「イパネマの娘」からマドンナ、ザ・ローリング・ストーンズまで・・・世界を席巻した音楽の舞台になり、芸術の源泉として世界遺産になった都市・リオデジャネイロ【世界遺産/リオデジャネイロ(ブラジル)】

AI要約

リオデジャネイロは2012年に世界遺産になった、山と海に囲まれた都市で、カリオカの景観が特徴的。

都市部は100年以内に造られ、自然と都市が融合した風景が美しい。

また、リオデジャネイロはボサノバの誕生地としても知られ、世界中に影響を与えた。

「イパネマの娘」からマドンナ、ザ・ローリング・ストーンズまで・・・世界を席巻した音楽の舞台になり、芸術の源泉として世界遺産になった都市・リオデジャネイロ【世界遺産/リオデジャネイロ(ブラジル)】

ブラジル第二の都市・リオデジャネイロは、2012年に世界遺産になりました。世界遺産としての正式名称は「リオデジャネイロ:山と海の間のカリオカの景観」。カリオカとはリオデジャネイロ生まれの人のことで、「リオっ子」みたいな意味です(ちなみにサッカーのラモス瑠偉さんの愛称が「カリオカ」なのは、彼がリオデジャネイロ出身だからです)。

■奇岩と海に囲まれた大都市 

リオデジャネイロは元々、海岸沿いに湿地と山が連なる地形で、入植したポルトガル人が海と湿地を埋め立てて都市を作っていきました。世界遺産になっているのはこの100年くらいの間に作られた比較的新しい都市部で、ポルトガル人ではなくネイティブのリオっ子たちが山の間の湿地と海を埋め立てて作った都市景観・・・といった意味が世界遺産の名称に込められています。

今年、番組「世界遺産」でも撮影したのですが、海からすぐに奇岩の山々がそびえ、その間を縫うようにビルが林立するという不思議な景観でした。この自然と都市が融合しているところが評価され、世界遺産になったわけです。

■サンバからボサノバが生まれた街

そしてもうひとつ、この都市が世界遺産になった理由が、文学、音楽、建築など多くの芸術においてアーティストにインスピレーションを与えてきたことです。

誰もが聴きなじみのあるボサノバの名曲「イパネマの娘」は、1960年代にリオデジャネイロで生まれました。作曲はアントニオ・カルロス・ジョビン、作詞はヴィニシウス・ヂ・モライス。二人ともリオデジャネイロの裕福な家庭の出身で、都会的で洗練された新しい音楽=ボサノバを生み出しました。

ボサノバとはポルトガル語で「新しい傾向」といった意味で、それまでの大衆音楽サンバから生まれたニューウェーブだったことが分かります。日本で言えば、フォークから松任谷由実に代表される都会的ニューミュージックが生まれたようなものでしょうか。

「イパネマの娘」は、アメリカでも大ヒット。フランスでもフレンチ・ボサというスタイルのボサノバが流行し、クロード・ルルーシュの大ヒット映画「男と女」の劇中歌でもモライスやジョビンの名前をあげてその偉大さを讃えています。ジョビンとモライスの二人が主導したボサノバという音楽ムーブメントは、日本も含め世界を席巻したのです。