「母が亡くなる2週間前から葬儀の予約を入れた」新田恵利 死装束にウエディングドレスを縫いながら迎えた最期

AI要約

母親が寝たきりになった際に、新田恵利さんとの会話から死装束としてウェディングドレスを着ることを希望していたことが明らかになる。

新田さんが母親のためにウェディングドレスを縫い始めるも、怖れからなかなか進められず、母が亡くなってから完成させたことを語る。

母は最期まで自分の死装束がウェディングドレスであることを知らず、新田さんとの約束を実現できなかったことに後悔を抱いている。

「母が亡くなる2週間前から葬儀の予約を入れた」新田恵利 死装束にウエディングドレスを縫いながら迎えた最期

約6年半母親の介護を行った新田恵利さん。生前母が語った言葉から、死装束としてウエディングドレスを縫っていたそうですが、そこにはある後悔が残ったと明かしてくれました。(全5回中の3回)

■死装束を縫って

新田さん:そうなんです。寝たきりになる10年くらい前だったかな。母と一緒にテレビを観ていたときに、たまたま番組で「死装束」について取り上げていたんです。私が「ママ、最期これ着るの?」と聞いたら、「いやよ、こんなの」と。「じゃあ、どんなのがいいの?」とたずねたら、しばらく考えて「ウエディングドレスがいいな」と、ポロっと言ったんです。そのときはまだ元気だったので、「わかった。じゃあ買っておくね」なんて軽い感じで聞き流していました。

母はもともと現実主義というか、「花より団子」派で、私が昔、おニャン子クラブでアイドルだったころ、毎日たくさんお花をいただくのを見て「花じゃなくて、ほうれんそうの方がよかった!」というくらい(笑)。寝たきりになったときに、夫が母にかわいいピンク色の毛布を買ってきたんです。最初にそれを見て、「うちの母がそんなラブリーな毛布なんて使うかな…」と思ったのですが、母は「かわいい、かわいい」と大喜び。無邪気にはしゃぐ母を見て、そういえば「死装束はウェディングドレスがいい」と言っていたことを思い出したんです。

── ウェディングドレスを縫うことは、お母さまに伝えていたのですか?

新田さん:縫い始めたのは、亡くなる6か月くらい前。死を目前にした母に「死装束を縫っている」とは、さすがに言えなかったですね。私自身も、「このドレスを縫い終えたら、母が死んでしまうんじゃないか」という感覚があって、怖くなってしまい、なかなか縫い進めることができなかったんです。結局、亡くなってからミシンで仕上げ、母は私が縫ったウェディングドレスを着て旅立ちました。ドレスのことは最後まで伝えられなかったので、母自身は、自分の死に装束を見ていません。死ぬ前に「本当にウエディングドレスでいいの?」と確認をしたわけではないので、もしかしたら、気が変わっていたかもしれないですけど…。