倉庫でパーツを探すことから始まった、マウスの親子パソコン組み立て教室

AI要約

マウスコンピューターは、2024年7月28日、長野県飯山市の同社飯山工場で親子パソコン組み立て教室を開催した。

組み立て教室では、親子が自由にPCを選択して3割引に参加し、完成品を持ち帰ることができた。

軣秀樹社長は、モノづくりにこだわり、日本での製品開発や品質向上に取り組んでおり、NEXTGEARブランドの成功を強調した。

倉庫でパーツを探すことから始まった、マウスの親子パソコン組み立て教室

 マウスコンピューターは、2024年7月28日、長野県飯山市の同社飯山工場において、親子パソコン組み立て教室を開催した。

 毎年、小学校6年生を対象に実施しているもので、今年で12回目となる。昨年(2023年)は、コロナ禍を経て4年ぶりの開催。今年はそれに続いての開催となった。

 組み立てるPCは、参加者が自由に選択でき、通常のPC価格の3割引で参加できる。完成したPCはその日に持ち帰ることが可能だ。国内生産を行なうマウスコンピューターならではの企画だといえる。

 午前と午後にそれぞれ30組の親子が参加する2部構成で実施。午前の部は午前9時から、午後の部は午後2時からスタートした。合計60組の親子の参加者は、長野県内だけでなく、四国や関西、東海、北陸、関東にも広がっており、デスクトップPCを選択した参加者が29組、そのうち7組が水冷PCの組み立てに挑戦した。ノートPCを組み立てた参加者は31組となった。

 開校式で挨拶したマウスコンピューターの軣秀樹社長は、「子どもの頃から、PCに触ってもらいたい、自分で作ってもらいたいという思いから、2010年に組み立て教室を開催をスタートした。また、この体験をさらに広げたいという思いから、2021年にはキッザニア甲子園、2024年6月には、キッザニア東京で組み立て教室のパビリオンをオープンしている。

 私は、子どものころからモノ作りが好きで、中学生の時にはラジオを作った。モノ作りができる会社に働けたらと思い、この業界に入った。中国などの海外生産が進展するが、私は日本でのモノづくりを盛り上げたいという思いがある。マウスコンピューターは日本でのモノづくりにこだわっていく。今日、組み立てたPCを勉強やプログラミング、ゲームなどに活用してもらいたい。PCの組み立てを楽しんでほしい」と語った。

 来賓として挨拶した飯山市の伊東ゆかり副市長は、「今日の参加者は、自分だけのPCを自分だけの力で組み立てる体験を楽しんでもらい、家族との楽しい思い出を作ってもらいたい。そして、自分で組み立てたPCを、長い間、使ってもらいたい」と述べた。

 また、今回の親子パソコン組み立て教室の校長を務めたマウスコンピューターの高橋和樹氏は、「今日の参加者は、先生となる飯山工場の社員が、抽選で引き当てて組み立ての支援を担当することなる。赤い糸で出会った先生である。一緒になってPCを組み立ててほしい。夏休み最高の思い出を作ってほしい」とし、「みんなで作ろう、パソコンマウス」と、この日のメッセージをポーズ入りで紹介し、会場を盛り上げた。

■ パーツピッキングから始まるPC組み立て

 組み立てを開始する前に、参加者は2チームに分かれて、「パーツピッキング」の作業と、「パーツ説明」を受講した。

 パーツピッキングでは、参加者ごとに用意された「部品を探せ! 」の地図をもとに、組み立てるのに必要な部品を倉庫からピックアップした。部品を入れる箱を押しながら、倉庫内にある部品を探し、自分が組み立てるPCのための部品を探すというイベントになっていた。

 また、パーツ説明では、これから組み立てるPCに搭載する部品の役割などを丁寧に説明。部品の取り扱い方や持ち方などについても説明し、組み立てする際にやってはいけないこと、組み立ての際のヒントについても伝授した。

 さらに、組み立て教室が開始される前には、「親子でトライアル」として、親子が協力して、PCの組み立ての際に難しい作業などを練習。CPUをマザーボードに装着したり、Wi-Fiカードにケーブルを接続したりといった困難な作業を体験。その様子をマウスコンピューターの社員が審査して、「飯山賞」、「工場長賞」、「熱心に取り組んでいたで賞」、「整理整頓できていたで賞」、「親子で協力していたで賞」の5つの賞で表彰した。

 組み立て教室の午後の部は、午後3時30分頃からスタートした。

 今回の取材では、千葉県から参加し、NEXTGEARの水冷PCを組み立てた親子の協力を得て、組み立ての様子を追った。

 写真で組み立ての様子を見てみよう。

■ NEXTGEARではAMDを生かしたコスパと商品力の強化を目指す

 なお、今回の親子パソコン組み立て教室に参加したマウスコンピューターの軣秀樹社長がメディアの取材に応じた。2024年6月20日に社長に就任後、初めての機会となった。

 軣社長は、「創業者の高島勇二は、自分が好きなPCを作り、世の中に出したいという思いで創業した。それを前社長の小松永門は、インテルでの営業経験をもとに、販売を伸ばし、企業を成長させた。私は、モノづくりをしてきた経験がある。私の役割は、新たなもの作り出し、モノづくりをしっかりと考えることである」と語った。

 モノづくりに関しては、「国内生産にこだわっていることで、高い品質を維持するとともに、日本のお客様が何を求めているのかを聞き、製品開発に取り入れ、要望に応えられる製品投入が可能になる。従業員1人1人がそうした思いを持ってモノづくりができる」とコメント。

 「品質の高さは継続して追求していくが、まだまだ製品力が足りていないという反省がある。お客様がどんな使い方しているのかといったことを、もっと知る必要がある。NEXTGEARでは、SNSで意見を募集した例もある。ゲーミングPCも、製品の魅力に加えて、それに付随するサービスを提供するなど、使い方に応じた製品をつくりたい。私自身、開発を担当していた経緯があり、新たなものに挑戦するという意思を常に持ってきた。新たな技術を取り入れながら、製品化したい」と語った。

 2023年7月にスタートしたNEXTGEARブランドのPCは、発売以来、急成長していることも強調。「部品価格が高騰し、PCの価格が上昇しているが、AMDのCPUを積極的に活用していること、コストパフォーマンスの高さが評価されている。ここでも、購入者などの声を聞いて、次の製品に反映させたい」とした。

 軣社長自身、趣味でPCを自作で組み立てたり、モニターやPCを分解したり、自分で修理したりといったことを行なってきたという。「最近はPCを組み立てていないが、ハンダづけは大好きな作業。これからもこうした作業はやり続けたい」と笑う。

 開発部門や品質部門を率いていた際には、組み立て方法についても自ら提案していたという。

 親子パソコン組み立て教室の様子を見て、「自分が参加したい」と語りつつも、「最近のPCは細かいので、難しいそうだ。今日は、社員からは口を出さないように言われている」と、少し寂しげに語っていた。