「時間がなかった」–宇宙飛行士がスターライナーの無人帰還を語る

AI要約

Boeingの宇宙船Starlinerが無人で地球に帰還した際、搭乗した宇宙飛行士は「時間が足りなかった」と述べている。

有人飛行試験では、ISSへの乗員送り届けを諦め、無人での帰還となったStarlinerの問題点についてNASAとBoeingが話し合いを行った。

商業乗員輸送プログラムでは、ISSとの定期的な往復に対応できることを証明するための試験が義務付けられており、今回のミッション関連のデータ検証が予定されている。

「時間がなかった」–宇宙飛行士がスターライナーの無人帰還を語る

米Boeing(ボーイング)の宇宙船「Starliner」(スターライナー)が無人で地球に帰還したことについて、搭乗していた宇宙飛行士が「時間が足りなかった」と言及している。

 6月に初の有人飛行試験(Crew Flight Test:CFT)として、2人の宇宙飛行士、Suni Williams氏とButch Wilmore氏を国際宇宙ステーション(ISS)に送り届けたStarliner。しかし、スラスターの故障から乗員を乗せての帰還を諦め、無人で地球に着陸した。

 海外メディアのSpace.comによると、CFTでStarlinerに搭乗し、現在はISSに滞在しているWilliams氏とWilmore氏は9月13日に開かれた記者会見にISSから登場。Wilmore氏は「我々のスケジュールはStarlinerと一緒に戻ってくるか、あるいは無人で帰還するかを決めなければならなかった。一緒の可能だったと思ったが、時間が足りなかった」と述べている。

 Williams氏とWilmore氏は、Starlinerの帰還についての米航空宇宙局(NASA)とBoeingの話し合いに参加していたという。「本当に感銘を受けた。多くの意見があった。さまざまなタイミングで多くのデータがもたらされ、多くの人々がそのデータを咀嚼し、理解し、前進させようとしていた」(Wilmore氏)

 ISSへの宇宙飛行士の送迎をNASAが有償で民間企業に委託する「商業乗員輸送プログラム(Commercial Crew Program:CCP)」では、ISSとの定期的な往復飛行に対応できるシステムであることを証明するために宇宙船に乗員を乗せた飛行試験を義務付けている(SpaceXの「Crew Dragon」はすでに実運用されている)。Starlinerは帰還後に今回のミッションに関連したデータを検証することになっている。

 Williams氏とWilmore氏は、今回の飛行は試験であり、いくつかの問題は予想されたことであり、予想外の事態に対処することはNASAの宇宙飛行士としての大きな役割であると説明した(両氏は米海軍のテストパイロットを務めていた)。

 NASAは、根本的な原因である可能性のあるスラスターの過熱が断熱材の脱落につながる可能性があり、トラブルを起こさずに帰還できるという確証が得られなかったために無人での帰還をNASAは決断した。

 CCPのマネージャーを務めるSteve Stich氏は、Starlinerの着陸後に開かれた記者会見で「宇宙船に乗員が乗っていても、ISSからの後退シーケンス、軌道離脱噴射、大気圏再突入ができただろう。つまり、乗員がいても着陸は成功したということになる」と言及している。

 Williams氏とWilmore氏は、2025年2月にCrew Dragonで地球に帰還する予定だ。現在ISSでは7人のアメリカ人と5人のロシア人からなる、12人の宇宙飛行士が共同生活を行っている。