【料理上手=レシピを見ない】は正しいの?何歳からでも「料理のスキルを上げる方法」

AI要約

料理上手のイメージである「レシピを見ずに料理する」は実際には一部の人にしか当てはまらず、料理上手な人もレシピを見ることがある。料理のスキルは体験に基づいており、レシピはその体験を補完してくれる便利なツールである。

プロの料理研究家である小田真規子さんもレシピを見ることがある一方、自身が忘れやすい部分やよりシンプルな手順を模索している。レシピを作る過程も重要であり、正確な手順や配合が料理の成功につながる。

体験を積んでいない場合でも、料理のスキルはどんな年齢でも上達させることができる。まずはレシピ通りに作ってみて、成功や失敗から学ぶことが大切である。

【料理上手=レシピを見ない】は正しいの?何歳からでも「料理のスキルを上げる方法」

「レシピを見ずに料理するのが、料理上手の証!」というイメージ、ありませんか? 私はあります。今回は、それが正しいのかどうか、プロの意見を聞いてみました。どうやら料理上手の人の頭の中は、メシマズとは大きく違っている模様!

「作るメシがマズイ」の意。ネットの世界では「味が極端にマズイ」「見た目も味もひどい」など、激しいものを指すことが多いですが、この連載では「料理歴はそこそこあるのに味が微妙・たまに成功するけれど、だいたいおいしくない」といった意味で使用しています。

教えてくれるのは……小田真規子さん

料理研究家

教わるのは……オギ

エディター

オギ

どうも自分の中に、料理上手な人=レシピを見ないというイメージがありまして。レシピを見ずにいろんな料理がチャチャッと作れるようになるのが憧れなんです!

小田先生

そうなの!?

オギ

調味料の組み合わせがあらかじめインプットされていて、味見で思い通りに味を調整できる料理上手な人は、やっぱりレシピを見ずに料理するんですよね?

小田先生

それは「人による」と思います。レシピを見ないで上手に作れる人はいますからね。一つ言えることは、「料理は体験」ということ。料理上手な人のベースの一つになっているのは、両親や祖父母など、生活を共にしている人が料理しているところを見てきた、手伝ったりした、という体験だと思うんです。そういう体験があるからこそ、「こんなやり方だったはず」「こういう味だったな」と想像が及ぶようになります。

オギ

なるほど……。

小田先生

ピアノでも、初めから楽譜を見ずに弾ける人がいたら、私はすごいと思うんです。でも、子どもの頃にピアノを習っていたり、楽器がその家にあったり、身近で誰かが弾いていたりする体験を持つ人なら、「環境や経験があるからできるのでは」と思うはずです。料理もそれと同じですね。

オギ

料理をする母を見て育ったはずなのに、その過程はスルーして、できあがった成果だけ「おいしい!」と享受していました……。どうやら、舌だけ肥えて料理スキルは微妙という、チグハグな状態に仕上がってしまったようです。

ちなみに先生は、やっぱりレシピを見ないんでしょうか?

小田先生

私自身も、まったく見ないわけではありませんよ。確認のために見ることもありますし、そもそも年齢を重ねると忘れることも増えるので(笑)。ただ、レシピを考える側の料理研究家としては、自分が忘れるような手順や配合じゃダメだな、もっとシンプルな手順はないかと常に模索しています。

オギ

プロはそこまで考え抜いてレシピを作っているんですね! レシピ通りに作れば間違いないはずなのに、なぜか「レシピを見る=料理が自分のものになってない」と思ってしまうんです……。

小田先生

もしかして、「レシピを見る=カンニング」と思っていませんか?

オギ

……図星です。調味料の組み合わせや、味のさじ加減が、あらかじめ頭や舌にインプットされていて、凝った料理もパパっと手際よくできちゃいます、というテイにしたい!という願望があります(笑)。

小田先生

気持ちはわかりますが、体験の積み重ねがないまま、いきなりレシピを見ずに料理をするのはやっぱり無理があるんです。

オギ

ですよね……。

小田先生

でも、たとえ体験の積み重ねがなかったとしても、何歳からでも料理のスキルを上げることはできます。

オギ

その方法、知りたいです!

小田先生

まずはレシピ通りに作ってみること、それに尽きます。レシピには、料理をおいしく作るための成功・失敗の体験から導き出されたノウハウやコツ、工夫が詰まっています。手軽に体験を積み重ねることができる便利なもの、それがレシピなんです!

撮影/国井美奈子 監修/小田真規子 イラスト/大窪史乃 取材・文/伊藤彩子

Edited by 西村 美名子