「点から面の自動化へ」--ブループリズム、自社RPAにSS&C TechnologiesのBPMを連携

AI要約

Blue Prismは、SS&C | Blue Prism Chorus BPMを国内販売開始した。Chorusは企業のビジネスプロセスを自動化するプロセスオーケストレーション製品で、Blue PrismがSS&Cグループの一部として販売展開する。

長谷太志氏によると、日本のRPA市場は成長しているが、今後は「脱RPA」や自動化のプラットフォームへのシフトが進むと予測している。

RPAとBPMを組み合わせることで、より効果的な自動化を実現できる可能性があり、日本企業に受け入れられる可能性がある。

「点から面の自動化へ」--ブループリズム、自社RPAにSS&C TechnologiesのBPMを連携

 Blue Prismは、ビジネスプロセスを統合・管理・最適化し、業務プロセスをエンドツーエンドに自動化するプロセスオーケストレーション製品として「SS&C | Blue Prism Chorus BPM」(Chorus)の国内販売を7月26日付で開始した。

 Blue Prismは「RPA(ロボティックプロセスオートメーション)」という言葉を初めて使ったとされる企業で、国内でもRPA製品のベンダーとして知られているが、2023年3月に米SS&C Technologies Holdingsによる買収を受けて現在はSS&Cグループの企業となっている。

 ビジネスプロセス管理(BPM)製品として位置付けられるChorusは、もともとSS&C Technologiesが自社で利用するソフトウェアツールとして開発したもの。主に英語圏で採用が拡大しているが、今回日本語化されて国内提供に至った。SS&Cには日本法人がなかったことから、Blue PrismがSS&C Technologiesの子会社という位置付けとなったことを機に、従来の製品ラインアップである「Blue Prism」に加えてChorusも取り扱うことになった。

 概要を説明したBlue Prism 社長の長谷太志氏は、国内のRPA市場について「2017~2018年くらいから2020年くらいまでに一気に始まった。成長率は落ち着いてきてきたが、それでもさまざまなデータからは大体45%ほど伸びている市場である」と紹介した上で、「その一番伸びていた2020年に当社では『デスクトップ型のRPAは必ずコモディティー化する』というメッセージを発信し、2021年からは日本で流行っているタスク/オートメーションから一線を画し、『脱RPA』『自動化のプラットフォームベンダーになる』と言っている」とした。

 ユーザー企業は当初、運用効率化やコスト/時間の削減を目的にRPAを利用していたが、現在では自動化を「戦略的な課題の解決」「企業の成長を支える変革のために必要なツール」として位置付ける動きが目立ってきているという。

 長谷氏は、日本企業のシステムに対する意識の変化として「カスタマイズ中心になっていたものが、ERP(統合基幹業務)システムなどを導入して『Fit to Standard』、きちんとデータを正規化して分析に使うという風になってきている」と指摘し、「ユーザーインターフェースとして『Salesforce』『Microsoft Teams』『ServiceNow』『Slack』などを柔軟に選択する一方、システムプラットフォームではきちんとデータを取る必要がある」という状況に対して、同社のインテリジェントオートメーションプラットフォームをユーザーとシステムの間の中間連携層として導入することで「ビジネスのOS」として活用できるとした。

 同氏は、RPAの特徴として「システム操作が得意な一方、人との連携部分をシームレスに実行するのは難しかった」とし、「今回、業務プロセスのオーケストレーションができるChorusを活用し、システム操作の部分をBlue PrismのRPAで動かすことで、今までの『点での自動化』から『面での自動化』が実現できるようになった」とChorus投入の意義を説明した。

 RPAとBPMでは使われるレイヤーが異なるため、組み合わせて活用することで両者のメリットをそれぞれ引き出すことができそうだ。もともと米国内での展開から英語圏へのユーザー層を拡大していたChorusは日本国内での知名度はまだ低い状況だが、日本市場を重視してきちんと日本語化された状態で提供開始される点は評価できる。

 国内ではRPAの知名度が高く、かつ現場における効率化の工夫として導入されることも多い点は、現場からのボトムアップの取り組みを重視する傾向が強い日本の企業文化の影響もあるのかもしれない。そうした背景を踏まえると、Blue PrismのRPAをベースに、個別に自動化されたシステム間をBPMでワークフローとしてつなげることで面の自動化に発展させるアプローチは日本企業には自然に受け入れられるものである可能性もありそうだ。

 RPAに関しては一時のブーム的な状況が沈静化し、ユーザー企業の中には利用を見直す動きも出ているとも言われるが、BPMと組み合わせることで新たな需要を喚起できるのかどうか、今後の展開が注目される。