グーグルを脅かすAIスタートアップ「パープレキシティ」は「インターネット検索」を根本から覆すかもしれない

AI要約

Perplexity(パープレキシティ)が提供する「回答エンジン」は、グーグルの検索エンジンに変化をもたらす可能性を秘めている新しいスタートアップ企業である。

AIの進化により、会話エージェントの普及が進み、これにより検索エンジンへのアクセス方法が変化している。

PerplexityはAIを活用して情報を直接提供し、ユーザーが結果を迅速に把握できるようにすることを目指している。

グーグルを脅かすAIスタートアップ「パープレキシティ」は「インターネット検索」を根本から覆すかもしれない

ChatGPTほどまだ浸透してはいないかもしれない。だが、ソフトバンクも提携を発表し、じわじわとその勢力を拡大するスタートアップ企業「Perplexity(パープレキシティ)」。彼らが生み出した「回答エンジン」は、インターネットの検索システム自体を変えてしまうのだろうか。

ある日突然、グーグルの検索エンジンに取って代わるアプリケーションが出現したら──。これまでなら突飛な仮説でしかなかっただろう。だが、生成AIの新時代において、こうした仮説はますます現実味を帯びてきている。

もちろん、この技術を実質的に発明したと言える巨大企業グーグルは、まだ始まったばかりのAI戦争において、反撃するための資本と頭脳のリソースを充分有している。しかし、OpenAI(オープンAI)による「ChatGPT」のような対話エージェントの普及は、グーグルの主要な糧である「グーグル検索」を揺るがしつつある。何千ものスタートアップ が、AIの「大規模言語モデル」を使い、グーグルの検索エンジンに対抗しようとしているのだ。

こうした新星企業のなかで、もっとも脅威となるのが「Perplexity(パープレキシティ)」だ。OpenAIとMeta(メタ)の元社員たちによって2022年8月に設立されたこの企業は、自らを「検索エンジン」ではなく「回答エンジン」と表現する。

ユーザーにウェブサイトを案内する代わりに、情報を直接提供し、その回答は構成のしっかりとした要約の形をとる。出典元はハイパーリンクで示される。パープレキシティの目的、それは、AIを使って結果をまとめることにより、「知識へのアクセス方法を変革する」ことだ。

現在、米サンフランシスコのコワーキングスペースでわずか50人程度の従業員が働くパープレキシティだが、すでにユーザー数は5000万人に達し、一流の投資ラウンドで総額1億ドル(約157億円)を調達している。投資会社インスティテューショナル・ベンチャー・パートナーズに並び、AI半導体のトップ企業NVIDIA(エヌビディア)や、GoogleによるAI開発企業DeepMind(ディープマインド)のチーフサイエンティスト、ジェフ・ディーン、MetaのAIサイエンティストのヤン・ルカン、Amazon(アマゾン)創業者ジェフ・ベゾスといったスターが名を連ねる。パープレキシティのCEOアラヴィンド・スリニヴァスは、グーグルとの戦いに意欲を燃やしていることを公言している。

「私の自信は、『もし彼らが私たちよりも良い成果を出したいのであれば、彼らはどうしても自分たちのビジネスモデルを破壊しなければならなくなる』という点から来ています」と話す。

グーグルの親会社Alphabet(アルファベット)にとっての「金を産む鶏」は、世界中のオンライン検索の93%を占める検索エンジンだ。2023年、グーグルは検索サービスの広告から1750億ドル(27兆5千億円)の収益を上げ、全収益の半分以上を占めた。しかし、インターネットユーザーが検索エンジンからサイトを訪れることなく直接答えを得ることができてしまえば、もう広告の恵みにはあやかれない。