GaN FETの特性を引き出す ADIが制御ICを解説

AI要約

Analog Devicesは2024年5月、GaNソリューションに関する説明会を開催した。

ADIのGaNソリューションは、GaN FETの制御に向けた製品で、変動性や信頼性の課題に対応している。

LT8418やLTC7890などの製品を紹介し、堅牢性や効率性を強調している。

GaN FETの特性を引き出す ADIが制御ICを解説

 Analog Devices(ADI)の日本法人であるアナログ・デバイセズは2024年5月、同社が提供するGaN(窒化ガリウム)ソリューションについての説明会を開催した。

 ADIが手掛けるGaNソリューションは、GaN FETの制御に向けたドライバーICやコントローラーICだ。説明会に登壇したAnalog Devices マルチマーケット・パワー製品事業部 シニアディレクターのDavid Andeen氏によると、GaN FETは各ベンダーが独自の方法で製造しているためデバイスごとの変動性が大きいほか、適切な制御が難しく、信頼性にも課題があるという。

 ADIのGaN FET向け製品は、こうした課題に対応するものだ。今回の説明会では100VハーフブリッジGaNドライバー「LT8418」、同期整流式降圧コントローラー「LTC7890」「LTC7891」を紹介した。ADIはこれらの製品について、変動性の大きいGaN FETに対応できる柔軟性と、制御能力、堅牢性を備えているとしている。

 LT8418は、伝搬遅延が10ナノ秒と低く、スプリットゲートドライバーでターンオン/オフ動作を調整可能だ。伝搬遅延のマッチングは1.5ナノ秒と厳密で、最大50V/ナノ秒のdv/dt耐性と4A(ソース)/8A(シンク)の電流能力を実現している。スマートブートストラップスイッチを内蔵することで堅牢性も確保しているという。

 LLTC7890およびLTC7891を用いると必要なインダクターはより小型に、出力コンデンサーはより少数になる。加えて外付けダイオードも不要としたことで部品点数と実装面積を削減できるほか、「ほぼゼロ」(ADI)のデッドタイムを実現してスイッチング損失を低減しているという。

 説明会では同製品を用いたデモも展示した。デッドタイムをほぼゼロとしたことで評価ボードの発熱を抑えることができるというものだ。

 ADIは、同社のGaNソリューションのターゲット市場として「産業用モーター/BLDC(ブラシレスDC)」「データセンター」「宇宙」「ヘルスケア」を挙げていて、Andeen氏は「ミッションクリティカルなアプリケーションでどんどん採用してもらいたい」と語った。

 同社は現在、200V対応のGaNソリューションは展開していないものの、今後の戦略としては「200V対応製品は近い将来に投入が可能だとみている。それを超える高電圧に対応する製品も、もう少し時間が必要だが十分視野に入れている」(Andeen氏)という。