難民申請3回以上で送還可能に 制度の悪用抑止 改正入管法、6月10日完全施行

AI要約

改正入管難民法による難民認定申請制度の改革が完全施行され、外国人の送還や収容のルールが見直される。

過去の制度悪用・誤用を受け、申請者が増加し、犯罪者も難民認定申請中に相次いでいる。

政府は難民認定を悪用する者に対して強い対策を取る方針だ。

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難民申請3回以上で送還可能に 制度の悪用抑止 改正入管法、6月10日完全施行

不法滞在する外国人の送還や収容のルールを抜本的に見直した改正入管難民法が6月10日から完全施行される。目玉が、難民認定申請制度の改革だ。これまでは申請すれば母国への強制送還が一律に停止されてきたが、今後は3回以上の申請者は送還できるようになる。背景には制度を悪用・誤用して国内に残ってきた外国人の実態がある。

難民条約では難民を迫害の恐れのある国へ送還しないよう求めており、国内では難民認定の申請中でも一律に送還が停止されてきた。

だが、その運用の中で急増したのが悪用・誤用とみられる申請だ。特に申請者が急増したのは旧民主党政権時代の平成22年3月、難民認定申請者に対し、申請半年後に一律、就労を認める運用が始まってからだ。

出入国在留管理庁によると、同年に1202人だった申請者は増え続け、29年には1万9629人に。一律の就労可能措置をやめた30年には半減したものの、新型コロナウイルス禍の令和2年~4年をのぞき、1万人前後で推移している。

入管庁が不認定としたケースの中には「借金返済のため、日本で働きたい」といった申請もあり、入管関係者は「申請の一定数は国内に居残ることを狙った制度の悪用・誤用だ」と分析する。

■申請中に強姦

難民認定を申請する外国人犯罪者も相次いでいる。

平成25年10月には、難民認定申請中だったスリランカ国籍の男が当時19歳の女性に対して暴行した強姦致傷事件が発生。 男は以前、国内で別の性犯罪で服役しており、出所後に母国に送還されるはずだったが、難民認定を申請。健康状態を理由に収容所から出られる「仮放免」措置を受けて国内で生活していた。

男には27年、懲役6年の実刑判決が下されたが、刑期を終えて出所した男はその後も難民認定を申請し、送還が止められた。

難民認定申請中に犯罪に関わった外国人はこの男だけではない。

不法滞在中で母国への送還を拒否している外国人のうち令和3年末時点で懲役3年以上の実刑判決を受けたのは330人。そのうち129人が難民認定を申請中で、対象犯罪は薬物事件や性犯罪、傷害事件など多岐にわたっていた。

■出国促す措置