24時間「フル回転」でほぼ寝られず…医師に「働き方改革」 大阪のある病院が「深夜の救急」を制限した理由

AI要約

医療現場での働き方改革が始まり、労働時間の制限や休日確保が進んでいる中、救急医は24時間を超える勤務をしているものの負担が軽減された様子が描かれる。

2024年4月からの働き方改革により、医師の時間外労働が制限され、過労死の危険性も軽減されている。医療現場では休憩時間の確保が改善され、疲労軽減につながっている。

医療現場では労働時間の把握や労働環境の改善が進められ、勤務医の働き方が見直されている。働き方改革により、医師の健康や仕事の質の向上が期待されている。

24時間「フル回転」でほぼ寝られず…医師に「働き方改革」 大阪のある病院が「深夜の救急」を制限した理由

 すべては命を救うため──。朝から翌日夕方まで、36時間の連続勤務もざらだった医師たち。2024年4月から「働き方改革」が始まって、2カ月が過ぎた。医療現場で何が起こっているのか。AERA 2024年6月17日号から。

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 5月の平日午後1時、大阪市のJCHO大阪みなと中央病院に、熱っぽいという80代女性が救急車で搬送されてきた。救急外来に60代の男性救急医が走って駆け付けた。

「こんにちは。ここ病院ですよ」

 ストレッチャーの女性に呼びかけ、医師は防護服を着た。

「ここは痛みますか?」と腹部を触診、付き添いから話を聞いた後、ベッドの脇の机に向かい、パソコンのキーボードを叩く。「ピッピッ」という心電図モニターのアラーム音とタイピング音がしばらく響いた。新型コロナウイルス検査など、一定の処置を終えたときは、搬送から1時間近く経っていた。

■深夜の救急を制限

 医師の仕事は診察以外にも多岐にわたる。PCで打ち込んでいたのは電子カルテで、直前まで医局で事務仕事をしていた。

 当直では朝から夕方まで通常勤務、夕方から翌朝まで当直勤務をして、昼頃に退勤。勤務時間は24時間を超えている。

 だが、この病院は「働き方改革」で以前より負担は軽減したという。別の救急医は言う。

「救急患者が多ければ、休憩する余裕はなくなりますが、夜間は9時間のインターバルを取れるようになりました」

 2024年4月から「医師の働き方改革」が始まり、原則、時間外・休日の労働時間は年間960時間に制限された。年間960時間とは単純計算で月80時間、立派な長時間労働に見える。厚生労働省によると、960時間超働いた勤務医は21.2%。過労死ラインの2倍の年間1920時間を超える勤務医も3.6%いた(22年調べ)。

 以前は、大阪みなと中央病院でも、時間外・休日労働時間が960時間を超えるおそれのある医師が複数いた。

 労働時間の把握から始め、出勤・退勤は以前は紙に手書きで記録する「自己申告」だったが、タイムカードを導入した。