東京科学大、国立大で異例の理事長職設置へ 東工大の大竹教授が就任「文化の違い理解」

AI要約

東京工業大と東京医科歯科大が統合し、新たな国立大「東京科学大」が設立される。理事長候補に選ばれた大竹尚登氏が、異例の経営体制について語る。

新大学は研究中心の環境を目指し、若手研究者の挑戦を支援。医工連携を中心とした研究施設を設置し、法人トップの調整役も重要。

公立大の組織運営やガバナンス強化が期待される中、理事長と学長の役割分担が行われ、効率性や透明性が重視されている。

東京科学大、国立大で異例の理事長職設置へ 東工大の大竹教授が就任「文化の違い理解」

東京工業大と東京医科歯科大は24日、10月1日に統合し、新たな国立大として発足する「東京科学大」で経営を担う法人トップとなる理事長候補に選ばれた大竹尚登(なおと)東工大教授(60)が記者会見し、所信を表明した。学長が経営と教育研究(教学)の長を兼ねるのが一般的な国立大で理事長職の設置は異例。経営を教学と分離し、文化の異なる2つの大学の統合効果を高める狙いがある。

■次世代の国立大の「試金石」に

「両大学の文化の違いを理解することが大事だ。違う部分を違う良さとしてどう生かしていけるかを考えていきたい」。会見に臨んだ大竹氏は、理事長として果たすべき役割をこう語った。

文部科学省によると、名古屋大と岐阜大を傘下に持つ東海国立大学機構など複数の大学を運営する国立大学法人に理事長職が置かれた例はあるが、単一の国立大は初めて。教学を主導する学長(大学総括理事)も設け、医科歯科大の田中雄二郎学長が選出される見通しだという。

大竹氏は今後、文部科学相の承認手続きを経て就任することになる。

新大学は大学院生が約7000人となり、約6000人の学部生を上回る研究中心の大学となり、若手研究者が新分野の研究に挑戦できる環境づくりを目指す。産業を生み出す場となる「新産業創成研究院」も設置。予算規模の約3分の1は大学病院が占め、統合の目玉となる「医工連携」の中核となる。法人トップにはさまざまな学内組織の調整に向けたかじ取りをこなす役割が求められる。

私立大では、東京科学大のように、経営を理事長が担い、教学を学長が受け持つ体制が一般的。理事長には資金集めなど法人全般のマネジメントが期待され、学長には教育力や研究開発力の向上などにリーダーシップが要求される。役割を分担することで効率的な組織運営を可能としている。

権力の集中を避けることで、不正行為の抑制などガバナンス(組織統治)強化も期待できる。

一方、平成16年に法人化された国立大は組織の意思決定が重視されるようになり、学長が法人と教学の長を兼ねている。