「流していいのかな?」5月に逝去の中尾彬さん、出演する新CMが7月からスタートに疑問の声

AI要約

出張買い取り業者『買取福ちゃん』のCMが亡くなった中尾彬さんを起用し続けており、一部の視聴者から物議を醸している。

企業は放送法上の制約はなく、中尾さんとの絆を大切にしたいという理念を持ち、ブランドイメージを強化したいと考えている可能性がある。

一方で、故人を使用することで広告代理店が制作費や手数料の削減を迫られる可能性も示唆されている。

「流していいのかな?」5月に逝去の中尾彬さん、出演する新CMが7月からスタートに疑問の声

《まだ出ているんだよね。ちょっとびっくりする》

《やばくないの?》

《亡くなった人のコマーシャルを流していいのかな? タケモトピアノは財津一郎さんのCMをやらなくなったけど》

 出張買い取り業者『買取福ちゃん』のCMについて、SNSには連日こんな感想コメントが寄せられている。妻で俳優の池波志乃とともに、長年同社のイメージキャラクターを務めていた中尾彬さんが、5月に逝去した。にもかかわらず、この7月から新CMがスタート。生前と変わらぬ元気な姿で「福ちゃんだね!」という決めゼリフを言っていることについて、モヤッとしたものを感じている人たちは一定数いるようだ。

『買取福ちゃん』を運営する株式会社REGATEの親会社である、レクストホールディングス株式会社の広報部によると、

「買取福ちゃんイメージキャラクターとして長年ご活躍いただいていた中尾彬様は、単なるイメージキャラクターという枠を超え、その存在は弊社にとってかけがえのないものでした。弊社としましては、今後も何らかの形でイメージキャラクターとしての活動を継続していただきたいという思いです。今期より先の予定については未定でございます。具体的なことは、出演者の皆様や各事務所様のご意向も踏まえたうえで検討してまいります」

 とのこと。一部の声より、消えることはない中尾さんへの信頼と感謝を大切にした、ということだろう。

 とはいえ、SNSの声にもあったように、放映中に亡くなった人をCMキャラクターとして使い続けることに、何か制限などはあるのだろうか。企業の広告事情に詳しい経営コンサルタントの小野裕介さんがこう解説する。

「放送法にひっかかる、といったようなペナルティー的なものは一切ありません。その企業のスタンス次第です。『買取福ちゃん』の場合、利用したいと思う人たちと、中尾さん夫妻の知名度や年齢層が合致します。また、『亡くなった中尾さんとの絆を大切にしている』という実直な企業理念もアピールすることができ、中長期的なブランドイメージをつくりたい企業にとってはまったく悪いことではありません。あとは権利継承者となる所属していた事務所や家族が、いつまで起用を認めるかになると思います」

 なお先日、タケモトピアノが長年CMキャラクターを務めた財津一郎さんをリスペクトした新CMを発表したことでも話題になった。これもまさに「ブランドイメージのために故人を起用する」という一例だろう。

「一方、常に最先端をアピールするため、ブランドイメージを固定したくない企業もあります。日本コカ・コーラ社などは、そのため同じイメージキャラクターと3年以上は契約しないといいます。唯一例外だったのが、缶コーヒーブランド『ジョージア』のイメージキャラクターを務めた山田孝之さんだったと聞いたことがありますね」

 さすがカメレオン俳優! ところで、亡くなった方を使用し続けることで、一番割を食うのは誰になるのだろうか。

「広告代理店ではないでしょうか。故人を使用した新しいシリーズのCM制作を提案することが難しくなり、制作費や手数料が激減してしまうでしょうから」(小野さん)

 これからも中尾さんの「福ちゃんだね!」を聞き続けられるようだ。