ベストプラクティスの導入がイノベーション活用につながる--インフォアCMOのウィリアムズ氏

AI要約

Inforは、製造業などを中心に業界特化型のクラウド型ERPを提供し、4月にはInfor GenAIを導入。マーケティング戦略やAIソリューション、日本市場への展望について説明。

Inforのマーケティング戦略はデジタルケイパビリティーの向上とターゲットを絞った認知度向上に焦点を当て、新機能のリリースや価値提案の明確化に取り組んでいる。

Infor GenAIを始めとするAIソリューションは製造業や流通業向けに開発され、顧客の業界データとプロセスを活用して効率性や生産性の向上を図っている。

ベストプラクティスの導入がイノベーション活用につながる--インフォアCMOのウィリアムズ氏

 Inforは、製造業などを中心に業界特化型のクラウド型ERPを提供する。4月には業界特化型の生成AI「Infor GenAI」の提供を始めている。来日した最高マーケティング責任者(CMO)のKirsten Allegri Williams氏に、同社のマーケティング戦略やAIソリューション、日本市場の展望などを聞いた。

--Inforのマーケティング戦略について教えてください。

 われわれは現在、デジタルケイパビリティー(企業がデジタル戦略を推進するのに必要な能力)の強化に重点を置いており、ターゲットを絞った認知度の向上や需要の創出、デジタル体験の向上に取り組んでいます。また世界中の顧客の主要言語に対応したコンテンツのローカライズも進めています。

 また、ソリューションのポジショニングにも重点を置いています。4月にクラウドプラットフォーム「Infor OS」のアップデートを発表し、イノベーションに対する価値提案を明確しました。加えて、Infor GenAIをリリースし、製造や流通、サービスなど主要な業界・業界のユースケースに対して、どのように効率性や生産性を向上させるかを説明しました。

 例えば、フォークリフトの世界的なメーカーでは、生成AIを活用することで顧客サービスや従業員の生産性を80%向上し、収益を25%増加させました。

 カスタマーサクセスも重要な戦略の一つです。われわれは、顧客とのパートナーシップを重視し、新しいイノベーションを継続的に導入してもらえるように努めています。Inforは、マルチテナント型のクラウドERPとして、6カ月ごとに新機能をリリースしています。また、顧客により多くの価値を提供できるよう、カスタマーストーリーの共有にも力を注いでいます。

--直近ではInfor GenAIの提供が始まりました。InforのAI戦略はどのようなものですか?

 Inforは、業界に特化した企業の課題を解決することで成長してきました。われわれの目標は、効率性とはどのようなものかを再考することであり、膨大な時間を要する日常業務からユーザーを解放し、より価値の高い業務に専念できるようにすることです。また、Inforのビジョンは、顧客の潜在能力を最大限に引き出し、人々の生活を向上させることです。

 われわれのAIソリューションには、処方的AI、予測的AI、生成的AIがあり、製造業や流通業などの特定の業界向けに構築されています。顧客は、Inforのデータサイエンティストが構築したAIツールを使って、ガイド付きのデータ探索などが可能になります。

 Inforは、2000を超えるマイクロバーティカルの業界プロセスにおけるベストプラクティスの知識が強みです。また、Inforのデータ基盤はオープンアーキテクチャーの上に構築されています。Infor GenAIは、顧客の業界データとプロセスを活用し、大規模言語モデル(LLM)と組み合わせることで、収益性や顧客満足度の向上、デリバリーの改善、製造の効率化などを実現できるようにしたいと考えています。

--日本市場での注力領域はどこですか?

 われわれは、自動車をはじめとする製造業や流通業など、日本の中核産業に非常に重点を置いています。また、パートナーを通じたエコシステムの構築にも取り組んでいます。つい先日(5月23日)には「Infor Velocity World Tour Tokyo」を都内で開催しました。今後も当社のソリューションの需要拡大と差別化を促進していきます。

 日本はInforにとって非常に重要な成長市場です。日本の企業がクラウドでビジネスをデジタル化する際に直面する重要な課題の1つは、各業界のベストプラクティスを採用することです。基幹産業の多くの顧客は、既に個別のベストプラクティスやプロセスを構築していますが、それではスケーラビリティーがありません。

 業界向けにあらかじめ設定されたベストプラクティスを導入するためには、チェンジマネジメントが重要となります。基幹業務のデジタル化には非常に大きな困難が伴います。しかし、ベストプラクティスに移行できれば、生成AIなどのイノベーションを導入するまでの時間を短縮することができます。