これはもはやカメラと呼ぶべきでは? ライカレンズ搭載スマホ『Xiaomi 14 Ultra』の実力を試してみた

AI要約

2024年5月、Xiaomiのフラッグシップスマホ『Xiaomi 14 Ultra』が発売された。市場想定価格は19万9900円で、高品質なスマホカメラを搭載。ライカ社と共同開発したカメラはコンパクトカメラを超える性能を持ち、アクセサリーも充実している。

『Xiaomi 14 Ultra』のカメラは1インチセンサーを採用し、異なるレンズで幅広い撮影が可能。アクセサリー『Photography Kit』により、スマホをデジカメのように操作でき、高品質なフィルターも使用可能。

撮影例や操作性の評価も高く、普段使いから専門的な撮影まで対応するスマホは、カメラ愛好家やクリエイターにとって魅力的な選択肢となりそうだ。

これはもはやカメラと呼ぶべきでは? ライカレンズ搭載スマホ『Xiaomi 14 Ultra』の実力を試してみた

 2024年5月、Xiaomiのフラッグシップスマホ『Xiaomi 14 Ultra』が発売された。市場想定価格は19万9900円(RAM16GB/ストレージ512GB)。『Xiaomi 14 Ultra』は、ライカ社と共同開発した高品質なスマホカメラを搭載しているのが特徴だ。『LEICA VARIO-SUMMILUX』という明るいレンズと、最新の1インチセンサー『LYT-900』を採用しており、もはやコンパクトカメラをも超えたカメラ性能を有している。ウルトラの名は伊達ではない。

 製品発表会では『Xiaomi 14 Ultra』の実機を使ってレビューできる機会があったため、作例と共に本機を紹介する。主だったスペックは以下のようになっている。SoC:Snapdragon 8 Gen 3、ディスプレイ:約6.73インチ/3,200×1,440px/AMOLED/リフレッシュ120Hz/最大輝度3,000ニト、バッテリー:5,000mAh/33分で100%まで充電の急速充電対応/ワイヤレス充電

■スマホをカメラに変身させる充実のアクセサリー

 『Xiaomi 14 Ultra』は4つのカメラレンズを搭載している。超広角12mm、広角23mm、望遠75mm、超望遠120mmだ。このうち23mm広角がメインカメラで1インチのセンサーを採用し、その他3つのセンサーは1/2.51型の『IMX858』を採用している。また、メインカメラのみf値1.63~f値4.0の無段階可変絞りシステムを搭載し、ボケ感や被写界深度を光学的にコントロールできる。センサーサイズや絞り値に違いはあれど、いずれもライカ印のレンズであることは共通している。本機の撮影体験をさらに底上げしてくれるのが、別売のアクセサリー『Photography Kit』だ。スマホケース、バッテリー内蔵グリップ、レンズカバーなどが同梱されている。

 グリップの上部にはシャッター、コマンドダイヤル、録画ボタンがあり、『Xiaomi 14 Ultra』をデジカメライクに操ることが可能だ。シャッターにはパワーズーム可能なレバーがあり、レバーを左右に動かすだけで連続的にズームができる。これは非常に便利だった。グリップの底面にはUSB Type-C端子があり、スマホ本体およびグリップへの充電が可能。ストラップホールもある。また、市販の67mmフィルターを装着できるアダプター的なレンズカバーも用意されている。C-PLフィルターやブラックミストフィルターといった、デジカメ向けの本格的なフィルターをスマホにも応用できる。近年はスマホで本格的な動画を制作するニーズも高まっており、これは嬉しい仕掛けだ。

■『Xiaomi 14 Ultra』による作例集

 ではいよいよ『Xiaomi 14 Ultra』で撮影してみた。まずはそれぞれのレンズの画角を知るため、超広角から望遠側へと順に撮影していった。メインカメラの23mmでは右奥の黒や明るい外もしっかりと描けており、ダイナミックレンジの広さを感じる。もっとも寄れる超望遠レンズでの撮影はテレマクロのような撮り方もできそうだ。一台のスマホでこれだけ撮影幅をもてるのは、なんとも贅沢。次は無段階可変絞りによる光芒表現をチェック。メインカメラは絞り値を変更することができるが、これをギュっと絞った状態で点光源を撮影すると……。放射状の光芒を作り出せる。イルミネーション撮影ではデジカメ顔負けの美麗撮影が楽しめそうだ。「ナイトモード」で撮影すると、同じ暗闇でもここまで明るくなった。ISOは4,000と非常に高いが、気になるノイズはあまり見られない。

 次はポートレート撮影を試してみた。ポートレートはいかに被写体を際立たせるかがポイントだが、本機の「マスターレンズシステム」はレンズごとに異なるポートレート表現が用意されている。ドキュメンタリー、渦巻きボケ、ポートレート、ソフトフォーカスとなっている。右に向かうほどズームするようになっている。渦巻きボケはオールドレンズに見られる独自のボケ感だが、それほどクセがあるようには見えない。普段使いできそうだ。 ポートレートでは背景はかなりとろけており、被写体がより際立つ。最後はソフトフォーカス。いわゆる「紗がかかる」写真だが、これはこれで味としてアリな表現だろう。。

 普段使いするならポートレートが画角的にも使いやすそうだが、いずれの写真もスマホらしいパンフォーカスな印象はない。人物を撮影するのが楽しくなるカメラ、もといスマホになりそうだ。マクロ撮影もお任せで、指輪にここまで寄ることができた。超広角によるワイドマクロと望遠側を使ったテレマクロが使える。120mmの望遠で撮影したが、前ボケや反射光のボケ方などはかなり自然。スマホをテーブルに置いて撮影したが、ここまでグラウンドに迫れるのはスマホの利点と言える。デジカメで同じ画角を取ろうとしたら、腰が大変そうだ。

 ライカといえばアンダー寄りの写真ということで、ぐっと露出を下げた撮影も。時間がない状況で適当に撮影したが、思ったより説得力のある絵になった気がする。なんとなしに撮影しても説得力があるというのも、良いレンズと良いカメラの条件だろう。

■「そういえばこれ、スマホだった」と思わせる操作性

 今回の作例は、いずれも『Photography Kit』を装着した状態で撮影した。片手で持てるグリップ感の良さやズームの便利さも相まって、使い心地はほぼデジカメだった。縦画面での撮影がメインならそれほど便利さは感じないかもしれないが、スマホをデジカメのように扱いたい人には『Photography Kit』をオススメしたい。

 もうひとつ驚いたのは、撮影した写真の引き伸ばし耐性だ。以下の写真は、写真家の嶋本丈士氏が『Xiaomi 14 Ultra』で撮影したもの。

 長辺約1mほどに引き伸ばしてプリントされているが、画質的に荒れは全く感じなかった。本機は16bitのRaw撮影も可能で、ポスプロ耐性も充分。嶋本丈士氏は「カメラを常に持ってないと不安になるけれど、このカメラ(スマホ)があれば手ぶらで街に行っても良いのが新鮮だった。1台で撮れる安心感がある」とも述べていた。

 カメラ性能を追求したスマホは「スマホ付きカメラ」などとも言われるが、『Xiaomi 14 Ultra』はまさにそれ。「カメラが好きで普段から持ち歩きたい、でも重いカメラを持ち歩くのはしんどい」といったニーズには、ドンピシャで刺さるモデルだろう。むしろ、スマホならではの表現方法×ライカ画質という、新たな作風を開拓する楽しみもあるかも?