幻想的すぎる…! 「曇り空&かすみ」がつくる特別な景色 梅雨どきのハイキング「愉しみかた」

AI要約

梅雨時期にも山を楽しむ方法を紹介。登山道には高山植物の花々や苔が見どころ。

梅雨の曇天でも、苔や植物の美しさをじっくり観察。霧やもやの中からの景色も魅力的。

晴れた日とは違った魅力を持つ梅雨時期の山の楽しみ方。一期一会の景色に出会えるかも。

幻想的すぎる…! 「曇り空&かすみ」がつくる特別な景色 梅雨どきのハイキング「愉しみかた」

 せっかく登山やハイキングに出かけるなら山頂からの絶景を見たいものだ。しかし、梅雨の時期はすっきりとしない天気の日が多く、天気予報サイトとにらめっこする時間が長くなる。天気がはっきりせず、景色を楽しめないからと行くのを躊躇してしまう人も多いだろう。今回は、梅雨の曇天模様で山頂からの眺望が期待できなくても楽しめる山の歩き方を紹介したい。

 標高の高い山では6月頃に残雪期が終わり、草木が芽吹き始める。梅雨は高山植物が見頃を迎える時期でもあるのだ。登山道を足元に注意を向けながら歩いてみると、さまざまな花が咲いていることに気がつくはずだ。

 快晴でスカッとした天候の時は、山頂からの眺望を早く見たいあまり気が急いて、登山道の周辺に注意を向ける余裕はあまりないと思うが、空がすっきりとしていない時こそ歩くペースを落とし、宝探しのように登山道沿いの植物を観察しながら歩いてほしい。

 登山道で発見できるのは高山植物の花々だけではない。木や岩にびっしりと生える「苔」も魅力的だ。

 日本は世界でも有数の苔の豊かな国で、世界の苔の一割、およそ1,900種が生息するといわれている。

 自然豊かな山岳地帯の樹林帯では木々の下に苔の絨毯が広がり、さまざまな苔が群生している光景を楽しめるだろう。曇天模様だからこそじっくりと目を向けやすいミクロの世界。これまで気づかずに通り過ぎていた高山植物や苔の素晴らしさを感じることができる。 

 霧やもやの中にいるからこそ見ることのできる景色もある。筆者が新潟と長野の県境に位置する苗場山(なえばさん)に出かけた時のこと。予報は晴れだったが、山頂に近づくにつれ辺り一面真っ白な世界に。見えるのは自分の歩く木道と、周囲の緑豊かな草原と群生するワタスゲのみ。その幻想的な光景は「来てよかった」と心底思えた瞬間だった。

 霧やもやは時にダイナミックな風景を見せてくれることもある。真っ白な中を歩いていると一瞬の晴れ間に青空が覗き、山が姿を見せることがある。

 短時間ではあるが、そうした瞬間にのぞく空と山容のコントラストは素晴らしく、快晴では見ることのできない絶景である。

 晴れた日に眺望を楽しむのはもちろん最高だが、かえってアクセントとなり、絶景を生み出すこともある。そんな一瞬しか見ることのできない景色に出会えるのも、梅雨時期に山へ出かけたご褒美といえるだろう。