北海道・紋別市、流氷遊覧船ガリンコ号に乗船。波止場隣接の、全国唯一の野生のアザラシ保護施設やミニ水族館も楽しめる
日本にある水族館をめぐるフォトグラファーの旅。古い水族館で少年時代の思い出をたどる。
北海道を旅する中、唯一野生のアザラシを保護する施設を訪れる。
アザラシランドとオホーツクタワーを巡り、様々な生き物と風景に触れる。
世界に約400ある有料水族館のうち、150近くが日本にあるという。フォトグラファー・野辺地ジョージ氏が撮影する数々の被写体・シリーズの中で、最も古いのが水族館であり、少年時代の思い出をたどる「旅」だ。日本人にとっての水族館とは何なのか…写真と文で繙いていく
* * * * * * *
◆全国で唯一野生のアザラシを保護している施設
今年の2月に、母の故郷、北海道へ撮影に出かけた。行程は支笏湖から然別へ、そして釧路・阿寒から野付半島、更に北上して知床、網走、紋別、稚内まで辿り着き、最後には祖父母の家があった小樽まで周った。およそ2週間半の旅だった。途中、紋別市を訪れた際に流氷遊覧船ガリンコ号に乗ることになった。ついでに波止場に隣接している「オホーツクとっかりセンターアザラシランド」と「オホーツクタワー」に立ち寄った。
「とっかり」とはアイヌ語で「アザラシ」という意味だが、3歳になった誕生日の時に小樽の祖父母からもらった絵本「とっかりこっこのこもりうた」(作:わたり むつこ、鹿目 佳代子)を思い出した。祖父は高校の教師だったため、お祝いのプレゼントは常に本であったことに今も感謝している。
アザラシランドは全国で唯一野生のアザラシを保護している施設であり、20頭を超えるゴマフアザラシとワモンアザラシの2種類を飼育している。枝幸市から網走市の間の広範囲にわたって海岸で目撃された怪我や弱ったアザラシを保護し、センターでケアするのだ。
◆オホーツクタワーにはミニ水族館が
施設の中心部には広場があって、1日5回の頻度で飼育員による解説を伴う餌やりが見られる。当日もインバウンドのツアーバスが餌やりのタイミングに合わせて到着、夕方の黄金の光がその場面を照らしていた。
また、オホーツクタワーの「海底皆」にはミニ水族館がある。そこには北の海のカニやタコ、そしてチョウザメなどが見られる。ガリンコ号の出発を待つ時の時間潰しには充分以上な施設である。
そして最後はガリンコ号に乗り、そこから見た流氷の間に映る夕焼けは今もこの目に焼きついている。
(撮影=野辺地ジョージ)