【公演レポート】宮沢りえが主人公の“数奇な運命”をみずみずしく演じる「オーランド」東京公演明日開幕

AI要約

宮沢りえ主演の舞台『オーランド』が東京で開幕。ヴァージニア・ウルフの小説を基にした作品で、16世紀から20世紀まで生きる主人公オーランドを描く。舞台セットやキャストの演技に注目。

宮沢りえは稽古を振り返り、舞台を観客と共に体験したいと語る。舞台は東京で28日まで上演後、愛知、兵庫、福岡でも公演予定。

他にも制作陣や出演者のコメントや舞台情報も紹介される。作品の魅力や初日の感動を伝えるコメントが含まれる。

【公演レポート】宮沢りえが主人公の“数奇な運命”をみずみずしく演じる「オーランド」東京公演明日開幕

宮沢りえが主演を務める「PARCO PRODUCE 2024 舞台『オーランド』」が、埼玉公演を経て、明日7月5日に東京・PARCO劇場で開幕する。これに先駆け本日4日、フォトコールが行われた。

ヴァージニア・ウルフの小説「オーランド」は、国境や性別、時代をも飛び超えて生きる主人公オーランドが、“真実の私”を探す物語。本作では、演出を栗山民也、翻案を岩切正一郎、ステージングを小野寺修二が手がける。あるとき美貌の青年貴族から女性へ変貌し、16世紀から20世紀まで生き続けるオーランド役を宮沢が演じ、オーランドが各時代で巡り合う人々をウエンツ瑛士、河内大和、谷田歩、山崎一の4人が演じる。

フォトコールで披露されたのは、青年貴族オーランド(宮沢)が、エリザベス女王(河内)の寵愛を受ける場面から、ルーマニア皇女(ウエンツ)に猛アプローチされ、トルコに逃げるまでのシーン。舞台セットは中央に白い壁と床が設けられた一見シンプルなものだが、壁に空の景色が映し出されたり、場面転換に合わせて大きな窓が出現したりし、各場面の情景を絵画のように美しく浮かび上がらせる。宮沢は、詩的なセリフを紡ぎながら、凛々しさの中に、年相応のかわいらしさが垣間見える、オーランドの青年時代をみずみずしく演じた。黄金の豪華なドレスに身を包んでエリザベス女王に扮した河内は、物欲しげな甲高い声でオーランドを執拗に呼んで権力者たる存在感を示し、ウエンツは、力づくでオーランドに迫るルーマニア皇女を体当たりで演じた。

開幕に際し、宮沢は「台本を頂いた時、今までに無い感覚があって、どんな舞台になるのか不安でいっぱいでした。その時、演出の栗山さんが『始めから想像がつく事より面白いでしょ?』といたずらっ子の様におっしゃったお言葉を信じ、もがきながら稽古を重ねてきました」と振り返り、「1ステージ1ステージ大切に、観客の皆さんと『オーランド』を体験していけたら」と思いを語った。

上演時間は休憩含む約2時間30分。東京公演は7月28日まで行われ、その後、8月1日から4日まで愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール、8日から11日まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、16日から18日まで福岡・キャナルシティ劇場で公演が行われる。

■ 岩切正一郎コメント

いよいよ幕が開いた「オーランド」。観客がみつめる舞台の上で、生きることと演じることとが深いところで1つになり、さまざまな感情を観る者に呼び起こす、これぞ演劇!としか言いようのない強烈なリアリティーが立ち上がっていました。

舞台は生き物。毎回の上演で、お客様との豊かな相互作用のなか、毎回違った舞台が生まれるのだなあ、と思うとわくわくします。

そこには、演劇的なリアリティーを作り出す声、演技、振り付け、装置、衣裳、照明、音響、音楽演出などなど、たくさんのエレメントを堪能できる、一期一会の出会いもあります。

「オーランド」の醍醐味を多くの方に味わっていただけると嬉しいです。

■ 栗山民也コメント

PARCOの初日を前にして、この360年の歴史が転がるように進むドラマに、未だいくつもの問いが頭に浮かんでいます。だけどそのこと自体がとても愉快で新鮮で、実はその問いこそがこの劇の大事な根っこなのかもしれないと思えるのです。初めて見たもの聞いたものに対し、その正体がわからなければまず問うことから始めるはず。この全てが溢れかえった情報過多の毎日、なんの疑いも持たず安穏としているわたしたちの前で、オーランドはその場に何度も立ち止まり、自らに問うのです。そしてその大事さを強く噛み締めるのです。稽古が始まって5週間、いつもよりも、よりたくさんの奇妙で楽しい旅をしてきました。エリザベス朝から現在までを好奇の眼で見つめ続けたオーランドの全身で受けとめた体験を、どうぞ劇場で。

■ 宮沢りえコメント

オーランド、台本を頂いた時、今までに無い感覚があって、どんな舞台になるのか不安でいっぱいでした。その時、演出の栗山さんが「始めから想像がつく事より面白いでしょ?」といたずらっ子の様におっしゃったお言葉を信じ、もがきながら稽古を重ねてきました。

彩の国で初日を迎え、本当に温かい拍手を頂いた時、作品を創ることの喜びと興奮を浴びた感覚でした。その事をエネルギーに1ステージ1ステージ大切に、観客の皆さんと「オーランド」を体験していけたらと思います。

■ ウエンツ瑛士コメント

まず無事に埼玉で幕を開けられた事、ホッとすると同時にとても感謝しています。

振り返れば1カ月前この迷路のような台本と格闘していたと思うと、人生で最も濃い1カ月だったんじゃないかと思います。栗山さんの指し示す道に自分のできる事を最大限詰め込んで、時に先輩方に甘えながら真っ直ぐ歩いてきました。今はやっと1つの扉が開いただけ、ここからもっともっと「存在」を強めていきたいです。この作品の魅力は余白がある事だと思います。セリフは「詩」の様に沢山の意味を含んで、いまかいまかと発せられるのを待っています。その合間合間に、どれだけの情景や言葉を皆さまの脳内に浮かばせられるかが勝負でありこの作品の醍醐味です。それは決して説明ではなく、表現ではなく、「存在」だと信じています。素敵なキャスト、スタッフに囲まれて幸せに毎日を過ごしています。

この作品が皆様の生活の潤いになりますように。

■ 河内大和コメント

この作品がどうお客様に届くのか本当に未知の世界で、初日の緊張感はものすごかったです。でも、劇中の時間の経過とともにお客様の集中力がぐんぐん増していくのを肌で感じ、かなり苦しんだ稽古だったので緊張し過ぎて口の中がパッサパサで大変でしたが、お客様総立ちのカーテンコールに本当に感動しました。男でもあり女でもあるオーランドという“人間”の本質に光を当て影を作るコロス、愛すべき役たちも今は大好きです。オーランドと一緒に気持ちを共有しながら400年を生きる体験、最後には言葉にならない不思議な感覚になると思います。是非、劇場に体感しにいらして下さい。

■ 谷田歩コメント

自分にとっては非常に難しい作品で、稽古の最初から迷いっぱなしでしたが、栗山さんの演出の力を貰いキャストの皆さんの力を借りて何とか形にする事が出来ました。まだまだ完成形ではありませんが。劇場に入ってからも何度も失敗し、それを何とか次の日に修正するという事の繰り返しで、人生で初めてくらいの物凄い緊張感のある初日でした。

でも、このオーランドと言う難しい戯曲のパズルを最後に埋めてくれたのが劇場に入って観に来てくれたお客さんでした。自分では気付かなかったシーンもお客さんの集中や反応で何か違う新鮮なモノを掴めたし、この作品はやればやるほど成長していく戯曲なんだと言う事を、実感として理解出来た様な初日でした。これからPARCOと地方公演が始まります。最後まで瞬間を精一杯生きてこの戯曲の肉の一部になって行ける様に日々発見していきたいと今は思っています。

■ 山崎一コメント

彩の国での2ステージが終わりました。

初日の、異様な緊張感の中はじまった芝居は只々無我夢中の2時間半でした(こんな初日は久し振りです)。芝居が終わって立ち上がりお辞儀をした時、お客さまのスタンディングオベーションに思わず目頭が熱くなりました(やはりこんな初日も久し振りでした)。

おそらくこの作品は宮沢りえさんの代表作のひとつになるでしょう。それほど素晴らしい作品だと思います。

その作品に参加出来たことを誇りに思っています。

皆様、どうぞ「オーランド」観に来てください!

劇場でお待ちしています。

■ PARCO PRODUCE 2024 舞台「オーランド」

2024年6月29日(土)・30日(日) ※公演終了

埼玉県 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

2024年7月5日(金)~2024年7月28日(日)

東京都 PARCO劇場

2024年8月1日(木)~2024年8月4日(日)

愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

2024年8月8日(木)~2024年8月11日(日)

兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

2024年8月16日(金)~2024年8月18日(日)

福岡県 キャナルシティ劇場

□ スタッフ

原作:ヴァージニア・ウルフ

翻案:岩切正一郎

演出:栗山民也

□ 出演

宮沢りえ / ウエンツ瑛士 / 河内大和 / 谷田歩 / 山崎一