世界文学の極北『フィネガンズ・ウェイク』邦訳版が復刊 日本語表現の可能性を切り開いた訳業の30周年

AI要約

ジェイムス・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』日本語訳が30周年記念で復刊する。英文学者柳瀬尚紀が翻訳し、翻訳不可能と言われた作品を日本語で完訳した。

ジョイスはアイルランドの小説家であり、ダブリンを舞台に20世紀を代表する作品を多く残した。『フィネガンズ・ウェイク』は最後の作品であり、独自の表現や文学的技法が評価される。

柳瀬尚紀の訳は世界初の個人完訳であり、国内外から賛辞を得た。30周年と100周年を記念し、2024年に復刊が発表されたが、8月26日に刊行されることが決定した。

世界文学の極北『フィネガンズ・ウェイク』邦訳版が復刊 日本語表現の可能性を切り開いた訳業の30周年

アイルランドの小説家であるジェイムス・ジョイスさんの代表作『フィネガンズ・ウェイク』日本語訳が、8月26日(月)に復刊する。

復刊するのは、英文学者である柳瀬尚紀さんが1993年に日本語訳を手掛けたもの。

翻訳不可能とされた歴史的奇書と、日本語表現の可能性と限界を切り開いた訳業が、30周年記念での復刊される。

ジェイムス・ジョイスさんは、長編『ユリシーズ』や短編『ダブリン市民』などで知られる小説家。1941年に死去。

アイルランドの首都・ダブリンを舞台に小説を執筆し、20世紀を代表する重要な作品を多く残した。彼の死後も、後の小説家たちによる文学の傑作や、現代の芸術にも影響を与え続けている。

そして『フィネガンズ・ウェイク』は、ジェイムス・ジョイスさんの最後の作品。1924年に一部が発表され、執筆開始から約17年を経た1939年に刊行された。

数千年の人類の全歴史を酒場の家族の一夜の夢に圧縮。日本語を含む多様な言語や独自の表現、文学的技法を詰め込んだ難解な作品であり「文学の極北」とも評価されている。

こうした理由から翻訳不可能とまで言われた『フィネガンズ・ウェイク』。

日本でも抄訳がおこなわれてきたが、1993年に柳瀬尚紀さんが完訳版を発表。60を超える言語で書かれたとされる原典に20年以上向き合い、漢字・ひらがな・カタカナ・ルビという日本語の特長を駆使して表現した。

個人による完訳は当時世界初。国内外から惜しみない賛辞が贈られた。

2024年3月に、原典の雑誌発表から100年、日本語での全訳完結から30年を記念して復刊することが発表。日付の発表が待たれていたが、ついに8月26日に刊行されることが明らかになった。