上杉柊平、志田彩良、桜井日奈子 『マル秘の密子さん』でダークな一面を発揮する俳優たち

AI要約

福原遥が新たなダークヒロインとして注目される『マル秘の密子さん』。過去とは異なる一面を開花させ、若手俳優たちもブラックな役柄で存在感を放っている。

上杉柊平や志田彩良、桜井日奈子など、それぞれが従来のイメージとは異なるキャラクターで抜群の演技力を見せつける。

作品全体がバランスの良いキャラクターやキャスティングで構成され、俳優たちのブラックな芝居が魅力的な作品となっている。

上杉柊平、志田彩良、桜井日奈子 『マル秘の密子さん』でダークな一面を発揮する俳優たち

 『マル秘の密子さん』(日本テレビ系)第1話、第2話と、期待に応えるようにダークヒロインっぷりを見せつけている福原遥。密子役はこれまで健気なヒロインを演じることが多かった福原遥の新たな一面が開花している。放送前から福原遥の芝居に注目する声はあったが、実際に放送が始まると福原以外の俳優も、これまでとは違った“ダーク”な役柄を演じているのに気付く。

 まずは、九条家の跡取り息子である九条遥人を演じる上杉柊平。『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系)では、深田恭子演じる成瀬瞳子に想いを寄せる加瀬息吹を演じた。若くして経験した挫折からくる憂いを帯びながらも、瞳子にかける言葉には真剣であたたかな愛情があった。6月末まで放送されていた『ミス・ターゲット』(ABCテレビ・テレビ朝日系)では、お人好しな和菓子職人を好演。すみれ(松本まりか)に徐々に惹かれていく過程やすみれ釈放後の葛藤など、ピュアな恋心を表現していた。

 過去の経験を引きずる憂いや元来の人の良さ、ピュアさなど、種類は違えど人間味がある役柄が多かった。一方、『マル秘の密子さん』で演じている遥人は、仏頂面で部下へ淡々と指示を出すような冷徹な人間だ。人好きのする笑顔を封印していることで、これまでの役にはない圧力を感じさせる。

 九条家の長女・九条玲香を演じる志田彩良も同様だ。『ドラゴン桜』(TBS系)の小杉麻里役やNHKドラマ10『大奥』の徳川家茂役など、聡明で笑顔がかわいらしい役を演じることが多かった志田。初主演となった『消せない「私」ー復讐の連鎖ー』(日本テレビ系)では、デジタルタトゥーを刻まれた女性・硝子を演じた。悲しみや憎しみに突き動かされながらも、高潔さを失わない強さがあった。『マル秘の密子さん』では、密子や夏(松雪泰子)に対して声を荒げたり、プライドの高さを見つけたりと、高飛車な社長令嬢を演じている。聡明で明るい女性とはほど遠い身勝手さのある役で、笑顔からもそこはかとない恐ろしさを感じてしまう。

 遥人の秘書・松本千秋を演じる桜井日奈子も、パブリックイメージとは異なる姿を見せている。数多くのCMに出演し、そのかわいらしさから抜群の高感度がある桜井。『マル秘の密子さん』で、8年ぶりのGP帯ドラマへのレギュラー出演となった。密子に脅され、密子や夏に振り回されるなど、かわいらしくはいられない状況に置かれる役柄だ。千秋の目まぐるしく変わる表情からは、桜井の芝居の振り幅が存分に楽しめる。第2話では、今井親子を陥れようと暗躍したことで、密子からさらに脅されることに。抗いながらも密子の策略に巻き込まれていく姿は、この作品イチの苦労人といっていいだろう。密子に最も近い九条側の人間として、密子の正体に近づく重要な役になりそうだ。

 福原遥を筆頭に、若手俳優たちのこれまでにない“ダーク”な芝居が楽しめる『マル秘の密子さん』。ブラックな役柄が多いことで、松雪泰子が演じる夏が自分らしく変化する姿がよりまぶしく見える。夏は、松雪自身が持つ気高さに純粋さが足された、思わず応援したくなるヒロインだ。夏の魅力を裏のある他のキャラクターたちが引き立てているともいえるし、夏の純粋さが作品の中心にあるからこそ、他の人物の闇が際立つともいえるだろう。キャラクターの設定やキャスティングのバランスの良さが、作品のテーマに説得力を与えているのだ。

 俳優のパブリックイメージに左右されない印象を見せるキャラクターたちが本作の魅力の一つ。このドラマをきっかけに、新たな方向性へと進む俳優も出てくるかもしれない。まずは、『マル秘の密子さん』で見せるブラックな芝居を楽しみつくしたいところだ。