誰しも通る自分探し、レイチェル・マクアダムス出演、11歳の少女と母視点で送る「神さま聞いてる? これが私の生きる道?!」

AI要約

映画監督のケリー・フレモン・クレイグが待望の第2作「神さま聞いてる? これが私の生きる道?!」を発表した。これは、映画化された児童書「神さま、わたしマーガレットです」の物語で、11歳の少女が新しい生活に絶望し、神への祈りを通じて自分探しをする姿が描かれる。

原作には生理や信仰の問題などのタブーに挑戦した要素があり、それが児童書として物議をかもしたが、アメリカでは半世紀以上愛され続けている。マーガレットの宗教的探求と家族の理解に焦点が当てられている。

青春映画「スウィート17モンスター」の成功から、クレイグ監督は成長した主人公の内面を丁寧に描く手腕を発揮し、新たな視点から子供の世界を描き出す作品となっている。

誰しも通る自分探し、レイチェル・マクアダムス出演、11歳の少女と母視点で送る「神さま聞いてる? これが私の生きる道?!」

もう8年前の作品になるが、「スウィート17モンスター」という素晴らしい青春映画があって、「ディキンスン ~若き女性詩人の憂鬱~」のヘイリー・スタインフェルドが地方の不機嫌で不器用な女子高生の青春を、みごとなまでにさえなく、かつイキイキと魅力的に演じていた。無名の脚本家だったケリー・フレモン・クレイグの監督デビュー作でもあり、彼女も高く評価されたが、その後なかなかその名前を目にすることがなかった。

そのクレイグが、昨年ついに監督第2作「神さま聞いてる? これが私の生きる道?!」を発表した。1970年に出版された全米ベストセラー児童書、「神さま、わたしマーガレットです」の映画化で、日本でも今年2月からネット配信されていて、各種動画配信サービスで見ることができる。

「スウィート17モンスター」は17歳の少女の思春期の苦悶(くもん)を描いていたが、今作の主人公マーガレットは11歳。親の都合でニューヨークから隣州のニュージャージーに引っ越しすることになり、この世の終わりかというほど絶望する小学生だ。

原作の「神さま、わたしマーガレットです」は、日本では82年に邦訳本が出版されたまま絶版になってしまっているが、アメリカでは半世紀を超えて愛され続ける一方で、児童書としていかがなものかと物議も醸したという。

理由は、女性の生理や初潮についてタブー視せずに描いていたこと(これは出版当時に比べればより理解が進んだ社会になっているはずだが)、そしてタイトルにもあるように、大きくいえば「神の不在」をめぐる信仰の問題がテーマになっていたから。

父親がユダヤ教徒、母親がキリスト教徒であるマーガレットは、11歳にして初めて真剣に神に祈り、宗教について考えはじめる。両親はプレッシャーを与えずにいつか本人が選択すればいいと思っているのだが、アイデンティティーに悩む少女にとって、神さまは生きる指針になってくれるかもしれないのだ。

とはいえマーガレットが神さまに願うことは「引っ越ししたくありません」とか「(周りの友だちよりも)早く初潮が来ますように」とか、あくまでも11歳の目線でたわいもない。ただ、たわいないことが天変地異にも匹敵するのが小学生の世界。クレイグ監督は、大人の目にはなんでもなく映るありふれた日常を、大げさにすることも矮小(わいしょう)化することもなく、ジャストな心地よさでつづっている。