「妻と妻の彼氏と3人で暮らします」“仰天報告”でSNSが大バズリ…「ポリアモリー」当事者が語る“多様な関係”とは

AI要約

7月8日にSoy王子が投稿した動画が話題に

動画では妻と彼氏と3人で共同生活をすることを報告

きのコ氏がポリアモリーについて解説し、信頼関係の大切さを語る

ポリアモリーとは複数人で恋愛関係を持つライフスタイル

きのコ氏もポリアモリーで生きる立場であり、信頼関係が成り立つと語る

ポリアモリーはコミュニケーションや理解力が重要

動画への否定的なコメントにも、理解を示す声もある

きのコ氏は批判ではなく、共感と気づきを与えたいと考える

パートナーとの関係性は多様な形があり、それぞれが納得すれば良いと語る

「妻と妻の彼氏と3人で暮らします」“仰天報告”でSNSが大バズリ…「ポリアモリー」当事者が語る“多様な関係”とは

 愛の形は人それぞれーー。

 7月8日に「Soy王子」というアカウントがTikTokに投稿した動画が話題を呼んでいる。動画は「妻と妻の彼氏と3人で暮らします」と題するものだ。

「海外に留学中のSoy王子の妻が、現地で日本人の彼氏ができ、一緒に帰国するため、今後は3人でしばらく生活することになったという報告でした。Soy王子は、『ワイフが海外で辛い時に、支えてくれてた彼には心から感謝してますし、ワイフが彼氏にするくらいなので、きっと面白い人でしょうから、話せるのが楽しみです』と笑顔で想いを語っていました」

 妻と“その彼氏”と営む共同生活ーー。驚きの投稿内容に、動画のコメント欄は大荒れだ。

《ワイフの彼氏?不倫相手が正解。》

《結局は最後までその関係は続かないと思います》

《彼氏と妻の間に子どもが生まれたらどうしますか?愛せますか?》

 と、否定的なコメントばかり……。ところが

「これは奥さんが“ポリアモリー”だという趣旨なのかもしれませんね。勇気ある方だと思います」

 と語るのは、文筆家のきのコ氏だ。ポリアモリーとは、「パートナー全員の同意を得たうえで、複数人で恋愛関係をもつ」というライフスタイルを指す言葉。実際、きのコ氏もポリアモリーで、著書『わたし、恋人が2人います。~ポリアモリーという生き方~』(WAVE出版)を出すなど、積極的に情報発信している。

「ポリアモリーは1990年代にアメリカで生まれた言葉です。日本には2000年代に入ってきたと思われますが、評論家の荻上チキさんが2022年~23年に調査したものによると、ポリアモリーという言葉を知っているのは、人口の1割にも満たないようです」(きのコ氏・以下)

 28歳の時にポリアモリーとして生きることを決めたきのコ氏は現在、家族のような関係のパートナーが2人おり、そのほかに恋愛関係にある相手も複数もいるという。

「私のパートナーたちは仲がとてもよくて、お正月にはパートナーのパートナーまで皆で集まって、鍋をしたりしています。性的な関係やデートをする相手のことについても、楽しかったことや喧嘩したことなどを共有していて、理解してもらっているなと思っています。

 パートナーが理解してくれるように、私もパートナーの話を聞いたり、互いに隠し事をせず、理解しあっているのですが、もし私に隠して他の人と浮気するようなことがあれば『なんで今更私に秘密をもつようになったんだろう』と困惑するし心配になるかもしれませんね。

 もしパートナーから『こういう人とデートしたんだよね』と言われたら、嫉妬することがないわけでもありませんが、パートナーたちとは、10数年来の信頼関係もあるので、やめてほしいとは言わないと思います」

 なんとも不思議な関係だが、きのコ氏いわく、信頼関係があれば成り立つのだという。

「関係を成り立たせる上で何より必要なのはお互いの理解です。そのためコミュニケーションがとても大事になります。また、自分の在り方を認める力や、逆に相手の在り方と向き合って受け止める力、相手の話を聞く力も大事になってきますね。両者で意見が食い違った時には、互いにすり合わせをして、いいポイントを見つけないとうまくいきません。ポリアモリーな関係に限らないことですが、互いの信頼感が非常に重要なんです」

 その上で、今回話題の動画について何を思うのか。

「投稿者の奥さんを、勝手にポリアモリーであると決めつけるつもりはありません。逆に投稿者の方も、『こういう関係が正しいものなんです』と決めつけるようなことは言っていませんね。批判が来ることを分かった覚悟の上で、誰かの役に立ったり、気づきを与えたくて発信をしているのだと思いますが、とても素敵なことだと思います。私は、ポリアモリーを推進するつもりはなくて、2人きりでも3人以上でも、パートナーとの関係性は多様な形があっていいし、それぞれに優劣はないよね、ということが認知されるような世界になってほしいだけなんです」

 当人たちが納得しているなら、楽しい生活を送れるはずだ。