保守層が自民党から離れているのではないかと加藤勝信元官房長官に聞いてみた

AI要約

日本の外資系証券会社で働く日本人アナリストが移民解禁を提案し、移民政策のリスクと可能性について議論が広がっている。

保守派と移民政策に関する議論が進行中であり、加藤勝信元官房長官は外国人労働力に頼る必要性や日本の移民政策の緊密な制度設計についてコメントしている。

日本の保守層の不満や自民党との関係についても議論が続き、移民政策や他の政策分野における対応が注目されている。

保守層が自民党から離れているのではないかと加藤勝信元官房長官に聞いてみた

最近、外資系証券会社で働く日本人アナリストに「株上げるのは簡単。移民を解禁すればいい」と言われ驚いた。彼はさらに「外国人投資家の日本への数少ない不満は労働力不足」「誰か移民解禁できる力のある政治家はいないか」と畳み掛けてきた。

筆者は「河野太郎か、小泉進次郎か、それとも菅義偉か。いや日本で移民解禁は無理。英国みたいに首相がインド系、ロンドン市長がパキスタン系とか日本ではあり得ないから」と答えたが、彼は不服そうだった。

確かに欧米先進国は移民で労働力不足を補っているが、一方で「行きすぎた移民政策」に対する保守派の不満が高まり、政治的な混乱も起きている。米国の「もしトラ」はその一つとも言える。日本でも埼玉でクルド系住民と地元民との軋轢が表面化するなど、「移民の副作用」が出始めている。

「雑誌正論」連載の「平井文夫の聞かねばならぬ」の第3回ゲストは加藤勝信元官房長官。加藤氏は第2次安倍政権で官房副長官、厚労相、自民党総務会長など出ずっぱりで要職を務めた安倍氏側近の保守政治家だ。

2016年の正論のインタビューでは、「保守」について「過去から現在、未来へという流れをなるべく妨げないこと」と定義した上で、「何もせずに流れ続けるというものではない。改革していくことは必要」と付け加えている。

加藤氏に「行きすぎた移民政策を行うと保守層が自民から離れるのではないか」と聞いてみた。

加藤氏は今後の日本が「一定程度の外国人の労働力に頼らざるを得ない」とした上で、「技能実習制度を廃止して育成就労とし、さらに特定技能で永住できる制度を作っており、外国人に日本社会に溶け込んで活躍してほしい」と述べて、日本の新しい移民政策が欧米各国に比べてもリスクの少ない、練られた制度であることを強調した。

お隣の韓国は日本よりはるかに少子高齢化が深刻なため、急進的な移民政策を導入して「移民国家」を目指していると言われる。加藤氏は「外国人に依存するだけでなく、少子化が進む中で限られた人数でも回せる社会を作るのは可能」と述べ、日本の移民政策はあくまで抑制的であることを強調した。

これはまさに加藤氏が8年前に言った「流れをなるべく妨げないが、何もしないのはダメ」という保守の定義に合っているのだが、保守強硬派は移民政策にはナーバスで、新しい制度についてもすでに批判の声が上がっている。この「流れをどこまで妨げないか」という話は「あんばい」が難しく、間違えると政治が混乱する。

移民だけでなくLGBTなど保守層が自民党に不満を持っている分野は多い。保守層の離反は自民にとって深刻な問題だがそれを防ぐ方法はあるのか、そのあたりを詳しく加藤氏に聞いたので月刊正論7月号をお読み頂ければ幸いです。