学校給食が「食べられない子」の不登校や会食恐怖症というリスク…カウンセラーが親へ勧める「3つの手紙」とは

AI要約

子どもの偏食が親にとっての悩み事。学校給食による問題や対応方法について。

「食べない子」専門の食育カウンセラーのアドバイスを紹介。

過剰な完食指導に対応するための具体的な手段。

学校給食が「食べられない子」の不登校や会食恐怖症というリスク…カウンセラーが親へ勧める「3つの手紙」とは

親にとって大きな悩み事の一つに、子どもの偏食がある。野菜や魚など、食べ物の好き嫌いは千差万別であるだけに、解決するのが難しい問題でもある。

偏食が残ったまま就学したときに立ちはだかるのが、「学校給食」の壁だ。担任の先生によっては、食べ残しを許さない「完食指導」など厳しい指導が行われる可能性もある。給食の時間をきっかけに子どもが不登校になったり、人前で食事ができない“会食恐怖症”になるリスクも……。

こうした事態を防ぐために、我が子が給食をうまく食べられないとき、親はどんな対応をすべきなのだろうか? この疑問に丁寧に答えてくれるのが、「食べない子」専門の食育カウンセラーで一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会の代表理事を務める山口健太さんだ。

偏食の子に対して親はどう考えるべきか、また学校の先生とどうコミュニケーションをとるべきか、山口さんの著書『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)から具体的なアドバイスをみていこう(以下、引用はすべて同書より)。

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 小学校に限らず、保育園や中学、高校でも、給食が原因で学校生活を楽しめないお子さんは少なくありません。私のところにも、給食に関する多くのお悩みの声が届きます。お子さんが給食で悩んだ時、まずは親御さんが「うちの子だけ……」と思い詰めないことが大切です。

「食べない子」が安心して給食を食べられるようになるためにまず大切なのは、「食べるのは楽しいこと」というイメージを、家庭の中で作っていくことです。

 その上で、もし先生からの過剰な完食指導などによって給食を食べられなくなってしまった場合は、先生に対応を変えてもらう必要が出てきます。

 私がそういったケースの相談を受ける際には「3つのお手紙」を用意した上で、先生と面談機会を設けてもらうようにアドバイスします。

 1つ目は、「過剰な完食指導によって、不登校や会食恐怖症になってしまうことがある」という内容を伝えた報道記事を先生に見てもらいます。報道記事というのは、親御さんでもなく、先生でもなく、記者が取材に基づいて書いたものなので、社会問題としての客観的な情報を先生に伝え、問題意識を持ってもらうことができます。

 

 2つ目は、文部科学省が発行している『食に関する指導の手引(第二次改訂版)』P234からの「第6章 個別的な相談指導の進め方」の「指導上の留意点」の部分です。こちらは全文をインターネット上で無料閲覧することができます。

 ここには、以下の9点が書かれています。

(1) 対象児童生徒の過大な重荷にならないようにすること。

(2) 対象児童生徒以外からのいじめのきっかけになったりしないように、対象児童生徒の周囲の実態を踏まえた指導を行うこと。

(3)指導者として、高い倫理観とスキルをもって指導を行うこと。

(4)指導上得られた個人情報の保護を徹底すること。

(5)指導者側のプライバシーや個人情報の提供についても、十分注意して指導を

行うこと。

(6)保護者を始め関係者の理解を得て、密に連携を取りながら指導を進めること。

(7)成果にとらわれ、対象児童生徒に過度なプレッシャーをかけないこと。

(8)確実に行動変容を促すことができるよう計画的に指導すること。

(9)安易な計画での指導は、心身の発育に支障をきたす重大な事態になる可能性

があることを認識すること。

 基本的には、この9点が守られていれば、給食が原因で不登校や会食恐怖症を含めた大きな問題には発展しないはずなのです。これらが守られているのかどうかを確認するために、これを先生に提出します。