結城モエ 初主演映画「乱歩の幻影」慶大法学部卒の勉強家&読書家、最高のハマリ役に

AI要約

30歳の女優結城モエが初主演映画「乱歩の幻影」で幻影に取りつかれる主人公を熱演し、共感できる部分を見つけながら役作りに取り組む。

高橋克典との共演や作品のラストに注目し、日常に隠されたミステリーを感じ取る視点を共有する。

結城は女優デビュー後の8年間で、演技の向上と正義をテーマにした作品への出演を志望しており、弱さと強さを演じ分けることを大切にしている。

結城モエ 初主演映画「乱歩の幻影」慶大法学部卒の勉強家&読書家、最高のハマリ役に

<情報最前線:エンタメ>

 小悪魔キャラで注目を集めてきた女優結城モエ(30)が第2章を踏み出した。初主演映画「乱歩の幻影」(秋山純監督)でミステリー作家・江戸川乱歩への憧れから、幻影に取りつかれてしまう主人公・弓子を熱演。慶大法学部卒の勉強家かつ読書家の結城にとって、最高のハマり役になっている。作品の見どころや、新たな1歩を踏み出した今に迫った。【加藤理沙】

 ■共感部分多かった

 ミステリー界のレジェンド、島田荘司氏による幻の名作として語り継がれる同名作品が原作。初主演のオファーは「疑いの気持ちから入りました」と笑った。

 「家族が喜んでくれたことに対して楽しみだと感じました。今回は個人で感情と向き合うシーンも多かったので、皆さんが作るキャラクターに支えられて自然と没入しました」

 江戸川乱歩の愛読者の弓子が生前の乱歩の「殺人快楽症になりたい」という言葉を巡り、倒錯の世界に踏み込んでいく役どころだ。

 「同じことが起きても受け取り方が人それぞれであるように、尊敬の念や恋心ゆえ、本を読み込んでいるからこそ、弓子はここまで踏み込んでしまう。共感できる部分も多かったので、彼女自身の気持ちを理解することに努めました」

 読書好きで、乱歩の「蟲(むし)」も出演決定前から読了済み。最近は父の影響で時代小説を読んでいるという。読書シーンにもこだわりがある。

 「本を読むシーンは普段の自分と一緒にして、自分の中にある特徴を生かそうと思いました。漫画なら体勢を崩したりするけど、小説などはちゃんと読む。手に持って開いた時の姿を生かしたかったんです」

 ■日常にミステリー

 乱歩役の高橋克典とは何度も共演があるが、今回はあえて「会話をしようとしなかった」と明かした。

 「過去の作品ではよくアドバイスもいただいていたんですが、今回は乱歩と弓子の関係性を考えて、ちょうど良い距離感で程よい空気感を出してくれました。克典さん自身が私の憧れである江戸川乱歩であり続けてくれたんだと思います」

 最大の見どころは真実に迫るラストだ。「情熱をぶつける迫力を映画館で見て欲しい」とアピールした。

 「乱歩の『蟲』が根本にある作品なので、本に対してどんな思いを感じるのか。感情を照らし合わせながら見てもらえると、皆さんの日常のどこにミステリーが隠れているのか感じられるかなと思います」

 ■女優への思い本物

 結城は大学卒業後、芸能活動を本格的にスタート。きっかけはミスコンだったが、過去にもスカウト経験はあり「この仕事は自分にとって近い存在だった」と明かした。在学中は進路を熟考したという。

 「大学では現実主義の友人が多くて、『女優になりたい』という心の声を素直に聞けない自分がいました。生きるためにどの道が良いか、本気で役者になる覚悟をするまでに必要な時間だったとも思います」

 テレビ局の報道部門など、インターンシップ(就業体験)などにも数多く参加。「誰よりもガツガツ情報を集めて、可能性を模索してやみくもに日々を生きた感じです」と振り返った。

 「マスコミ系は報道やアナウンサーなど裏方を含めて、かなり受けました。取材現場を見に行ったり、報道局に入ったり。就職活動をする中で、そんなにうまくいくわけないと思いつつ、心の奥底にある女優への思いが消えなかった。この気持ちは本物だと確認ができた気がしました」

 女優デビュー後はドSキャラや小悪魔キャラで注目を集めた。「見た目はハマっているんですよね。中身は違うんですけど(笑い)。自分でもよく話が来ると思いました」と笑った。

 ■至らなさ車で号泣

 活動の中、転機となった作品は、GP帯連続ドラマ初出演となったTBS系「恋する母たち」だった。

 「恋人役が磯村勇斗さんだったんですが、初日の撮影後、帰りの車で号泣するくらいに、自分の至らなさと相手から感じ取った演技のパワーにやられて。人のお芝居で感情を突き動かされたのは初めてで、あの時にもっと本気で頑張りたいと思いました」

 今年で女優8年目。今後は正義をテーマにした作品への出演を熱望している。

 「元々法律を学んでいたし、社会的なことが好きで曲がったものが嫌いな正義感がある。新聞記者や弁護士のような役をやってみたいです」

 根底にある「人のためになる人間でありたい」という思いを胸に、今後も突き進む。「演じる上で弱さに寄り添うことを一番大切にしているので、弱い人間らしさも演じられる俳優になりたい」と力を込めた。

 ◆結城(ゆうき)モエ 1994年(平6)5月18日生まれ、福岡県出身。慶大法学部在学中にエントリーした「ミス慶応コンテスト2014」でのファイナリスト選出をきっかけに、卒業後女優デビュー。TBS「恋する母たち」、テレ朝系「ドクターX~外科医・大門未知子~」など悪女キャラで注目を浴びる。ほか日テレ系「新空港占拠」、フジ「トクメイ!警視庁特別会計係」「罠の戦争」、映画「嘘喰い」「劇場版おいハンサム!!」など多数出演。165センチ。血液型O。

 ◆乱歩の幻影 原作、脚本を担当した島田荘司氏のリアルな体験から発想された、ミステリーの大家・江戸川乱歩の秘密に迫る物語。乱歩に心酔するあまり“幻影”に取りつかれてしまう主人公・弓子の精神世界を描く。共演に高橋克典、常盤貴子、山口大地ら。