「iPhone 16 Plus」でPlusモデルは終了するのか--うわさについて考察

AI要約

アナリストの予測によれば、iPhoneのPlusモデルは終了し、「iPhone 17 Slim」が導入される可能性がある。

Plusモデルの販売不振やiPhoneのラインアップの変化などについて、データや専門家の意見も示唆されている。

次世代のiPhoneが薄型デザインにフォーカスした製品となる可能性が高く、Appleの方向性が示唆されている。

「iPhone 16 Plus」でPlusモデルは終了するのか--うわさについて考察

 アナリストの予測が正しければ、「iPhone 16 Plus」をもってiPhoneのPlusモデルは終了するかもしれない。

 うわさによれば、Appleは2025年に大画面が売りのPlusモデルをラインアップから外し、代わりに超薄型のプレミアムモデル「iPhone 17 Slim」を導入するという。うわさの発信源は、Apple製品の予測で知られる2人のアナリスト、TF International SecuritiesのMing-Chi Kuo氏とHaitong International SecuritiesのJeff Pu氏だ(9to5Macの記事)。

 このうわさが事実なら、iPhone Plusは「iPhone mini」と同じ運命をたどることになる。miniモデルは、2020年に「iPhone 12」シリーズの1つとして発売され、翌2021年に登場した「iPhone 13 mini」を最後に廃止された。

 Appleはこれまでも数年ごとにiPhoneのラインナップを入れ替えてきた。大画面が売りのPlusモデルは10年ほど前に登場した。初代は「iPhone 6 Plus」だ。その後、「mini」「Max」「Pro Max」も登場し、iPhoneの形とサイズはこの10年間でかなり変わった。

 2025年に登場するiPhoneについては、同年9月になるまで詳細は分からないだろうが、名称は「iPhone 17」となる可能性が高い。しかしKuo氏とPu氏が伝えているように、「iPhone 17 Plus」が登場しないと考える根拠はいくつかある。例えば、ハイスペックなProモデルではなく、性能は標準モデルと同じで画面サイズだけ大きいPlusモデルを選ぶ説得力のある理由はない。かつては大画面のスマートフォンは「ファブレット」(「フォン」と「タブレット」の合成語)と呼ばれ、特別視されていたが、ここ10年はスマートフォンの大画面化が進んだので、画面が大きいこと自体に独自性や新規性はなくなった。

Plusシリーズの販売不振を示すデータも

 Appleの新製品を予想し、的中させてきた実績を持つKuo氏によれば、iPhoneの出荷台数に占めるPlusモデルの割合は5~10%程度しかないという。

 「すでに他の3モデル(標準、Pro、Pro Max)はハイエンドスマートフォン市場で高いシェアを確保しているので、あえてPlusモデルを用意する理由はない」とKuo氏は7月にMediumに掲載した記事の中で指摘している。

 iPhone Plusが売れていないことはデータでも証明されている。調査会社Canalysがソーシャルメディアに投稿した数字によると、2023年のスマートフォン世界出荷台数のトップ10には「iPhone 14 Pro Max」と「iPhone 15 Pro Max」に加えて、「iPhone 14」「iPhone 14 Pro」「iPhone 15 Pro」「iPhone 15」、さらには発売から3年近くたった「iPhone 13」まで入っていたが、Plusモデルは1つもランクインしていなかった。

 同じくテクノロジー業界を扱う調査会社のOmdiaによると、2023年上半期のスマートフォン出荷台数の上位には「iPhone 14 Pro Max」「iPhone 14 Pro」「iPhone 14」「iPhone 13」「iPhone 11」などが並んだが、「iPhone 14 Plus」の名前はなかった。

 「(iPhone 14 Plusには)大きな期待が寄せられていた」と、Canalysのモビリティリサーチアナリスト、Le Xuan Chiew氏は言う。「消費者は大画面を好む傾向があるからだ」

 2021年の記事を見ると、「iPhone mini」も同じような状況にあったことが分かる。例えばReutersはCounterpoint Researchの調査結果として、2021年1月前半のiPhone販売台数のうち、「iPhone12 mini」の割合はわずか5%だったと伝えている。また2021年3月のNikkei Asian Reviewの記事によると、Appleはその後、iPhone12 miniの生産台数を減らし、最終的には「iPhone 13 mini」を最後にminiモデルはiPhoneのラインアップから消えた。

 iPhone Plusの問題は、iPhone Pro(iPhone 15 Proは999ドル、日本では15万9800円)との価格差が100ドル(日本では2万円)しかなく、あえてPlusを選ぶ正当な理由がないことだ、とChiew氏とConsumer Intelligence Research Partnersのアナリスト、Josh Lowitz氏は言う。Proモデルは画面が大きいだけでなく、カメラ性能が高く、「Apple Intelligence」も使えるなど、Proモデルにしかないメリットがあるため、消費者は100ドルを上乗せしてProモデルを選ぶだろう。スマートフォンの使用年数が延びていることも、この傾向に拍車をかけているとLowitz氏は指摘する。

 「Proの利点はPlusの利点を上回る」(Lowitz氏)

 iPhone 14 PlusとiPhone 15 Plusはどちらも、大画面がかつてほど魅力的ではなくなった時期に発売された。2010年代の初めには、サムスンの「Galaxy Note」シリーズなど、広々とした画面を持つスマートフォンが注目を集めた。初代Galaxy Noteの画面サイズは5.3インチで、当時としては超大型だった(「iPhone 5」は4インチ、「Galaxy S III」は4.8インチ)。この初代Galaxy Noteの登場を機に、業界ではスマートフォンの大型化が進んだ。コンサルティング会社Accentureが2014年に発表した報告書によると、その年にスマートフォンの購入を予定していた消費者の半数近くはファブレットを好んだという。

 変わったのは画面サイズだけではない。この10年でスマートフォンの買い方も変わった。この変化も消費者が購入する端末に影響を与えている可能性がある。Lowitz氏が指摘しているように、古い端末を下取りに出し、キャリア経由で新しい端末を月払いプランで購入する場合、iPhone 15 PlusとiPhone 15 Proの価格差は月額で数ドルしかない。しかも、ほとんどの人は特定の最新技術を使いたいからというより、必要に迫られて端末を買い換える。

iPhone 17 SlimがiPhoneのラインナップにもたらすもの

 iPhone PlusとiPhone miniが売れていないとすれば、iPhone 17 Slimも同じ問題に直面するのではないかと思うかもしれない。この点については、どちらの可能性もある。

 もしiPhone 17 Slimが他のiPhoneとは一線を画す、超薄型の端末だった場合、特別感のある革新的なスマートフォンを求めている人々は興味をかき立てられるかもしれない。iPhoneには折りたたみモデルが存在しないため、iPhone 17 SlimはiPhoneの高いデザイン性を改めて人々に印象づけるために、Appleが必要としているモデルとなる可能性がある。

 先行例として、2017年後半に発売された「iPhone X」を思い出してほしい。iPhone Xは「iPhone 8」や「iPhone 8 Plus」よりも価格は高かったが、2018年第1四半期に最も売れたスマートフォンとなった。

 Appleの思惑に関するうわさが正しければ、iPhone 17 Slimも同じような成長曲線をたどる可能性がある。Kuo氏によれば、iPhone 17 SlimはPlusモデルの後継ではなく、まったく新しい製品として登場する見込みだという。これはiPhone Xをほうふつとさせる位置づけだ。iPhone XはiPhone初の全画面ディスプレイを採用し、その後のiPhoneのデザインの基礎を築いた。

 しかしiPhone 17 Slimは他のiPhoneと比べて、いくつかの重要な点で妥協を強いられる可能性があるとKuo氏は指摘する。同氏によると、iPhone 17 Slimには背面カメラが1つしか搭載されず、長年iPhoneの上位モデルでは定番だった三眼構成ではなくなるという。

 Appleは消費者を納得させる必要がある、とChiew氏は指摘する。

 「多少薄くなった程度なら、iPhone 14 Plusやminiとの大きな性能差は感じられないだろう」と同氏は言う。

 今後のiPhoneのラインナップがどうなるかはまだ分からない。しかし、The InformationやBloomberg、アナリストのJeff Pu氏やRoss Young氏の情報を信じるなら、Appleが2025年に薄型iPhoneを発表する可能性は高い。

 これが事実なら、Appleは先日発表された新型「iPad Pro」に続き、次世代iPhoneでも、変えるべきはデザインだと考えていることになる。つまり、消費者はポケットに収まる大画面よりも、なめらかで薄いハードウェアの方に革新性を感じるとAppleは考えているのだろう。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。