「LUMIX S9」は、“スマホ時代になぜカメラ?”の最適解になり得る存在だ

AI要約

「LUMIX S9(ルミックス S9)」を通して、カメラの未来について考える。

パナソニックの「LUMIX Lab」アプリを活用したLUT(ラット)の管理や重ね合わせ機能に注目。

さまざまなLUTを使いながら、写真の雰囲気を簡単に変えられるルミックス S9の魅力。

「LUMIX S9」は、“スマホ時代になぜカメラ?”の最適解になり得る存在だ

写真の底力を探るべく始まった連載「趣味カメラの世界」。前回に引き続き、「LUMIX S9(ルミックス S9)」をフォトグラファーの田中さんと深堀りしていきます。

明確なコンセプトの元に、ファインダーレスなどの割り切った設計の、コンパクトで軽量なミラーレス一眼カメラ「ルミックス S9」(実勢価格:20万7900円前後/ボディのみ)。今回は本機を通して、“カメラの未来”についても考えてみたいと思います。

スマホで撮影をして、その場ですぐに写真を共有…というスピード感が当たり前になった現代。カメラではどうしても“即時性”という点で、スマホに遅れを取っています。

各カメラメーカーが軒並みスマホアプリを用意してくれてはいますが、どこか中途半端なアプリが多い印象。そんな中、パナソニックの「LUMIX Lab」は写真の転送・加工、LUT(ラット)の管理など、使い勝手が良く、接続も安定しており、優秀なアプリでした。

スマホアプリでフィルターを適用するように、撮影した写真に(アプリ内での調整はjpegのみ)好みのLUTを適用すれば簡単に写真の雰囲気を変えられます。

さらに調整したい場合には、トーンカーブをはじめとするさまざまな項目をかなり細かく調整できます。なお、調整した値を書き出すことで、自分だけのLUTとしてアプリだけではなく、カメラ内でも使用可能です。

カメラ背面のLUT(ラット)ボタンで、設定画面にアクセス。モニター上でLUT適用時の見た目を確認しながら設定できるので、撮影シーンに合わせて好みの雰囲気を確認しながらLUT選択が可能です。

ボタンひとつで変更できるので、撮影中も状況に応じて色々なLUTを試したくなります。

ちなみに、2つのLUTを重ね合わせることもできます。やり方は、カメラ内のLUTを2つ選んでそれぞれの濃度を調整して重ね合わせるだけ。設定の幅がかなり広く、それぞれのユーザーの好みを反映できます。

ただし、このLUT重ね合わせは、“MY PHOTO STYLE(マイフォトスタイル)”でのみ可能。LUTボタンで呼び出せるリアルタイムLUTの設定からは使用できず、ここはやや複雑な仕組みになっています。

とはいえ、LUTの重ね合わせ機能は可能性の広がりを感じたので、リアルタイムLUT設定画面上でも重ねられるようになると、もっと便利だと思いました。

カメラに最初から入っている中では「SampleLUT-3」というLUTがおもしろいなと思いました。

コントラストが高く、少しベタっとした感じになるので使い所を選びますが、見慣れた風景がどこか異国情緒ある雰囲気になります。

同じLUTでもハイキー気味に撮ると比較的スッキリとした感じに。LUTを変えるだけでなく、露出を変えることでも雰囲気作りができます。

LUTの重ね合わせの中では、この「Retrostyle709」と「Filmlike-V2」の組み合わせが気に入ったので多用しました。どちらもフィルムのようなレトロな質感のLUTです。

それぞれだと個人的には少し物足りなかったのですが、2つを掛け合わせた質感が自分の好みにドンズバ。

さきほどの写真と同じようなシチュエーションでLUTを変更して撮影。LUTを変更するだけでRAW現像などの必要がなく、手軽に良い感じの雰囲気に仕上げられます。