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もっと考察『光る君へ』平安初心者の夫に「衣装の違いを知ると、ドラマがぐっと身近になる」と語ってみた(特別編)
夫が平安時代をよく理解できない理由について語られる。
私が夫に対して、大河ドラマの幅広さについて説明する。
『光る君へ』の魅力や平安時代を舞台に置く意義について私の熱弁が続く。
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折り返し点を過ぎ、ますます盛り上がる大河ドラマ『光る君へ』(NHK/日曜夜8:00~)ですが、7月7日は「東京都知事選開票速報」の放送となり、27話は7月14日までおあずけ。このさびしさを埋めるべく、クロワッサンオンラインにて「考察『光る君へ』」を毎週大好評連載中のつぶやき人・ぬえさんと、絵師・南天さんによる特別企画をお送りします。大河ドラマは好きだけど平安時代はちょっと……とボヤく夫に、ぬえさんが『光る君へ』のシーンを引き合いに魅力を解説する特別編です(26話のレビューは7月13日公開予定です)。
「この場面は一体どこなんだ? と、わからなくなる時がある」
『光る君へ』が始まって間もないころ、夫からこう訊ねられた。
「都の辻はともかく、屋敷に入っちゃったらそれが内裏なのか誰かの家なのかわからん。帝がいれば内裏なんだなとわかるけれども、柱と御簾と縁側? 廊下? どこも似た感じで」
「まひろの家はわかるでしょう」
「それはさすがにわかる、あそこまでボロい家は他に出てこない」
「ボロい言うな。テロップが出てこない作品だと、ここはどこ……? となるのは大河あるあるで、他の作品でも一瞬考えるでしょう」
「戦国時代とか幕末の大河だったら、甲冑をつけてたり洋装だったりで変化あるけれども、平安時代のこの衣装は見慣れないのもあって、よくわからん」
夫曰く、彼は小学校低学年で『国盗り物語』(1973年)と出会って以来、なんとなく日曜夜の習慣で大河ドラマを見ていた、いわゆるライトファンだ。
大河のおかげで戦国時代……桶狭間合戦から大坂の陣までの歴史の流れと、信長、秀吉、家康ら英傑の家族構成に詳しいおじさんとしてここまできた。本能寺が焼けるのを10回以上見届けた男である。幕末大河は、なんとなーく眺めていたとのこと。
「大河といえば大体、戦国か幕末だろう」
と言う夫に、大河ドラマファンとして私はかぶりを振る。
「とんでもない! 戦国モノ大河は2024年までの全63作品中26作、幕末モノは15作。確かにどちらも多いけれども、逆に言えば22作は別の時代が舞台ですよ。
平安時代が舞台では平将門が主人公の『風と雲と虹と』、平清盛が主人公の『新・平家物語』『平清盛』と、源義経が主人公の『源義経』『義経』、平安時代初期から始まる奥州藤原3代が主役の『炎立つ』、平安末期と鎌倉時代初期の混乱を描いた『鎌倉殿の13人』。ぜんぶ武士である男性が主人公だけれど、そもそも大河ドラマは多彩で懐が深いジャンルなんだからね。
今度の『光る君へ』、紫式部が主人公の大河は大いにアリですよ!アリ!」
鼻息荒く早口で語る私を、夫はめんどくさいオタクを見る目で眺めていた。