コンビニでちょっとだけ…のつもりが、いつの間に借金300万円に!? カード払いを繰り返す妻の多額借金返済ストーリー【書評】

AI要約

主婦がコンビニでの散財から借金地獄に陥る悲しい物語

見栄やストレスからお金を使いすぎてしまう主人公の姿に共感

リアルな描写が恐怖を感じさせる、借金トラブルのリアルさに驚く

コンビニでちょっとだけ…のつもりが、いつの間に借金300万円に!? カード払いを繰り返す妻の多額借金返済ストーリー【書評】

 コンビニの店内がキラキラして見える。そんな経験はだれしもがあるのではないだろうか。スナック菓子、コンビニスイーツ、レジ横のあたたかい肉まん……。魅力的な商品が所狭しと並んでいる。あれも欲しいこれも欲しいと、つい物欲が止まらなくなってしまう。ついでにコーヒーくらいなら買ってもいいよね……。それが、借金に手を出すきっかけになるとは知らずに。

 本書の主人公である涼子は、ある日醤油を買おうとコンビニに立ち寄った際にコーヒーも買ってしまう。そのときに感じた解放感が忘れられなくて、「ちょっとだけならいいよね」と次々に散財を繰り返してしまうのだ。そして、気づいたころには多額の借金を背負っていた。こっそり借金を抱えてしまった主婦が家族に秘密で返済を試みるのが、『夫に内緒で借金300万』(海原こうめ:漫画、涼子:原作/KADOKAWA)だ。

 涼子は、夫の健一と子どもたち2人の4人暮らし。健一から頼まれ、お金の管理が苦手にもかかわらず家計管理をすることになる。化粧品や美容室での髪の手入れ、ママ友会の食費など、どんどん重なる出費。お会計のときに現金が足りず、次第にカード払いをするようになる。エスカレートするカード払いのせいで、ついに限度額ギリギリになってしまう。仕方なくカードローンやキャッシングに手を出す涼子は、泥沼の借金地獄へと足を踏み入れるのだった。

 この借金地獄に陥ってしまう流れが、とてもリアルでおそろしい。「なんとかなるよね」と自分に言い聞かせて散財してしまうのはよくあることだ。絶対に自分は借金なんてしないと言い切れないリアリティが、涼子の言動が他人事とは思えない恐怖につながっている。

 さらに、涼子が見栄やストレスからお金を使いすぎてしまう点に共感する。ママ友会で楽しそうにしている子どもたちのために、今度はもっとおしゃれして行かないと……。決して楽しいとは言えないママ友との集まりでも、見栄から散財に走ってしまう。加えて、夫の理想の妻であるために多少の出費は仕方ないと考えるのだ。理想を求めるがゆえに、ますます追い詰められていく姿が見ていて苦しい。