「いただきます」「ごちそうさま」の言葉にこめられた意味は? 他の言語には翻訳しにくいニュアンスも

AI要約

日本のマナーや食文化について、スウェーデン人漫画家オーサ・イェークストロムさんと一緒に学ぶ様子が紹介されています。

食事の時の挨拶「いただきます」「ごちそうさま」の意味について解説があり、日本独特の考え方について述べられています。

オーサ・イェークストロムさんの視点から見ると、日本の食文化やマナーは独特で、翻訳が難しい深い意味が込められていることが分かります。

「いただきます」「ごちそうさま」の言葉にこめられた意味は? 他の言語には翻訳しにくいニュアンスも

日本で暮らしていても意外と知らないことも多い、日本ならではのマナーや食文化。スウェーデン人漫画家オーサ・イェークストロムさんといっしょに、改めてマナーや日本文化について学んでみませんか?

オーサさんは漫画やアニメなどの日本文化に興味を持ち、2011年にスウェーデンから東京に移り住みました。いまは日本で漫画家として活躍しています。そんなオーサさんの視点から見ると、日本での食事やマナー、私たち日本人が「当たり前」と思いながら過ごしている日本の文化や習慣も、不思議に思うことも多いようです。『北欧女子オーサ日本を学ぶ』では、オーサさんが専門の先生への取材を通して作法や成り立ちを学び、さらなる知見を広げていきます。

今回はオーサさんと一緒に、テーブルマナーや食分野の専門家・小倉朋子先生から食事の時の挨拶の意味を教えていただきます。

■「いただきます」「ごちそうさま」の意味は?

「いってきます」と「いってらっしゃい」、「ただいま」と「おかえり」など、日本語の挨拶のセットが大好きというオーサさん。「いただきます」と「ごちそうさま」にはどんな意味があるのかが気になったそうです。

そこでテーブルマナーや食文化の研究をしている小倉朋子先生に聞いてみました。

オーサさん「『いただきます』と『ごちそうさま』…とても日本らしい言葉ですね。スウェーデンに帰った時にもつい言いたくなります」

小倉先生「あまり他の言語に翻訳できない言葉ですね。食べる前に神様にお祈りをする週間は様々な国であるのですが、『いただきます』には言葉になっていない部分に深い意味が込められているんです。日本では動物から野菜まで…水も土も生命があると考えられています。食事はたくさんの命をいただく瞬間です。

だから『あなたの命をいただいて生きさせていただきます』という意味が込められています。『いただきます』は生命に感謝する言葉。眼の前の料理まで命として捉える日本独自の考え方です。上下の優劣もなくすべての命がつながっているという意味の言葉なんです」

オーサさん「確かに翻訳できない深さですね~! スウェーデン語だと『どうぞ』ぐらい…」

小倉先生「『ごちそうさま』も漢字で書くと意味が現れます」

と、ノートに「御馳走様」と漢字で書いた小倉先生。

最初の「御」と最後の「様」は丁寧語だそうです。

小倉先生「『馳走』は昔、人が家に来た時に周辺を走り回って食材を探してもてなしたという逸話から、『おいしいものを私のために用意してくれてありがとうございました』という意味が由来です」

オーサさん「知らなかった!いつもひらがなで書いてるんで…」

と、オーサさんは小倉先生が書いた『御馳走様』の漢字を見ながら、「これはすごい!ごちそうさまには漢字があるんだ…」とわくわくしたそうです。

【まとめ】

『いただきます』には『あなたの命をいただいて生きさせていただきます』という意味が込められています。

『ごちそうさま』は漢字で書くと「御馳走様」。『おいしいものを私のために用意してくれてありがとうございました』という意味が由来です。

■【プロフィール】

著者:オーサ・イェークストロム

1983年生まれ。スウェーデン出身。幼い頃にアニメ『美少女戦士セーラームーン』と漫画『犬夜叉』を知って漫画家になることを決意。2011年に東京へ移り住む。2015年に漫画家デビュー。著書に『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』1~5巻、『北欧女子オーサのニッポン再発見ローカル旅』『北欧女子オーサ日本を学ぶ』『北欧女子オーサ、日本で恋をする。』などがある。

監修者:小倉朋子(おぐらともこ)

(株)トータルフード代表取締役。フードプロデューサー、食の総合コンサルタント。 亜細亜大学講師、日本著文化協会代表。世界各国の正式なテーブルマナー食にまつわる歴史・文化・経済などを総合的に学び、 生き方を整える「食輝塾」主宰。美しく凛とした食べ方を推進すべく活動している。 著書に「世界一美しい食べ方のマナー」(高橋書店)、「私が最近弱っているのは毎日「なんとなく」食べているからかもしれない」(文響社)など多数。

※本記事はオーサ・イェークストロム著、監修=小倉 朋子、金田一 秀穂、杉山 美奈子、岩下 宣子の書籍『北欧女子オーサ日本を学ぶ』から一部抜粋・編集しました。