KDDIら2社が物流の新サービス、「出荷まで、あとどれくらい」を可視化

AI要約

Nexa Wareは、物流倉庫内の作業を効率化するソリューション「Nexa Warehouse-Optimizer」の提供を始めた。

Nexa Warehouse-Optimizerは倉庫作業の可視化やシフトシミュレーション、予定・実績の管理などを行い、作業効率を向上させる。

KDDI東日本物流センターでは、Nexa Warehouse-Optimizerを導入し、作業効率の向上を実現している。

KDDIら2社が物流の新サービス、「出荷まで、あとどれくらい」を可視化

 Nexa Ware(ネクサウェア)は、物流倉庫内の作業を効率化するソリューション「Nexa Warehouse-Optimizer」(ネクサウェア ウェアハウスオプティマイザー)の提供を開始した。KDDIが「WAKONX Logistics」のサービスのひとつとして展開する。

■ 倉庫作業の状況を可視化

 Nexa Warehouse-Optimizerは、シフトシミュレーション、KPI可視化、予定・実績の管理・作業完了の予測、無人搬送車両の稼働モニターといった機能を持ち合わせる。機能は今後も拡張していくという。

 シフトシミュレーションでは作業の内容や出荷量などから必要な人員数を算出し、最適なシフト配置を自動的に作成できる。また、予定・実績の管理と作業完了予測では、作業進捗にあわせて何%完了したのか、終了予定時刻は何時なのかといった目安を確認できる。倉庫作業員だけではなく、トラックドライバーの待機時間を削減できるなどのメリットもあるとする。

 KDDI東日本物流センターでは、一般提供にさきがけて8月1日から先行導入。同施設は、メーカーから納入された端末などをショップやユーザーへ発送する拠点で、令和6年能登半島地震では、衛星ブロードバンド「Starlink」350台を能登半島の避難所などへ送った。東日本をカバーする神奈川県相模原市の拠点のほか、西日本にも大阪府茨木市にも拠点を構える。

 同施設では、これまでもロボットの導入で効率化を図っており、効率化への期待と管理工数削減が見込めることから、同ソリューションの導入に至った。従来もその日の出荷数に対して、どの程度作業が終わっているのか「入口と出口」の把握はできていたが、Nexa Warehouse-Optimizerにより、出荷に至るまでのプロセスの進捗を把握できるようになったことが大きいという。

 倉庫側の作業が予定時間までに終わらなければ、配送するトラックを待たせてしまう。作業に遅れが出ている場合、従来はどの作業が遅れているのか探す必要があったものの、Nexa Warehouse-Optimizerがあれば、画面を見るだけで進捗率が分かる。これをもとに応援の人員を送るなどの判断ができることから、作業効率の向上に役立てられる。過去に実施した実証実験では、1.4倍の作業効率化を実現した。

■ 物流の課題を技術で解決

 物流業界は、ドライバー不足をはじめとしたさまざまな課題を抱える。WAKONX Logisticsでは、これまでも混載や共同配送の仕組みの実現など課題解決に取り組んできた。

 Nexa Wareは椿本チエインとKDDIが合弁で設立した倉庫のDXを手掛ける企業。ロボットの活用による自動化が進む物流倉庫だが、自動化できない工程やロボットの運用ノウハウの問題、技術的なトラブルのほか導入効果の説明が難しいといった課題があるという。同社ではロボットだけではなく、ロボットと人間の協調で倉庫の業務効率改善を図る。

 Nexa Warehouse-Optimizerは、すでに倉庫に導入されているシステムに接続できるため、追加のAPI開発が不要で導入が容易。データ連携から可視化まで最短2週間で可能なほか、効率化・自動化が可能な機器の導入、運用監視の支援も行う。

 今後、Nexa Wareでは導入の迅速化・運用の手軽さの改善のため標準化に着手し、AIの活用による高度化を経て、24時間稼働の完全自動倉庫を実現していきたいとしている。