UUUM創業者・鎌田和樹氏が成功した理由「圧倒的に数が違う」 優先順位は儲かるよりも面白い

AI要約

鎌田和樹氏が自身の単著『名前のない仕事』を通して、自らの起業家としての経験や将来の展望を語る。

鎌田氏は今後の新事業に向けた意欲を示し、「必要とされることが自らの原動力になる」と語る。

彼の常に前向きな姿勢や楽しみを重視する姿勢が窺えるインタビューとなっている。

UUUM創業者・鎌田和樹氏が成功した理由「圧倒的に数が違う」 優先順位は儲かるよりも面白い

 起業家でUUUM創業者の鎌田和樹氏はどう仕事に向き合い、どう生きてきたのか。これまでの仕事人生を記した初の単著『名前のない仕事』(ダイヤモンド社)が27日に発売される。著書に込めた思いと同時に、UUUM卒業から約1年たった今、何を考え実業家として今後どう生きていくのか探った。取材すると言葉の端々に来年9月に新事業を始動する強い意欲をにじませた。

 まずは著書を紹介してもらった。

「19歳から光通信という会社で働きはじめ、29歳の時にUUUMという会社を創設し、昨年39歳で卒業するまでの20年間をまとめておきたい、形としてしっかり残しておきたいという思いで書きました。これまで一緒に働いてきた皆さんに読んでほしいですし、内容は私の体験ですが、これから起業するとか、もしくは会社に勤め、いろいろ思うことがある人、引退した方にもこういう経営者がこういう事業をやってきたんだと、その道中を楽しんでいただけると思います」

 著書の最後には新たな事業への意欲を感じる言葉が記されている。これまでの経験を次に生かすためにまとめた一冊に感じる。

「次のビジネスの展開も考えていきたいと思っております。TOB後、私自身が動きやすくなるのは来年の9月。今すぐ、このビジネスを立ち上げたいというのはないですが、昨年、UUUMの株を売却後、すぐに仕事をという気持ちにはならなかったところから年が明けて、働きたい気持ちは少しずつ大きくなってきています」

 じっとしていられないタイプか。

「社会的にこういうポジションにつきたいという気持ちは今もないんですけど、ただ、自分だからできるとか、人に必要とされるとか、自分が貢献できるかとか、自分の中で面白いと思えることかとか、そういうことが自分の中で増えてきている気がします。ビジネスの大小はあれども次の物を生み出していけるようなことにまたチャレンジしたいんだろうなという気がします。ただ、また同じことはしないと思います。自分がどう求められているかを見極めて1年後に備えたい。1年はあっと言う間。仕込んでいかなきゃと思っています」

 生活には困らないはず。仕事をするのは一流の経営者になる夢を持ち続けているということか。

「人間が働く理由の一つにお金を稼ぐことが分かりやすくあると思いますが、株式を売却し、大金を手にしたタイミングで働く意義みたいなものが自分の中で削られていきました。そこで、どうしたら自分のモチベーションが上がるかを結構な時間考えました。どうしたら楽しいかということで言うと、いい食事とか、いいワインを飲みたいというような気持ちはなく、誰かの役に立った時に限りなく自分のモチベーションが上がる。必要とされることが自分の原動力になるのは間違いないと思います」

 2013年に東京・原宿のワンルームからスタートし、あっと言う間に大企業の経営者。鎌田氏のどこが普通と違うのか。

「多分、自分で意思決定している機会がすごく多いと思いんだと思います。朝、起きて着る服から全部自分で考えながら過ごしています。何を意思決定しても全部自分に返ってくる、通信簿が分かりやすく出る立場が創業者とかオーナーだと思っています。その意味で圧倒的に人よりも経験や意思決定の数が違うと思います。そこから自分の追い込み方を分かっています。僕の『さぼりたい、遊びたい』という言葉の中には、普通の人の何倍もその分、仕事をするということが同居しています。そういう意味で自分のことをよく分かっていると思います」

 今後の事業でHIKAKINと再びタッグを組む可能性はあるのか。

「何とも言えません。ただ『ある』と言うことは、今は間違いなくないです。出会ったことのないクリエイターやアーティストかも。オファーがあった時、僕の判断基準は面白いか、面白くないか。一番遠いのは、僕はこれをやれば儲かりますと言われるのが一番冷めるタイプです」

 優先順位は「儲かります」より「面白い」。その理由は。

「僕は儲かるよりも楽しいこと、新しいことにひかれます。新しいことを学べる、知ることはすごくうれいしいこと。なるべくそういう所に身を置きたいと思います」

 常に前に向かって生きるエネルギーを感じる。

「『昔はよかった』ということはすごく言いたくないです。常に今から先の話をしていたい。振り返るのはもう少し年を取った後でもいいでしょう。前を突き進んでいきたいです」

 今のYouTuber界をどうとらえ、今後どうなっていくと思うか。

「最初にお伝えするとUUUM卒業後はYouTubeを意外と人並み以下にしか見ていないと思います。毎日見る必要がなく俯瞰してYouTubeとそれ以外のメディアや世の中のことをドライに見ていると、YouTubeもプラットフォームの一つでしかなく、YouTubeを経由しなくてもインフルエンサーが生まれる土壌ができはじめていると感じます。トレンドが移り変わっているのでYouTubeもワンオブゼムだと今は思います。もし何か物を売りたくてYouTubeをやるならTikTokの方がいいと素直に言えます。YouTubeじゃないプラットフォームなりサービスがこれからもっと強くなる気がします」

 ネット以外の世界で将来、鎌田氏の活躍はあるのか。

「多分、農業はやらないと思いますけど、ネットを使ってビジネスをしなければいけないとも思っていません。プラットフォームを作ってという時代でもないと思っています。労働集約型だよね、と言われることであっても、やりがいとか、やってみたいとか、楽しいと思うことだったらやると思います。1年しかないので何となく形にしていきたいと思っています」

 プライベートでは40歳になって苦手なパクチーと納豆が食べられるようになったという。「こんな自分に出会えるなんて」と驚いていた。1年前からボクシングジムに通って体力作りは万全。来年9月、“こんな鎌田氏に出会えるなんて”と驚くような事業をスタートしているかもしれない。