「おまえもビグ・ザム?」意外と多いバリエーション機 これだけあったら連邦粉砕!

AI要約

MA-08 ビグ・ザムはジオン公国軍が開発した要塞攻撃MAで、圧倒的な火力を持ち、Iフィールドによる長距離ビームの無効化能力を持っていた。

ビグ・ザムは生産コストが膨大で、ムサイ級軽巡洋艦2隻分にも相当し、稼働時間も20分以下という問題点があり、試作機のみで量産は不可能だった。

ジオン軍の軍事戦略において、複数の新兵器を同時に開発するプランが効率的でなかった可能性があり、ビグ・ザムの量産への道を阻んだ要因の一つとなっていた。

「おまえもビグ・ザム?」意外と多いバリエーション機 これだけあったら連邦粉砕!

『機動戦士ガンダム』には、いろいろなMA(モビルアーマー)が登場しました。そのなかでも印象的だったMAといえば、多くの人が「ビグ・ザム」の名前を挙げることでしょう。

「MA-08 ビグ・ザム」は、要塞攻撃および防衛を目的にジオン公国軍が開発したMAでした。その全高は通常のMS(モビルスーツ)の3倍以上である59.6mにも及びます。そして、その火力は「一年戦争」中の機体としては最大級といえるでしょう。

 このビグ・ザムに乗り込んだのが、宇宙要塞「ソロモン」を指揮していた「ドズル・ザビ」です。しかし、初見でのドズルの評価は辛辣なものでした。劇場版では「戦いは数」だと、ビグ・ザムを1機しか送らなかった「ギレン・ザビ」に憤慨し、TV版でも「代わりにリック・ドムを10機も回せ」といっています。

 これは直前のサイド6での戦いで、18機(劇場版では12機)のMS「リック・ドム」を失っていたことに起因するかもしれません。サイド6での戦いで「コンスコン」が敗北したことにより、地味にソロモンの防衛線が削られていたというわけです。

 ところが、ビグ・ザムに乗り込んだドズルの、同機に対する評価は一変しました。その圧倒的な火力と、機動兵器に初めて搭載された「Iフィールド」による長距離ビームの無効化という攻防兼ね備えた強さに、「ビグ・ザム量産の暁には連邦なぞあっという間に叩いてみせるわ!」と豪語しています。

 確かに圧倒的な戦闘力を秘めたビグ・ザム、はたして量産は可能だったのでしょうか。一説によると、その生産コストはムサイ級軽巡洋艦2隻ぶんだったそうです。しかもコストの割には、稼働時間は20分以下という資料がありました。

 こういった問題点から、ビグ・ザムは試作された1号機のみだったそうです。しかし問題点はそれだけではなく、ジオン軍の戦略プランにもあります。ジオン軍は国力が低いにもかかわらず、いくつもの新兵器の開発を同時並行で行っていました。このプランをいくつか統合すれば、より効果的な開発ができたといえるでしょう。

 ビグ・ザムに限っていえば、MAの試作数をもっと絞ればよかったのかもしれません。たとえば「アプサラス」のような運用目的の似たMAとの競合になっている点で、無駄にコストを消費していることになります。

 これはトップダウンで物事が決まるのに、その決定権を持つ者が複数いるという、ジオン軍の長所であり短所でもある点が問題でした。ビグ・ザムは経緯からいってギレン主導のプランであり、そしてアプサラスはデギン・ソド・ザビによる裁可を経ているとされています。つまり似たような機体を別の部署で開発していたといえるかもしれません。

 この逆が「地球連邦軍」で、時間短縮も考慮して量産するMSを「RGM-79 ジム」の1種類として、迅速な大量生産で数を揃えたというわけです。ここにジオン敗北の原因があったのかもしれません。

 もっともビグ・ザムの量産はドズルだけでなく、多くの人間の夢だったようです。そのためか、外伝も含めると何十機ものビグ・ザムが宇宙世紀に誕生していました。