Ryzen 9 7900X3DとRyzen 7 7800X3Dの価格が同じに どうしてこうなった?

AI要約

AMDのCPU価格が乱高下しており、Ryzen 7000X3Dシリーズの上位モデルと下位モデルが同価格で販売される異例の事態が発生。

価格の変動の主な要因は下位モデルの7800X3Dが急騰し、7900X3Dがお買い得になったわけではない。

7800X3DはゲーミングPC向けに適しており、価格が落ち着くまで待つべきCPUとして評価される。

Ryzen 9 7900X3DとRyzen 7 7800X3Dの価格が同じに どうしてこうなった?

Ryzen 7000X3Dシリーズの上位モデルと下位モデルが同じ価格で販売されているという前代未聞の珍事が発生しています。

 AMDのCPU価格が乱高下しています。そしてついに先週末には「Ryzen 9 7900X3D」と「Ryzen 7 7800X3D」が同額の7万9800円になりました。価格が同じなら、12コア/24スレッドの7900X3Dのほうがお買い得に感じますよね。でもちょっと待ってください、それ本当にお得でしょうか?

 

7900X3Dがお買い得になったわけではなく7800X3Dの価格が急騰したのが原因

 7900X3Dと7800X3Dの、秋葉原での平均価格推移をみてみましょう。6月と7月は静かな値動きとなっていますが、8月になると7900X3D、7800X3Dともに急激に値上がりしています。ですが、7900X3Dの価格はそれ以降7万9800円のまま約1ヵ月間変わっていないのです。対する7800X3Dは急激な値上がり以降、徐々に価格を下げています。ところが、8月第5週(8/31調査)に7800X3Dの価格が再度跳ね上がっています。

 

 つまり、7900X3Dが安くなったのではなく、7800X3Dが高くなってしまったのです。市場全体で7800X3Dの在庫数が減っているのが価格上昇の要因の一つではありますが(もちろん為替の影響もあります)、決して上位モデルの7900X3Dがお買い得になっているわけではありません。したがって、慌てて7900X3Dを買う必要はまったくありません。

 

 ちなみに、7900X3D発売初日の価格は9万5800円、7800X3Dは7万1800円でした。7900X3Dは発売当時より価格が下がっていますが、7800X3Dは逆に発売日よりも価格が上がっているのです。いかに現在の7800X3Dが割高なのかが理解できるかと思います。

 

 厳しい価格設定にさらされている7800X3Dですが、レビューで評価されている通りPCゲームに特化したPCが欲しい人にとっては理想的なCPUです。デュアルCCD構成の7900X3Dがフレームレートを出せずにいる中で、シングルCCD構成の7800X3Dは安定してフレームレートを叩き出せていますし、ゲームによっては上位の7900X3Dを上回る性能を発揮することもあります。

 

 7900X3Dと7800X3Dが同じ価格だからといって7900X3Dに飛びつくのではなく、7800X3Dの価格が下がるのを待つのが筆者としては得策だと考えます。7800X3Dは、本来であれば7900X3Dより1万円ほど安い価格設定であるべきなのです。

 

文● ドリル北村