全面解禁先送り、岸田首相に反発 ライドシェア推進派、巻き返しへ

AI要約

一般ドライバーが自家用車で客を運ぶ「ライドシェア」の全面解禁に関して、岸田文雄首相が結論を先送りしたことに対する反発が高まっている。

自民党の小泉進次郎元環境相などライドシェア推進派は、年内に法整備の基本方針を閣議決定するよう求めている。

推進派と慎重派の対立が続く中、首相の意向や菅義偉前首相の関与などが焦点となっている。

 一般ドライバーが自家用車で客を運ぶ「ライドシェア」の全面解禁に関し、岸田文雄首相が結論を先送りしたことに対して推進派から31日、「改革に消極的だ」と反発する声が相次いだ。

 IT事業者などの参入を可能にする法制度の設計を年末までに終えるよう求めた政府の規制改革推進会議と歩調を合わせ、巻き返しを図る。

 「期限を設けない検討は『やらない』と同義だ」。超党派のライドシェア勉強会の会長を務める自民党の小泉進次郎元環境相は31日、首相と面会した後、記者団にこう強調。来年の通常国会での法整備を念頭に、基本方針の閣議決定に年内にこぎ着けるよう求めていく考えを示した。

 首相はタクシー会社以外の参入に前向きな姿勢を見せ、6月に方向性を打ち出す構えだった。しかし、タクシー業界の意向を踏まえた自民の慎重派や公明党、国土交通省の反対に遭い、「期限を設けず」検討を続けることを河野太郎規制改革担当相、斉藤鉄夫国交相と30日の時点で決めた。

 推進派の一人は「首相はゴーサインを出すと見ていた。改革に後ろ向きなメッセージになる」と憤る。小泉氏は首相との面会でも「年内に結論を出していただきたい」と迫った。

 首相は30日、解禁論を主導してきた菅義偉前首相を訪ね、ライドシェアに関しても意見を交わした。だが、菅氏は「期限を設けないという話は聞いていなかった」と周辺に不満をぶちまけた。

 2025年大阪・関西万博での活用を見込み、全面解禁を求めてきた吉村洋文大阪府知事(日本維新の会共同代表)も31日、「ライドシェア一つ認められない自公政権では日本は成長しない」と切り捨てた。

 菅氏、河野氏、小泉氏の「推進派トリオ」はかねて気脈を通じる間柄。いずれも岸田政権下で「非主流派」に位置付けられる。小泉氏の首相面会には維新の藤田文武幹事長と国民民主党の玉木雄一郎代表が同行した。維新と国民は、自民が国会運営などで連携に期待を寄せる相手だ。

 「移動の足不足解消へライドシェアを全国で利用できるようにする必要がある」。首相は31日の規制改革会議の席上、全面解禁のための検討も進めるよう指示し、推進派に配慮を示した。