『虎に翼』寅子と航一はなぜ「滑って転んだ」あと「永遠を誓わない、だらしない愛」に進んだのか

AI要約

福田フクスケさんによる『虎に翼』振り返り日記の第19週の感想を紹介。

航一と寅子の葛藤、始の自省、寅子の複雑な気持ちなどが描かれる。

優未やマージャン、杉田兄弟との関係などが物語に影響を与える展開も。

『虎に翼』寅子と航一はなぜ「滑って転んだ」あと「永遠を誓わない、だらしない愛」に進んだのか

『虎に翼』振り返り日記:第19週「悪女の賢者ぶり?」

X(旧Twitter)に日々投稿する『虎に翼』に対する感想がドラマ好きのあいだで人気のライター・福田フクスケさん(@f_fukusuke)。連載「『虎に翼』振り返り日記」では、福田さんが毎週末にその週の感想を振り返って伝える。見逃してしまった人も、あのシーンが気になると思った人も、友達と自分の感想をすり合わせる気持ちでお楽しみください。

総力戦研究所にいながら日米開戦を阻止できなかった戦争責任を感じている星航一(岡田将生)。そんな彼の抱えているものを分け合い、寄り添って一緒にもがきたいと言う佐田寅子(伊藤沙莉)は、次第に航一からの好意、そして自分の航一への好意に気づいていく。

しかし、互いの気持ちに蓋をしてしまっている2人の距離はなかなか縮まらない。2人の関係を一歩踏み出させるのは、優未(竹澤咲子)の後押しか、花江(森田望智)のアシストか、それとも……。多くの視聴者をやきもきさせた第19週を振り返ります。

航一を「つまらなくて退屈な人」、寅子を「小うるさいクソババア」だと思っていたという入倉始(岡部ひろき)は、そんな自分を「人を見る目がない」と責める。

動揺するあまり失礼な本音を漏らしてしまう若くて未熟な彼を、「私も思っていたわ、差別主義者のクソ小僧って」とわざと強く言い返すことで「おあいこ」に持ち込み、手打ちにしてあげる寅子の対応は寛大だ。

そして、自分もまた「心を閉ざして見ようともしていなかった」と反省する寅子。人の内心や本質に触れるには、まず自分が相手に心を開いていなければならない、ということだろう。

しかし、そう語る寅子自身が、航一への気持ちに蓋をしてしまっているのが歯がゆい。

色恋に関する鈍感さは昔からだが、航一に対する自分の気持ちが好意であることを自覚できないでいるのは、優三(仲野太賀)への後ろめたさや優未の手前、という自制心が働いてしまっているせいも大きいだろう。

それすら見抜いている優未の「私のせいにしたりしないでね」というセリフが、寅子のことを見透かしすぎていて面白い。

航一との距離を縮めるきっかけになるはずのマージャンが、「考えてることを読まれねえように」しなければならないゲームであるのは皮肉な話だ。

噂話の権化である杉田太郎(高橋克実)・次郎(田口浩正)の兄弟が、「変な噂立てられてもあれでしょ?」という余計な気遣いで、寅子と航一の交流の機会を邪魔してしまうのももどかしい。