ハイパーサーミア専門家の話は市民公開講座で聞く手もある【ハイパーサーミア療法の今を知る】

AI要約

ハイパーサーミア療法の手軽さや費用の安さ、対象となるがん種の多さ、免疫能活性化による抗腫瘍効果、副作用の軽さなどがメリットとして挙げられる。

患者さんの免疫能を活性化させることで、NK細胞やT細胞など免疫細胞の攻撃力を高め、がん治療の効果を補完する可能性がある。

ハイパーサーミア療法に関心のある人は、市民公開講座に参加して専門家の話を聞くことができる。

ハイパーサーミア専門家の話は市民公開講座で聞く手もある【ハイパーサーミア療法の今を知る】

【ハイパーサーミア療法の今を知る】#4

 ハイパーサーミア療法には他にどのようなメリットがあるのか? 「筑波胃腸病院」の永井健太郎副院長が言う。

「一番のメリットは手軽で、対象となるがん種が多いことです。この治療は治療器に40~50分横たわるだけでよく、入院の必要がありません。目や脳、血液を除くすべてのがんが対象で一定の条件下では公的保険の適用となるため費用も安く済み、長く治療が受けられます。このときのスタッフとの会話が孤独になりがちながん患者さんの気持ちを穏やかにする効果もあります」

 患者の免疫能を活性化させ、抗腫瘍効果を高める可能性があることもメリットのひとつだという。

「この治療法を使うことで腫瘍内の免疫細胞を直接的に活性化させたり、免疫細胞とがん細胞とのコンタクトを亢進させたりすることで、NK細胞、細胞傷害性T細胞などがん細胞を攻撃する力が強くなり、がん治療の効果を補完することが期待されます」

 どんなに良い治療法でも副作用は必ずある。ハイパーサーミア療法はどうか?

「患者さんによっては、加温されることで時折皮下脂肪に硬結が生じて痛みを感じることがありますが、多くは1~2週間で消失し、後遺症も残りません」

 がんに苦しむ患者や家族の中には直接、専門家から話を聞きたい人もいるだろう。その場合はハイパーサーミア療法をテーマにした市民公開講座に参加するのも手だ。 

 たとえば、7月7日午後1時30分から「つくば国際会議場」(つくば市竹園)で市民公開講座「よく知ろう!がん温熱療法」(主催・市民公開講座実行委員会、後援・日本ハイパーサーミア学会、共催・筑波胃腸病院、入場無料)が開催される。

 講座では「筑波大学における膵がんへのハイパーサーミア(温熱療法)の使用経験と臨床研究」を同大消化器外科の下村治講師が、「ハイパーサーミア(温熱療法)は、どのようなメカニズムでがん治療に効くのか?」は日本ハイパーサーミア学会理事長で京都先端科学大学健康医療学部の古倉聡教授が、「千葉がんセンターへの温熱療法の導入と短期成績」は千葉県がんセンター食道・胃腸外科 ハイパーサーミア主任医長の千葉聡医師による講演が予定されている。(おわり)