丸ではない形のせんべいも無駄にしない “ロス”を“資源”へ老舗店の挑戦 割れせんべいや切れ端の新たな価値を創造
小松製菓が南部せんべいの割れや切れ端を有効活用するプロジェクトを始め、SDGsへの取り組みで世界進出を目指す。
小松製菓は「もったいない」精神を大切にし、割れたせんべいを再利用する取り組みを強化している。
新商品の開発や南部せんべいを牛の飼料に活用する取組みなど、地域循環型の取り組みを通じて世界進出を目指す決意を示している。
南部せんべいを製造・販売している岩手・二戸市の小松製菓が、割れせんべいや切れ端など商品にならなかったせんべいを有効活用するプロジェクトを始めた。
SDGsへの取り組みで世界進出を目指す。
二戸市で南部せんべいの製造・販売を手がける小松製菓は創業76年の老舗だ。
一日に製造するせんべいは30万枚で、その中で生まれるのが「ロス」と言われる割れたせんべいや切れ端。小松製菓の青谷耕成執行役員は、「割れてしまったものでも、作り手も工程も味も変わらない。これを自信持って表現して役立てていきたい」と話す。
企業理念として「もったいない」の精神を大切にする小松製菓は、切れ端や焼き型からはみ出したせんべいのみみを商品化してきた。こういった取り組みにさらに力を入れようと5月から始まったのが「ワールドナンブプロジェクト」だ。
丸ではない形のせんべいでも無駄にせず、価値をつけて再利用し将来的には文字通り世界進出を目指す。
会議では商品にならなかったせんべいを食べながら新商品のアイデアを出し合う。
社員からは、「欠けて入って残ったものも最後まで食べたくなるもんね」、「場合によっては不揃い感や味のしみ込みが違って正規品より好きって人がいると思う」などの意見が出された。
この日の会議では新商品に使うパッケージが決まった。包装材はできるだけシンプルに、資材を少なくすることもプロジェクトの一環だ。
新商品の第一弾の発表は2024年の夏ごろの予定で、それまでに開発を進める。
このほかにも商品にならなかったせんべいを使った取組みがある。
二戸市で短角牛を育てている岩手北高原漆原牧場では、30年以上前から小松製菓と連携して牛の飼料に南部せんべいを混ぜて与えている。
岩手北高原漆原牧場・漆原憲夫オーナーは、「非常に良いエサ。地元の牛を地元のエサで育てる。安心安全という部分でもPRできる」と話した上で、南部せんべいを飼料に混ぜることで牛の状態も良く、良質な赤身肉に育つという。
商品にならなかった南部せんべいが農業を支える地域循環型の取組みだ。
小松製菓青谷耕成執行役員は「世界にも輸出して挑戦したい。未来永続して残していける伝統菓子にしていきたい」と意気込む。
丸ではないカタチで世界を目指す。SDGsの達成へ小松製菓の挑戦は続く。
（岩手めんこいテレビ）
