OpenAI・エヌビディアは「目の上のたんこぶ」…生成AI制覇ねらうマイクロソフトの絶望

AI要約

マイクロソフトは、AI市場で主要プレーヤーであり、OpenAIやNVIDIAと深い関係にある。

マイクロソフトはOpenAIとの提携を通じて大規模言語モデルを活用し、NVIDIAとの関係も密接である。

マイクロソフトのAIビジネスはこれらのパートナーシップに深く依存しており、今後の友好関係の解消も懸念される。

OpenAI・エヌビディアは「目の上のたんこぶ」…生成AI制覇ねらうマイクロソフトの絶望

 生成AI市場をめぐる熾烈な争いで中心的プレーヤーである米マイクロソフト。同社は、大規模言語モデル(LLM)分野で米OpenAIと、AI半導体分野で米エヌビディアと密接な相互依存関係にあることは有名だ。一方で、ともにマイクロソフトの潜在的なライバルでもあり、早晩「今日の友は明日の敵」になる可能性がある。エヌビディアに至っては、時価総額でアップルを抜きマイクロソフトに迫る勢いだ。そこで本稿では、マイクロソフトとこれら2社が競合するビジネスは何か、そしていつ友好関係が解消となる可能性があるのか、分析する。

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 ライバルの先頭を切る形で、華々しく生成AIブームに乗るマイクロソフト。だが、そのAIビジネスは外部取引先のイノベーションの力なしには成り立たない。

 たとえば、マイクロソフトがOpenAIの営利孫会社株式の49%を保有し、総額130億ドル(約2兆円)を超える膨大な出資金を投じる見返りに、OpenAIのLLMであるGPTをCopilotの基礎に据えた。これは、裏を返せばマイクロソフトがGPTをしのぐLLMを開発できなかったからだとも言える。

 また、クラウドベースのAI用スーパーコンピューター構築で、エヌビディアのA100やH100といったGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を大量購入した。GPUは慢性的に不足していて、なかなか調達が難しいのもあり、マイクロソフトはMaia 100やCobalt 100といったGPUを内製しようとしているものの、エヌビディア製品を超えるレベルに達しているとは言い難いものだろう。

 事実、下の図1が示すように、マイクロソフトはエヌビディアにとって、2023年11月~2024年1月の売上で推定15%を占めた最大の顧客だ。その割合は、メタやアマゾン、アルファベット、デルよりも大きい。

図1:マイクロソフトが1位と、密接な関係は明らか

(米ブルームバーグ、英金融大手バークレイズ、英フィナンシャル・タイムズなどの資料を基に筆者作成)

 マイクロソフトは、主力事業に育てようとするAIビジネスの核心部分で、OpenAIとエヌビディアに深く依存している。だから、その関係性は「蜜月」に見える。