「つらいときは何もしなくてもいい」美容家・石井美保が提案する、日々の「美肌貯金」

AI要約

美容家・石井美保さんが美肌を保つ秘訣を語る。化粧品選びのポイントや肌診断の重要性など、自分に合ったスキンケアの重要性を強調。

自分の肌質や悩みを知り、一つずつ適切な化粧品を見つけることが美肌への近道。

石井さん自身も肌診断で酸化していたことに気づき、肌の変化に合わせたスキンケアの重要性を説く。

「つらいときは何もしなくてもいい」美容家・石井美保が提案する、日々の「美肌貯金」

 “奇跡の48歳”と呼ばれ、透明感あふれる美肌と美貌を保ち続ける美容家・石井美保さん。そんな美肌にたどり着くきっかけとなったのが徹底して肌をこすらないこと。誰でもできて今日からはじめられる、“石井メソッド”をより深く丁寧に解説した書籍『スキンケアで肌を毎日いためていませんか? こすらなければ、美肌』(講談社)が6月21日に発売される。前編に続く後編では、肌をケアする元気すらないほど気持ちが落ちているときの対処方法や、「こすらない美容」を実践しながら夏に気をつけたい肌ケア、自分に合った化粧品の選び方についてお伝えする。

取材・文/池城仁来

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石井美保プロフィール

1976年生まれ。トータルビューティーサロン「Riche」のオーナーかつ人気美容家として、美容誌をはじめ各メディアで活躍中。根っからのコスメオタクで、スキンケア・メイクを問わず幅広くコスメに精通。独自の「こすらないスキンケアメソッド」を提唱し、赤み・ニキビ・シワ・たるみ・毛穴など、これまでに約2000人の肌悩みを改善してきた。その透明感あふれる美肌は、あらゆる世代の女性の憧れを集め、著書『一週間であなたの肌は変わります 大人の美肌学習帳』(講談社)はベストセラーに。フォロワーと積極的にコミュニケーションを行うインスタライブも話題で、フォロワーは31.6万人(2024年4月時点)。Instagram:@miho_ishii

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 ここ数年、美容ブームが続いていて、SNSなどでもさまざまな情報が手に入れられるようになった。デパコスだけでなく、ドラコスにもたくさんいいものがあるし、韓国コスメも人気で、とにかく欲しくなるような商品が溢れている。それゆえに、自分に合う化粧品を見つけるのが難しくもなっている。

 「自分に合う化粧品の見つけ方って、難しいですよね。ただ一つ言えるのは、みなさんどこの化粧品がいいのかという情報ばかりを追いかけていて、自分の肌悩みが何かを知らない人が多いです。たとえば、毛穴にはこれがいいと言われたら、みんながいっせいに飛びつきますよね? でも毛穴悩みも人それぞれ。たるみ毛穴なのか、黒ずみ毛穴なのか。人によって悩みも違いアプローチも違います。だから、情報に流されず、まずは自分の悩みが何なのかに目を向けてほしいです。

 あれもこれもと全部取り入れたくなる気持ちもわかりますが、逆に必要ない場合もあります。己を知らない人が多いんです。自分と向き合うことで使うべき化粧品は自ずと絞れてくるのかなと思いますし、自分では気付けない場合もありますので、そういうときはサロンに行ったり、プロに意見を聞いたりするのもいいと思います」

 技術の進化でついつい流行っているコスメなら自分にも効くだろうと盲信してしまいがちだが、自分に合うかどうか、自分の悩みは何かをきちんと見極めることが大事だという。

 「あと、意外と自分が気にしている悩みはたいしたことがない、という場合もあります。私もよく相談を受けますが、肌に対してあれこれ悩みがある方の一番の悩みが、私が思う箇所と違う場合もあります。悩みは歳を重ねるにつれて複合的になってくるので、変化を感じやすい悩みから対処していくのもおすすめです。サロンに行くのが大変な方は、資生堂さんや花王さんなどのカウンターに行って、肌診断してもらうのも一つの方法です。有料の場合もありますが、診断を受けると新たな気づきがある。

 このあいだ花王さんで初めて肌診断をしてもらって、衝撃を受けたんです。私は自分の肌を熟知していますし、365日肌と向き合いいろいろなことをやっているので、あらゆるカテゴリーの数値が完璧だろうと思い込んでいたのですが、酸化しているという悪い数値がひとつだけ出てしまったんです。ショックでした。実際に私の肌を見て診断してくれた方も首をかしげていたくらい、見た目にはわからないんですよね。結果、いろいろと紐解いてみたら酸化の原因が見つかりました。私は自分の肌が酸化していると思ったことがないので、抗酸化の化粧品を一切使ってこなかったのですが、診断を受けてさっそく取り入れてみたら、明らかに肌のくすみが取れたんです。

 くすみを解決するために美白のコスメを使う人も多いと思いますが、酸化由来でくすんでいる人もいるのだと勉強になりました。肌診断をしてもらわなかったら、一生酸化対応の化粧品と出会えなかった。機械で診断してもらうのは美肌への近道。人の肌と自分の肌は一緒ではないので、何が合うかは自分の肌でしかわからない。すべてを一気に揃えようとするのではなく、そうやって自分に合うものを少しずつ見つけていくと自分に最適なラインナップができあがると思います」

 美肌を保っている石井さんですら、じつは肌が酸化していたというのは驚きだ。“いい”とオススメされると、ついついすべてを揃えたくなるが、自分の肌をよく知り、悩みに対して一点ずつ揃えるのが大事だということがよくわかる。

 「あれこれ使っているとどれが効いているかわからなくなるので、これが効くと思ったら一旦それにかけてみて集中して使ってみるのがいいと思います。自分のスキンケアの定番ラインナップが決まってない方が、聞きかじりでいろんな人の情報からいいとこ取りをしてしまうと、結果、名品揃いなのに一向に肌がきれいにはならないということもあります。

 一気に変えると何が効いたかもわからないから、ゆっくりだけど一個ずつチェンジして自分に合うか試し様子をみてみることが大切。そして、以前よりもどう変わったかを自分の肌で比較してする。それをすることで、自分の肌に合うものが見つかると思います。それでも人のオススメが気になる方は、せめて自分と肌質や悩み、環境、年齢が近い人の意見を参考にするのがいいと思います。訴求力のある方が強く勧めているものはいいような気がしてしまうのもわかりますが、そこはぐっとこらえていただきたいです」

 自分の肌と向き合うのは時間も手間もかかるので、つい影響力のある人の意見を手っ取り早く取り入れたくなってしまいが、それではダメなのだろう。

 「何よりも大事なのは、自分の肌を知ること。闇雲に他人の意見を取り入れるのはダメです! あと、肌質もずっと同じと思っている方も多いですが、年齢とともに変わってきます。若いときは脂多めでも、大体30歳を過ぎてから、女性は特に脂質がどんどん落ちていきます。若いときに診断を受けて自分の肌は〇〇! と思っていても、肌は変わるので定期的に向き合うことをおすすめします」