オラクルとGoogle Cloudが提携--顧客のクラウド移行やマルチクラウド展開を後押し

AI要約

OracleとGoogle Cloudは、OCIとGoogle Cloudのテクノロジーを組み合わせ、アプリケーションの移行とモダナイゼーションを加速する提携を発表

Google CloudのCross-Cloud Interconnectを活用し、Oracle Database@Google Cloudの提供を予定

OCIとGoogle Cloudの協力により、クラウド間のデータ転送料なしでワークロード展開やAIサービス活用が可能に

オラクルとGoogle Cloudが提携--顧客のクラウド移行やマルチクラウド展開を後押し

 OracleとGoogle Cloudは米国時間6月11日、顧客が「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)とGoogle Cloudのテクノロジーを組み合わせ、アプリケーションの移行とモダナイゼーションを加速できるようにする提携について発表した。

 Google Cloudの「Cross-Cloud Interconnect」ではまず、世界11のリージョンで顧客オンボーディングの開始を予定している。これにより顧客は、クラウド間のデータ転送料なしで汎用ワークロードを導入することが可能となる。2024年後半には新サービス「Oracle Database@Google Cloud」の提供を予定しており、同サービスは最高レベルの「Oracle Database」とネットワークパフォーマンスをOCIと同等の機能と価格で提供するという。

 両社はOracle Database@Google Cloudを共同で市場に展開し、金融サービス、ヘルスケア、小売、製造など、さまざまな業界の企業にメリットをもたらすとしている。

 Oracle Database@Google Cloudは、Google Cloudデータセンターに配置され、OCI上で実行されるOracleのデータベースサービスへの直接のアクセスを可能にする。この新サービスは、顧客のクラウド移行の加速を支援し、IT環境のモダナイゼーションに加え、Google Cloudのインフラストラクチャー、ツール、「Vertex AI」や「Gemini」の基盤モデルなどを含むAIサービスを活用できる。具体的には、以下の利点がある。

「Oracle Zero-Downtime Migration」などの実績のある移行ツールとの高い互換性を含め、Oracle DatabaseのGoogle Cloudへの移行を簡素化・高速化する柔軟なオプションを提供する

「Google Cloud Marketplace」を介することで購入と契約を簡素化する。顧客は、既存のGoogle Cloudへのコミットメントを使用してOracle Databaseサービスを購入でき、Bring Your Own License(BYOL)などのOracleの既存ライセンス特典や、Oracle Support Rewards(OSR)などの割引プログラムも利用可能。加えて、両者による統合された顧客体験(CX)とサポートを提供する

「Oracle Exadata Database Service」「Oracle Autonomous Database Service」「MySQL HeatWave」「Oracle Database Zero Data Loss Autonomous Recovery Service」「Oracle GoldenGate」「Oracle Data Safe」など、Oracle Database全体のポートフォリオを導入するための統合された運用環境(データセンター)をGoogle Cloud内で提供することで、セキュリティや低遅延を容易に実現する

Oracleのデータを「Vertex AI」や「Gemini」基盤モデルといったGoogle CloudのAIサービスと接続することで、顧客/従業員サービス、クリエーティブスタジオ、開発者環境のためのAIアプリケーションやエージェントを強化する

 Oracleは北米と欧州を皮切りに、世界中のGoogle Cloudデータセンター内でOracle Databaseサービスを直接運用管理することを予定している。「Oracle Exadata Database Service」「Oracle Autonomous Database Service」「Oracle Real Application Clusters(RAC)」は2024年後半、米国東部(アッシュバーン)、米国西部(ソルトレイクシティ)、英国南部(ロンドン)、ドイツ中部(フランクフルト)の4リージョンで提供開始され、そのほかの地域にも急速に展開される予定。

 OCIとGoogle Cross-Cloud Interconnectは、顧客がOCIとGoogle Cloudの両リージョンにわたって、クラウド間のデータ転送料金なくワークロードを展開することを可能にする。

 顧客は6月11日から、オーストラリア東部(シドニー)、オーストラリア南東部(メルボルン)、ブラジル東部(サンパウロ)、カナダ南東部(モントリオール)、ドイツ中部(フランクフルト)、インド西部(ムンバイ)、日本東部(東京)、シンガポール、スペイン中部(マドリード)、英国南部(ロンドン)、米国東部(アッシュバーン)の11のクロスクラウドインターコネクトリージョンにおいて、オンボーディングを行える。

 これにより顧客は、機能、パフォーマンス、価格に基づいて両社のサービスを最適に組み合わせ、イノベーションをもたらせる。また、OCIとGoogle Cloud間の直接相互接続を活用することで、低遅延を実現し、最高クラスのマルチクラウドネットワークパフォーマンスを実現できるという。

 OCIとGoogle Cloud上の分散データストアを用いて、「Oracle E-Business Suite」「Oracle PeopleSoft Enterprise」「Oracle Retail Merchandising」など、Oracleの複数アプリケーションをOCI上で実行することも可能。加えて、Google CloudのエンタープライズクラスのAIテクノロジーを含むGoogle CloudとOCIのテクノロジーを活用し、新しいクラウドネイティブなアプリケーションを構築できる。