OpenAI、独自検索エンジン「SearchGPT」公開。招待制の期間限定試作、ChatGPTと統合へ

AI要約

OpenAIが、うわさの検索サービス「SearchGPT Prototype」の試験運用を開始しました。ChatGPTのように自然な文章で質問すれば、GPTがリアルタイムにウェブを検索してリンク先の文章を把握し、文脈に沿った回答をまとめて提示してくれます。

■ 従来型検索エンジンとの違い。旧来のいわゆる検索エンジンは、質問の内容を理解して答えそのものを返すわけではなく、検索キーワードを含むウェブページへのリンク(と抜粋)を並べる仕組みでした。知りたいことはリンク先に飛んで、ユーザーがそれぞれの文脈を理解して把握する必要があります。検索ワードを含んでいても ...

■ SearchGPT Prototypeの機能・特徴。SearchGPT の具体的な特徴は、ChatGPT同様に自然な文章で質問でき、知りたいことを直接回答。情報を得たリンク先を名称つきで明確にクレジットして、情報元を開きやすく表示。ChatGPTのように文脈を保持するため、会話で簡潔な追加質問ができること。

OpenAI、独自検索エンジン「SearchGPT」公開。招待制の期間限定試作、ChatGPTと統合へ

OpenAIが、うわさの検索サービス「SearchGPT Prototype」の試験運用を開始しました。

ChatGPTのように自然な文章で質問すれば、GPTがリアルタイムにウェブを検索してリンク先の文章を把握し、文脈に沿った回答をまとめて提示してくれます。

■ 従来型検索エンジンとの違い

旧来のいわゆる検索エンジンは、質問の内容を理解して答えそのものを返すわけではなく、検索キーワードを含むウェブページへのリンク(と抜粋)を並べる仕組みでした。

知りたいことはリンク先に飛んで、ユーザーがそれぞれの文脈を理解して把握する必要があります。検索ワードを含んでいても、ユーザーが知りたかったことは書かれていないページに突き当たることも多々あり、検索エンジンの使い方にも慣れや技術が必要です。

こうしたシンプルな仕組みに対して、できるだけ関連性の高い情報を提示したり、知りたいことそのものを提供する機能は、たとえばGoogleが2012年に導入したナレッジグラフや、直近では各社が争って導入するLLM(大規模言語モデル)ベースのAI活用など、各社が取り組みを続けてきました。

SearchGPTはこうした試みのひとつ。チャットボットのChatGPTでユーザーを獲得したOpenAIからすれば、検索エンジンの代名詞であるGoogleや、AIベースの検索エンジンならぬ「回答エンジン」を名乗るPerplexity など、検索を主としたサービスの領域に進出し競合する動きです。

■ SearchGPT Prototypeの機能・特徴

SearchGPT の具体的な特徴は、

・ChatGPT同様に自然な文章で質問でき、知りたいことを直接回答

ユーザーの質問に近い単語が含まれるウェブページを探すのではなく、GPTが質問の意図と文脈を理解してウェブを検索。結果をGPTが読み、質問への回答を作成します。

・情報を得たリンク先を名称つきで明確にクレジットして、情報元を開きやすく表示

GPTが検索したウェブサイトから内容だけを持ってくるのではなく、概要でユーザーの質問に答えるほか、情報元のページやメディアをクレジットしたリンクで分かりやすく表示します。

・ChatGPTのように文脈を保持するため、会話で簡潔な追加質問ができること

旧来型の検索エンジンでは、ユーザーがリンク先を読んで、分からなかったことや追加の疑問は新たに検索ワードを作り直して再検索が必要でした。

SearchGPTはユーザーの質問と自分の回答の文脈を持っているため、簡単な言葉で絞り込んだり、新たな回答を得られます。

■ メディアやクリエーターなど「エコシステム」との共存共栄をアピール

自然な会話で質問と直接回答ができるAIチャットボットならではの特徴に加えて、OpenAIは情報元となるウェブサイトやメディアへ還元する姿勢を前面に主張しています。

ウェブサイトの運営者にとっては、検索エンジンは長年にわたりユーザーにリーチする主要な手段として無視できない存在であるものの、GoogleやマイクロソフトBingなど各社が取り組むAIの導入については、ユーザーが訪れるかわりにボットが読んでウェブサイトの内容だけ取られるのではないか、自社のユーザーや広告ビジネスに悪影響がでるのではないか、また大規模言語モデルのトレーニングに使われているのではないかと、懸念や反発が強い状況です。

OpenAIはこれに対して、SearchGPTが生成した回答の文中にしっかり名前付きでリンクすること、リンク集サイドバーのように誘導の仕組みを用意すること、大手のニュースメディア等とはコンテンツ利用についてパートナーシップを結んでいることなどを、しつこいほどに強調しています。

(「インラインで分かりやすくリンクしてクレジット」は、他社のチャットボットが小さな脚注のようなかたちでしか情報元を明示せず、できるだけ自社サイト外への遷移を抑えようとしていることを意識した発言ともとれます)

またSearchGPT はあくまで検索のための機能であり、モデルのトレーニングとは別であること、情報元となるパブリッシャーは SearchGPT で検索可能にしつつトレーニングデータからは除外を選べることも強調します。

OpenAIはSearchGPTあるいは検索AIについて、情報元となるウェブサイトへの送客を減らすのではなく、むしろこれまで以上にユーザーに存在を知らしめ広くリーチする手段である、と表現しています。

情報元ウェブサイトやメディア企業とAI企業の緊張感が高まり、実際に複数の訴訟があるなかでの友好姿勢アピールですが、SearchGPTやChatGPTで直接、抜粋だけでなく充分な回答が得られれば、分かりやすくリンクされていようがいまいがわざわざ情報元を訪れる理由はなくなることを考えれば、実際に脅威となる存在であるからこそ精一杯の友好アピールとも解釈できます。

■ 今後は地域情報や買い物に拡大、ChatGPTに統合へ

OpenAIは今回「SearchGPT Prototype」と名称にプロトタイプをつけ、独立したサービスではなく「機能」であると断り、あくまで少人数を対象とした期間限定の試験運用であることを明言しています。

体験するには、ChatGPTのアカウント作ったうえで、ウィッシュリストに登録して招待を待つ必要があります。

OpenAIによれば、SearchGPT は今後さらに地域情報や、買い物といった領域で改善を続ける予定です。

将来的に、SearchGPT は単独の検索エンジンとして提供するのではなく、ChatGPTの機能として組み込まれる見込み。