タイム はなぜ「20%増収」を達成できたのか。CEOが語るAI戦略とB2Bシフト

AI要約

ビリオネアがメディア企業での大規模なレイオフを実施し、広告収入の低下に対処していることが報じられた。タイム社では編集、営業、マーケティングなどのチームが削減され、AIや気候変動、健康分野の報道に重点を置く方針が示されている。

タイム社はB2B収益戦略の成長を重視し、AI技術企業と提携するなど新たな収益機会を模索している。メディアのAI活用には交渉の道と訴訟の道があり、タイム社はAIエコシステムへの参加を選択している。

タイムは公正なデータ利用や信頼性の高い検索結果表示を重視し、ジャーナリズムの信頼性を維持する取り組みを行っている。AI技術の活用を通じ、長年続くタイムの使命を継続するための戦略を展開している。

ビリオネアがバックについているメディア企業でさえ、メディアやデジタル広告業界が直面する課題と無縁ではない。

2024年8月20日、セールスフォース(Salesforce)の創設者で最高経営責任者(CEO)のマーク・ベニオフ氏とその妻で慈善家のリン・ベニオフ氏が所有するタイム(Time)で、広告売上低下のなかでの大規模な運営コスト削減策の一環として、スタッフ22人がレイオフされた。タイムCEOのジェシカ・シブリー氏がタイム社員に8月下旬に送ったメモが米DIGIDAYに公開されたが、それによると、編集、営業、マーケティング、テクノロジー、TIMEスタジオ(TIME Studios)の各チームの人員が削減されたという。さらに、請負業者の制限やニューヨーク本社の縮小など、さらなるコスト削減策が控えている。

これらの変革の核心は、タイムの「もっとも商業的に成功した仕事」と「最大の成長機会」、特にAI、気候変動、健康のカテゴリーにおけるリーダーシップの報道に、編集とビジネス戦略を集中させることにある、とシブリー氏は書いている。こうしたことは、営業チームのB2B収益戦略への移行に大きな役割を果たしてきた。

レイオフ発表前の7月22日に収録されたDIGIDAYポッドキャストの最新エピソードで、タイムのB2B収益戦略が成長のための最善の道であるとシブリー氏が考える理由や、オープンAI(OpenAI)やパーププレキシティ(Perplexity)のようなAI技術企業との提携を含む、収益機会のほかの分野についても同氏は話している。

以下は会話のハイライトで、わかりやすさのために一部編集し、まとめている。

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ビジネスの観点からいうと、特にAIにおけるメディアに関してはふたつの道があると思う。交渉の道と訴訟の道だ。一方を選ぶ企業もあれば、もう一方を選ぶ企業もあり、場合によっては両方を選ぶメディア企業もある。我々は交渉するか、AIエコシステムの一部となるかを決めている(中略)これは、我々が生きているあいだに目にすることができるもののなかでもっともエキサイティングで、同時に破壊的なテクノロジーだと思う(中略)(そして)タイムのCEOとして、我々が100年間やってきたことを継続できるように、AIに参加する方法を見つけ出したい。

もし、我々のデータを使ってトレーニングするなら、我々は、その公正な価値を求める。これは過去も今後もそうだ。また、我々が何十年も前から知っているような検索を破壊するAI企業と提携する機会もあり、我々は、そのエコシステムの一部となり、タイムが権威ある、信頼できる方法で検索結果に表示されるようにしたいと考えている。これは、信頼できるジャーナリズムを維持し、あらゆる形式の誤報や偽情報と闘うために非常に重要なことだ。