渋谷伝承ホールの舞台「時は今 天が下しる 桔梗かな」ゲネプロ拝見 濃い顔の堀田眞三が猿顔に

AI要約

演劇集団UTARI第4回公演「時は今 天が下しる 桔梗かな」のゲネプロを観劇。新たな解釈で「本能寺の変」を描き、光秀、信長、秀吉の内面を描き出している。

舞台美術、和楽器の音、謡の素晴らしさに加え、俳優たちの動きの美しさがポイント。日本舞踊の名人も出演し、全体の雰囲気を引き立たせる。

演出家によるダメ出しもあり、出演者の精気を感じ取り、演劇の魅力を存分に楽しめる公演である。

渋谷伝承ホールの舞台「時は今 天が下しる 桔梗かな」ゲネプロ拝見 濃い顔の堀田眞三が猿顔に

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

 演劇集団UTARI第4回公演「時は今 天が下しる 桔梗かな」(主催:K‘sLink宮島啓、11日から東京・渋谷伝承ホール)のゲネプロ(通し稽古)を、初日前日の10日に観劇した。

 日本人なら誰でもよく知る「本能寺の変」を新たな解釈で描いている。主役の明智光秀を演じる加納明(53)が脚本、演出を担当。今までとは全く違った光秀像を描き出している。

 光秀に謀反を起こされる織田信長役は田中正彦(69)。単なる暴君の様に描かれることも多い信長だが、今回はその内面も描き出している。

 そして最後に“漁夫の利”を得る羽柴秀吉役を堀田眞三(78)。自ら「おいしい役だね」と笑うだけあって、舞台上で生き生きと演じている。ハーフに間違えられる“濃い顔”を、どのようにして「猿」と呼ばれた秀吉にするのかと思っていたが、なるほどと思わせるメークだった。

 光秀の叔父という僧の役で日本舞踊「名古屋西川流」の西川鯉之亟(73)が出演して所作も始動。俳優たちの動きの美しさもポイントだ。

 そして何より、音が素晴らしい。琵琶、笛、鼓、琴などの和楽器にギターを絡ませて生演奏。謡も素晴らしく“舞台芸術”を堪能できた。

 ゲネプロ終了後の演出家によるダメ出しも少しのぞかせてもらった。出演者の精気をもらった気がして、気分爽快、その後の酒がうまかった。

 出演は、他に若山騎一郎、賀集利樹、島本和人など。15日まで。【小谷野俊哉】