不適切投稿を世界で4万人が監視 TikTokの「コンテンツモデレーター」の任務とは?

AI要約

世界150の国と地域で月間10億人以上のユーザーを抱えるTikTokは、社会に大きなインパクトを与えるSNSプラットフォームであり、商品やコンテンツの拡散によって爆発的な売り上げを生む「TikTok売れ」という現象も起こしている。

TikTokの影響力が増すにつれて、中国企業ByteDanceに対する厳しい視線も増加しており、安全保障上のリスクやフェイクニュース、悪意あるコンテンツなどへの懸念が高まっている。

TikTokはコンテンツの健全性維持やモデレーションの透明性を高める努力を続けており、各国の記者を招待するイベントなどを通じて安全性向上に取り組んでいる。

不適切投稿を世界で4万人が監視 TikTokの「コンテンツモデレーター」の任務とは?

 世界150の国と地域で月間10億人以上のユーザーを抱えるTikTok。紹介された商品が拡散して爆発的に売れる「TikTok売れ」といった現象を巻き起こすなど、社会に大きなインパクトを与えるSNSプラットフォームだ。

 影響力が増すほどに、外部からは厳しい視線が注がれる。TikTokを運営する中国企業ByteDanceに対し、米国で事業の売却か同国でのTikTok利用禁止を迫る法律が成立したのは記憶に新しい。これは安全保障上のリスクなどが主な理由とされるが、フェイクニュースや人を傷つける悪意あるコンテンツのまん延など、影響力の強いSNSそのものへの不安も日に日に高まっている。

 懸念を払拭するため、TikTokはコンテンツの健全性維持の努力とモデレーションの透明性アピールに専念している。2024年8月には、TikTokのシンガポール本社に各国の記者を招待し、TikTokの安全性を高める取り組みを紹介するイベントを開催した。

 ユーザーに害をもたらす恐れのあるコンテンツを事前に察知し、削除する「コンテンツモデレーション」(投稿の適正管理)はどのようにして行われているのか。ユーザーの好みを反映した投稿を提案するあまり、似たような動画ばかり表示される「フィルターバブル」を回避するために、どのような対策を取っているのか。同社の取り組みを報告する。

 シンガポールのビジネスの中心地、ラッフルズ・プレイス。幾重にも建ち並ぶ高層ビルの中に、ByteDanceのシンガポールオフィスはある。日本を含むアジアの各地域を束ねる主要拠点の一つだ。今回、同社はこのオフィスに、日本、シンガポール、韓国、マレーシア、ベトナム、タイといったアジア各国の記者を招待した。

 マーライオンをあしらったネオンライトの壁アートが目を引く。休憩スペースでは卓球に興じる従業員たちの姿も。勢いに乗る企業の、今風のクールなオフィスという印象だ。