池松壮亮主演、映画『本心』本予告 テクノロジーが進んでも完全には理解できない人の心の本質

AI要約

平野啓一郎氏の長編小説を、主演に俳優の池松壮亮を迎え、石井裕也監督が映画化した『本心』の本予告が解禁となった。物語は、主人公が母を作るという行動から始まり、未知のテクノロジー世界と人間の心の奥深さを探る展開が描かれる。

工場で働く青年・朔也は、母が自由死を選択し亡くなり、唯一の家族を失くす。彼はリアル・アバターの仕事を始め、依頼主の代わりに行動する中で様々な人間関係や葛藤に直面する。

朔也は新たな技術を用いて母を再現しようとし、AIが組み込まれた母親の仮想像が完成。しかし、母親像は息子の知らない一面を明らかにし、朔也自身も迷いと混沌の中で本心を見失っていく。

池松壮亮主演、映画『本心』本予告 テクノロジーが進んでも完全には理解できない人の心の本質

 平野啓一郎氏の長編小説を、主演に俳優の池松壮亮を迎え、石井裕也監督(『月』、『舟を編む』)が映画化した『本心』(11月8日公開)の本予告が解禁となった。映像は、池松演じる主人公・朔也の「母を、作りたいんです」という一言から始まる。「母を作る」とは、一体どういうことなのか――。

 工場で働く青年・朔也(池松)は、同居する母(田中裕子)から仕事中に電話が入り「帰ったら大切な話をしたい」と告げられる。帰宅を急ぐ朔也は、途中に豪雨で氾濫する川べりに母が立っているのを目撃。助けようと飛び込むも重傷を負い、1年もの間昏睡状態に陥ってしまう――。

 目が覚めたとき母は亡くなっていて、生前“自由死”を選択していたと聞かされる。また、ロボット化の波で勤務先は閉鎖。朔也は、唯一の家族を失くし、激変した世界に戸惑いながらも幼なじみの岸谷(水上恒司)の紹介で「リアル・アバター」の仕事を始める。

 カメラが搭載されたゴーグルを装着し、リアル(現実)のアバター(分身)として依頼主の代わりに行動する業務を通して、人々が胸の内に秘めた願いや時には理不尽な悪意に晒され、人の心の奥深さとわからなさを日々体感してゆく。そんな中、仮想空間上に任意の“人間”を作る「VF(ヴァーチャル・フィギュア)」という技術を知る朔也。いつまでも整理のつかない「母は何を伝えたかったのか?どうして死を望んでいたのか?」を解消したい気持ちから、なけなしの貯金を費やして開発者の野崎(妻夫木聡)に「母を作ってほしい」と依頼する。

 不安を抱えつつも進化し続けるテクノロジーの未知の領域に足を踏み入れた朔也に、野崎は「本物以上のお母さまを作れます」と告げる。

 生前の母と親しかったという女性・三好(三吉彩花)から得た母の情報などもAIに取り込み完成したのは、仮想空間の中では、まるで本当に生きているかのような母。

 朔也はVFゴーグルを装着すればいつでも会える母親、そしてひょんなことから同居することになった三好と、他愛もない日常を取り戻していくが、VFは徐々に“息子の知らない母親の一面”をさらけ出していく…。進化する時代に翻ろうされ、自らの“存在”や“本心”をも見失っていく朔也と、そのまわりの人間たちの混沌としたさまが映し出される。

 あわせて、AIや仮想空間、日々著しく進化する技術が世界中を席巻し、生活様式が目まぐるしく変貌していく“今”の時代を描いた本作の場面写真も解禁となった。