【使いこなし編】第202回:Synology「BeeStation」と「ファイルの開放」機能を使って、PCのストレージ容量を節約する技

AI要約

本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用方法を詳しく解説しています。今回はBeeStation for Desktopを使用して、ファイルオンデマンド機能を使い、PCのストレージ容量を節約する方法を紹介しています。

BeeStation for Desktopを使うと、PCのファイルを自動バックアップし、故障などの際にデータを取り出せるようになります。また、ファイルオンデマンドを活用すると、ファイルの実体を削除しても必要な時にダウンロードできるため、効果的にストレージ容量を節約できます。

フォルダ内のファイルの容量を解放する操作を行うことで、実体のデータを削除してもファイルは存在しているように見える状態にして、PCのストレージ容量を消費しないようになります。また、ローカルのストレージにファイルを保存してオフラインでも利用できる設定も可能です。

【使いこなし編】第202回:Synology「BeeStation」と「ファイルの開放」機能を使って、PCのストレージ容量を節約する技

 本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単に簡単にアクセスでき、クラウドストレージのように利用できるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなむ。

 前回は、PCのストレージとBeeStationを同期させる「BeeStation for Desktop」を使ってみたが、今回も、このアプリの活用方法を、さらに詳しく見ていこう。

 前回「不要なファイルをバックアップ先に追い出してPCのストレージを節約するような用途とは異なる」と書いたが、ファイルオンデマンド(必要なときだけファイルをダウンロードして入手する)の状態になるため、不要なファイルの実体は削除して、必要になったときのみダウンロードして使うようにすることで、実質的にPCのストレージを節約できる。

 オフライン時にはファイルが利用できなくなるが、オンラインであれば心配は要らない。このファイルオンデマンド操作は少し分かりにくいので、実際に使って確認してみよう。前回の記事と少し手順がるが、アイコンの意味を解説しているので、合わせて確認してほしい。普段OneDriveを使っていれば、動作はまったく同じなので、違和感なく使えるはずだ。

 今回の実践はMacを使っているが、Windowsでもまったく同じ操作となる。

■ BeeStation for Desktopの同期機能は、バックアップとして機能する

 今回は、「BeeStation for Desktop」がすでに起動している状態を前提に始める。インストールしていれば、初期状態でPC起動時に自動で起動する設定になっているので、自動で起動しているはずだ。macOSならメニューバーに、Windowsならシステムトレイにアイコンが表示されているはずなので、確認しておこう。

 このシステム起動時に起動する設定は、設定アイコンから[設定]ー[全般]タブで[コンピューターの起動と同時にBeeStationデスクトップアプリを開始]をチェックすることで有効になる。もしもメモリ消費の関係などで常時起動しておきたくない場合は、チェックをはずしておけば、任意のタイミングで起動するようにできる。

 macOSもWindowも、左ペインのサイドバー(ナビゲーションウィンドウ)に「BeeStation」が表示されているので、それをクリックして表示させる。そこに新規のフォルダを作成して、フォルダ内に作業に使うファイルをコピーしてみよう。ドラッグ&ドロップで移動させると元の場所からの移動になるので、初回試してみるテスト作業用にはコピペにして、元ファイルはバックアップで残しておくといい。

 作成したファイルには、macOSではマークなしで、Windowsではチェックマークが付いているはずだ。これはローカルに実在していることを示すアイコンとなる。このファイルを一度編集し、別名で保存などをすると、同じフォルダ内で作成・変更されたファイルは、すぐ自動的にBeeStationと同期される。

 試しにウェブブラウザーでBeeFilesにアクセスし、同じフォルダを開いてみてほしい。BeeFiles内に同じファイルができているはずだ。

 ここまでの作業は、いつものファイルに対する操作とまったく同じ。違うのはBeeStationにも同じファイルが作られたり、同期更新されたりすることだけだ。しかも、この同期に関しては特に意識する必要なく、自動的に行われる。

 ここまで使ってみると、普段作業するファイルの自動バックアップとして、BeeStation for Desktopが機能することが分かるだろう。この時点で、万が一作業中のPCが故障してしまっても、同期していたファイルはBeeStationから取り出すことができる。別のPCを用意すれば、作業の続きができる。

 ただし、削除だけは注意してもらいたい。BeeStationにゴミ箱機能はなく、即時削除されるため、一度削除したファイルを戻せないのだ。同期されることで、PCからだけでなくBeeStation上からも消えてしまう。

■ 同期後に「容量を開放する」で、ファイル実体分の容量を節約する

 さて、このフォルダ内での作業が終わって、一連のファイルがこのPCでしばらく使うことがなくなったとしよう。最近のノートPCはSSD搭載のモデルが多いので、容量の余裕はそれほど大きくなく、不要なファイルはさっさと別のストレージに退避させたいというケースは多い。

  そうなったら、このフォルダに対して「容量を解放する」という操作をする。macOSは右クリックして[容量を解放する]、Windowsでは、右クリックして、[その他のオプションを確認]ー[BeeStation]ー[容量を解放する]を選択する。

 これを実行すると、ファイルやフォルダにクラウドからダウンロード「↓」のアイコンが付くようになる。これでPCの内蔵ストレージ上からは、実体のデータが削除され、容量が空いている。試しにファイルやフォルダの情報やプロパティを確認して、容量をチェックしてみてほしい。macOSではファイルの情報で「サイズ」を見る。「ディスク上の0バイト」と表示されているはずだ。Windowsではプロパティで「ディスク上のサイズ」が「0バイト」かをチェックする。

 つまり、ファイルは存在するかのように見えているが実体はストレージ上にない、ファイルオンデマンドの状態になっている。この状態になると、ファイルはあっても、実質的にPCのストレージ容量を消費せずに済んでいる。

 この状態であってもシステム上でファイル検索もできるので、後で必要になったら検索して、オンライン状態にてダブルクリックするなどすれば、ファイルを開くことができる。

 フォルダ単位でダウンロードして使いたい場合には、オンライン状態でフォルダを右クリックして、macOSの場合[常にこのコンピューターをオンにしておいてください][※]を選択する。Windowsでは、右クリックして[その他のオプションを確認]ー[BeeStation]から同メニューを選択する。これを実行するとmacOSでもWindowsでも緑のチェックマークが付くようになる。

[※]……ちょっとメニューの日本語訳が妙だが、つまりはローカルストレージに保存して、オフライン時でも常にファイルアクセスを可能にするという意味だ。これを実行したフォルダやファイルは、後で明示的に[容量を解放する]を実行しない限り、ローカルストレージに残り続ける。緑のチェックマークが付いているのが目印になる

 この状態で、ファイルはローカルのストレージにも保存され、オフライン時も使えるようになる。再度不要になったら、右クリックして[容量を解放する]を実行し、容量を節約すればいい。状態表示のアイコンはmacOSとWindowsで微妙に異なっているので、混乱しないようにしてほしい。

 ちなみに、この原稿の執筆時にmacOSとWindowsから同じBeeStationにアクセスして使っているが、まったく問題なく利用できている。macOSのシステムで使われている隠しファイル「.DS_Store」はWindowsから見ても確認できない。複数PCやスマホからアクセスして作業するという使い方も便利に使うことができる。

 ここで実践したBeeStationのファイルオンデマンドを使う方法なら、将来PCを買い換える際に内蔵SSD容量を少なめの安価なモデルを選択しても、うまく使いこなしていけることが分かるだろう。BeeStationをうまく活用すれば、クラウドストレージの利用料金とストレージ容量が大きなノートPCの代金の、双方を節約することも可能だ。

■ 今回の教訓(ポイント)

BeeStationをPCからBeeStation for Desktopで同期させて使うと快適

内蔵ディスク容量が厳しいPCで使うと効果絶大