auの新料金プラン「スマホスタートプランベーシック」を徹底解説、旧プランやUQ mobileと比べてみた

AI要約

新規契約者向けの新料金プラン「スマホスタートプランベーシック」が発表され、スマホデビューや若年層を想定したプランである。

データ容量が20GBから30GBに増量されたが、素の料金は値上がりし、割引条件も厳しくなっている。

他ブランドの選択肢も存在し、利用目的やサービス内容によってauを選ぶ理由がある。

auの新料金プラン「スマホスタートプランベーシック」を徹底解説、旧プランやUQ mobileと比べてみた

 KDDIが6月25日に、突如、スマホを新たに利用する新規契約者向けの新料金プランを発表しました。「スマホスタートプランベーシック」が、それです。この料金プランは、「スマホスタートプラン」「スマホスタートプランライト」の後継とも言える存在。実際、7月1日からは、スマホスタートプランベーシックに一本化され、これまでのスマホスタートプラン/同ライトは6月30日で新規受付を終了しています。

 では、スマホスタートプランベーシックは、これまでのスマホスタートプランや同ライトと、何が違うのでしょうか。旧料金プランやUQ mobileなど、KDDIの他ブランドとも比較しながら、スマホスタートプランをお勧めできそうなユーザー像をひも解いていきます。

■ スマホデビュー向けの料金プランが30GBに増量、ただし素の料金は値上げに

 その名のとおり、スマホスタートプランベーシックを契約できるのは、スマホを初めて持つユーザー。基本的にはガラケーなどとも呼ばれることがある、音声通話やSMSに特化した通常のケータイからの乗り換えを対象にしています。キャリアはauに限らず、ケータイであれば、他キャリアからの乗り換えでもOKです。

 一方で、若年層、特に10代のユーザーに関しては、ケータイを契約してからスマホに移るというより、今は最初からスマホを持つのが一般的です。そのため、22歳以下のユーザーに関しては、新規契約でもスマホスタートプランベーシックに加入することが可能になっています。若年層のユーザーが初めてケータイを持つ際の料金プランとしても、契約できる建てつけになっています。

 ある意味、想定されているユーザーは二極化しており、これまでケータイだけで新たにスマホに乗り換えるシニア層や、携帯電話自体を初めて持つ若年層が対象というわけです。この点は、前身とも言えるスマホスタートプランやスマホスタートプランライトから基本的には変わっていません。

 一方で、スマホスタートプラン、同ライトと料金プランがデータ容量別に分かれていたのに対し、スマホスタートプランベーシックはデータ容量が一択。その容量は30GBで、スマホスタートプランの20GBから10GB、データ容量が増量されています。逆に、いわゆる小容量プランだった4GBのスマホスタートプランライトに相当する料金プランはなくなってしまいました。

 料金は、各種割引適用後で3916円。ただし、契約翌月から1年間は「スマホスタート1年割」が適用され、1188円が割り引かれることで2728円まで下がります。これに加えて22歳以下のユーザーには、契約翌月から1年間、550円が割り引かれる「スマホスタート1年割ベーシック(U22)」も適用されます。これらを加味すると、22歳以下のユーザーは1年間、2178円で30GBを利用することが可能になります。

 22歳以下のユーザーが1年間2178円という点や、2年目以降が各種割引適用後に3916円になる点は、6月30日まで受け付けていたスマホスタートプランと同じ。その意味では、料金据え置きでデータ容量だけが10GB増量されたと見ることができます。ただし、割引が適用される前の“素の料金”に関しては、スマホスタートプランの4103円から上がり、5203円になっています。この部分をとらえると、“実質値上げ”と評することもできそうです。

■ 増えた割引、最低価格実現のハードルは上がった

 素の料金が値上がりした一方で、割引適用後の料金が据え置きになるのは、割引の比重が高まっているからにほかなりません。逆の見方をすれば、割引の条件に当てはまらない場合、データ容量が増えたぶんだけ料金が上がってしまうおそれもあります。では、スマホスタートプランとスマホスタートプランベーシックの“差分”はどこにあるのでしょうか。

 新規受付を終了したスマホスタートプランは、1年間の特別な割引を除くと、比較的シンプルな料金体系を採用していました。適用される割引は「au PAYカードお支払い割」の187円だけ。クレカさえ作ってしまえば、基本的には各種割引適用後の料金になっていたため、最低料金で利用できていた人も多いでしょう。仮に割引が不適用だった場合でも、毎月187円しか高くならない点はユーザーフレンドリーと言えそうです。

 これに対し、スマホスタートプランベーシックは、au PAYカードお支払い割に加えて、固定回線などとのセット割である「auスマートバリュー」や、家族割引の「家族割プラス」が新たに設けられています。また、家族割プランは2人と3人以上で割引額が異なり、550円の割引を受けるためには3人以上で契約する必要があります。つまり、固定回線を別途引きつつ、家族で3回線以上契約しなければ、

最低料金にはなりません。

 割引額は、auスマートバリューが550円。家族割プラスは2人の場合が220円、3人以上の場合が550円になります。auスマートバリューと家族割プラスの3人以上が適用されれば、1100円の割引になるということです。これにau PAYカードお支払い割を加えると、1287円の割引になります。逆に言えば、これらの割引が適用されない場合、スマホスタートプランと比べると、auスマートバリューと家族割プラスの1100円、高くなってしまいます。

 データ容量は10GBアップしているものの、この点は少々複雑になったと言えるでしょう。また、一人暮らしで固定回線を引いていなかったり、家族がau以外のキャリア、ブランドを契約していたりすると、割引の恩恵を受けられません。そのぶん、これまでのスマホスタートプランよりも、ターゲットは絞られていると言ってもいいでしょう。

■ UQ mobileを選択する手も、あえてauを選ぶのはどんな人?

 もっとも、KDDIが展開するブランドは、auだけではありません。ある程度データ容量を抑えつつ、リーズナブルに使いたいのであれば、サブブランドを選択するのも手と言えるでしょう。同社にはUQ mobileやpovo2.0といったブランドがありますが、基本的な回線品質はauと同じ。単純に通信手段がほしいという理由であれば、スマホスタートプランだけが選択肢ではありません。

 たとえば、UQ mobileの場合だと、「コミコミプラン」がデータ容量20GBで、料金は3278円。しかも1回10分までの国内通話が無料になるため、スマホスタートプランベーシックのように、別途音声通話定額をオプションで契約する必要もありません。通話定額がないときの料金は30秒あたり22円と割高なため、10分の通話が“コミコミ”になっているUQ mobileの方が安価かつ安心して利用できます。

 ただし、22歳以下の場合、スマホスタートプランベーシックは1年目が最低2178円と割安です。ここに、5分間の音声通話が定額になる「音声通話定額ライト2」をつけても、料金は3058円に収まり、UQ mobileのコミコミプランより料金は安くなります。また、音声通話はほぼ使わず、LINEなどのアプリで通話をまかなえるのであれば、料金差はさらに広がります。

 ブランド変更には違約金などはかからないため、1年目だけ、スマホスタートプランベーシックを使うといった選択肢はアリと言えるでしょう。料金が上がる2年目からは、UQ mobileに移ってしまえばいいからです。もっとも、これは各種割引適用後の話。家族にauユーザーがいなかったり、固定回線がなかったりした場合には、最初からUQ mobileを選択することをお勧めします。

 一方で、コミコミプランはデータ容量が20GBとやや少なめ。現在、データ容量が5GB増える「増量オプションII」が7カ月間無料になり、しかもキャンペーンで増量されるデータ容量が倍増するため、7カ月間は料金が変わらず30GBまで利用できます。ただ、8カ月目からは550円のオプション料がかかり、コミコミプランと合わせた料金は3828円になります。固定回線や家族割引をつけられつつ、かつデータ使用量が多いのであれば、スマホスタートプランベーシックを選ぶ手もあると言えるでしょう。

 また、auにはApple Watchで同一電話番号を利用できる「ナンバーシェア」などのサービスがあります。UQ mobileは、これに非対応。ほかにも、「5」と「8」の付く日に一部店舗でau PAYのポイント還元率が上がる「たぬきの吉日」では、auの方が還元率は高く、付与されるポイント数の上限も多くなっています。こうしたサービスにまで目を向けると、スマホスタートプランベーシックを選択する理由も出てきます。シンプルさを取るか、エコシステムを生かした使い勝手やお得度を取るかで、選ぶブランドが変わってくると言えそうです。