長男殺人未遂、シングルマザーに執行猶予判決 裁判長がかけた言葉は

AI要約

福岡県内の自宅で寝ていた小学生の長男の首を絞めて殺害しようとしたシングルマザーが懲役3年の判決を言い渡された。精神的に疲弊して孤独感を感じた女性被告は、無理心中しようとしたが中止し、長男は頭部うっ血でけがをした。

裁判官は、女性被告が精神的に追い詰められる原因も考慮し、更生を期待して懲役ではなく保護観察付き執行猶予の判決を下した。長男も処罰を望んでいないと述べられた。

冨田裁判長は、家族での生活には専門家の力も必要であり、焦らずゆっくりと進むようにと説諭した。

長男殺人未遂、シングルマザーに執行猶予判決 裁判長がかけた言葉は

 福岡県内の自宅で寝ていた小学生の長男の首を絞めて殺害しようとしたとして、殺人未遂罪に問われたシングルマザーで無職の女性被告の裁判員裁判で、福岡地裁は30日、求刑通り懲役3年、保護観察付き執行猶予4年の判決を言い渡した。冨田敦史裁判長は「社会内で更生の機会を与えるのが相当」と判断した。

 判決は「長男を残してはおけないという思いで無理心中しようとしており、一方的な考えで子の命を奪おうとすることは許されない」と指摘。だが、要介護の父と重度の統合失調症の母の介護や、軽度の知的障害の長男の養育を一人で負担して精神的に疲弊する中、両親が施設に入所したことで孤独感を深め、精神状態を悪化させたとし「思い詰めた経緯をみると、女性被告だけにその責任を負わせることはできない。長男も処罰を望んでいない」と量刑の理由を述べた。

 冨田裁判長は「(長男は)自分でも気付いていない心の傷が残っているかもしれない。家族で生活するには専門家の力も必要。焦らずゆっくり進んでください」と説諭した。

 判決によると、女性は2023年10月29日昼ごろ、自宅で寝ていた長男の首を絞めて殺害しようとしたが、自らの意思で中止したとされる。長男は頭部うっ血で約1カ月のけがをした。【志村一也】