・ヨンス)の兄を演じた元超新星のソンモさんもゲスト出演! こんなにも『虎に翼』のキャスト陣が集結していると、パラレルワールドとしての楽しみ方もできそうです。